表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
T o w n  作者: 街灯兎
C i ty
112/188

Father

〖何勝手にしてんだ〗

「……」


609__ _


〖そこまで嫌か?〗

「「(嫌に決まって)」」

〖本当は好きなんじゃないのか、こういうのが〗

「「(はっ!?)」」


〖聞いたぜ、長からよ〗

〖手加減なしで虐げろってな〗

なんて人なんだ。その長っていうのは。


〖お前が好きでもない限り……〗


〖本来、父親は娘が可愛いもんだろ……何でそれを〗

〖おい、今は言うな〗

〖すまん〗


父親=長?

娘=自分?


父親=娘?

「「(それは違うと思う)」」


〖……〗

〖…何勝手にしてんだ〗

「「(話がちょっと戻った)」」


〖そんなに、〗

〖…親を動かす様な

(そこまで愛くるしい)存在なら〗


〖望み通りにしてやろうじゃねぇか!!〗


腕を振り上げる男。

〖やめろっっ!!〗

それを阻止する男。


〖何しやがるっ〗

〖お前こそ何してる〗


〖女性一人に集団で暴力か?〗

〖情けない。それより前に恥だ〗

〖………〗

〖そ、そいつは俺達に…〗

〖早く失せろ〗

〖あ?どの身分だ?お前〗


〖…なんなら相手してやろうか〗

〖……〗


〖なんだよ、正義ぶって子供かよ〗

〖子供なら、勝てるよな?〗

〖……〗


〖ほら、殴れよ〗

〖……〗

〖弱そうに見えるなら、女性の代わりに〗

〖思い切り〗

〖……〗


〖どうした?〗

〖(制度が……)〗

〖(娘以外には手を出すなとの決まりなんだが…)〗

〖…〗


目で会話でもしたのか、逃げていった。

〖……〗


〖大丈夫でしたか?〗

「え、…はい」

〖よかった〗


〖お怪我はありませんか?〗

「多分ないと思います…」


「「(親切だなぁ)」」


〖そうですか…でも心配なので〗

〖一応調べていいですか?〗


僕の返事の前に手が出た。

「「(もしやこの人、触る為だけに…?)」」

「「(親切改め変態という事で)」」


「……」

〖……あっごめんなさい!

俺、そんなつもりなくて…〗

気付いた。が、遅いな

「……」

「「(つもりあるだろ)」」


〖……(怒ってるかな…?)〗

〖(こういう時はとうするんだ…?)〗

〖(うーん…)〗

「……」


〖で、では申し訳ないのですが

ご家族にもお話させていただけないでしょうか…〗

ご家族?


この男を長に会わせるということか。


〖(やっぱりこれが最善だよな?

間違ってないよな?)〗

〖(もし違っていたら?他に選択肢は……)〗


立つ。

〖あ〗

歩く。

〖あの〗


後方を向く。

「来ないの」

〖え、はい、行きます〗


歩く。



〖…主に何の用だ〗

〖(なんか男居るんだが)〗

〖…そいつは何者だ〗

〖(部外者か?

もしや、この制度を…知ったのか?)〗


「この人が謝りたいと言っています。

会わせてください」

〖……(謝る?騒ぎを起こす気はないのか)〗

〖!〗


〖おい、こいつ、さっきの制度の件で

止めに入ってた部外者だ(小声)〗

〖そ、そうなのか(囁き)〗

〖さっき休憩してたら偶然見たんだ(か細い)〗

〖「…?」〗


〖(だったら尚更入れる訳には……)〗

〖(こいつ、何を考えているか分からない)〗

〖(だが、ここで通さなければ

力ずくという手を使ってくるかもしれない)〗

〖(何故なら、制度の意味を知らないからだ)〗

〖(詳しくは表せないが

今、威圧と恐怖が混じっている)〗

〖(現在、最悪な状態、心持ち!!)〗


〖あの…?(何を話して…?)〗

〖〖!!〗〗

〖(まずいまずいまずい)〗


〖と、通れ〗

〖騒ぎはくれぐれも起こさぬよう〗

〖(とにかく頼むしかない)〗

〖は、はい〗

〖〖!!〗〗



〖…(ここ、どこ?)〗

進む。

〖…(豪華だな……)〗

〖…エス、何だ?〗

「…」

〖(あの人が、家族、父親?)〗

〖(偉そうだし、主って言ってたし…何なんだ?)〗


〖(とりあえず父親と思っておこう)〗


男を見る。

〖(…よし、言うぞ

こういうのは初めの一言が大切だからな……)〗

〖(俺は誠心誠意謝るのみ……)〗

〖?〗


〖……大っ変申し訳ありませんでした!!〗

〖???〗


〖(何何!?エスが人を連れてきたんだが!?)〗

〖(で、ヘビー謝罪されてる!!)〗


〖(どういう反応すればいいの!?これ)〗



〖〖……〗〗


数分後。


〖…あぁ、そういう事か(ちょっとホッとした)〗

〖本当にすいません…〗

〖いや、いいんだ。

むしろ助けてもらえて有難い位だ〗


そうだな。

有難いかもしれないな。


「「(人に、集団に、男どもに)」」

「「(連れてかれそうになったのに)」」

「「(殴られそうになったのに)」」

「「(何でこの人は気楽にしてるんだ?)」」


〖あの、(親は良くても、)

娘さんに嫌な思いをさせてしまったお詫びを…〗

〖(有難い位だから、娘をああした)

罰とかそういうのは無いよ〗

〖あと、詫びもしなくていい。

助けてもらったんだから〗

〖それでいいじゃないか〗


〖…(え)〗

〖此方が逆に恩を返さないと〗

〖…はい?〗


〖そうだな…では〗


〖君が今一番欲しい物をあげよう〗

「「(話の流れがでかい津波級)」」


〖?〗

〖褒美みたいなものだ、さ、遠慮せず〗

〖……〗


「……」


〖娘さんを下さい〗

〖???〗

〖ん?(ん?)〗

「「(ほら、お父さんが困ってるぞ)」」


〖あ、あと、ここの治安が悪いというか〗

悪いな。

〖人として間違っている集団が居たので〗

さっきのだな。

〖それを出来れば改善して欲しいです〗


〖俺の為ではなくて、町の女性達の為に〗

〖……〗


〖あっあぁこれは願いというか

悩みというか、意見というか〗

〖欲しいもの、は一つだけですよね…〗

〖それとは違うのですが、…すいません〗

〖……〗


思ったことを言うのは悪くないよな。

「「(まぁ)」」


〖なんて心が優しいんだ……いい!あげよう、娘を〗

「「!?!?」」

〖……!!〗


なんて軽いんだ。父親。

「「(どの生物よりもライトだよ)」」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ