After the demonstration
『次、Aが焼いた肉だよ!食べて』
肉か。
……
美味しい。
‘あっ 良かったですね!!’
“はい”
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「「エルは味覚ってあるんだっけ」」
一応ある。人間だからな。
「「食べなくていいのに?」」
……
『Aはクールだなぁ』
“そうですか”
『感情が薄いっていうか……』
“私は人間ではありませんので”
『…そうだよね』
❲おっ これ誰が作ったんだ?凄ぇ旨い❳
‘それ、私とAの合作です!’
❲流石だな…料理出来るって良いよな❳
“光栄です”
‘…博士さん、具体的に
どんな感じで美味しいんですか?’
❲え、……具体的に…?❳
‘……’
❲(そんな目で見つめられても)❳
❲…特にここが良かったって言うと、
アイとAの工夫とか
俺に気付いて欲しいような所、
…全部気付けないだろ?❳
‘?’
❲隠し味とか❳
‘いえいえ、博士さんの単純で
淡白な感想で大丈夫です’
❲……(妙に刺さる)❳
『……』
『…こうやって緊張がほどけたところで』
❲ん?緊張なんて 元からしてねぇぞ❳
『エル、何でケイと替わったかって分かる?』
‘エヌさん、急ですよ’
あの小屋にあったパズルから
移動したと考えている。
「「(その唐突な問いに
対応できるエルもエルだけど)」」
『……』
『本人が言うなら…信憑性は高い、かな?』
❲いや、完全に確信が持てる訳じゃねぇだろ❳
『うーん……』
『此処は 時間を気にする必要ないけど
(周りの明るさからして)、
そういうのは保留にしたくないね』
………
『はい、これから早速
実際に試そうじゃないか!』
皆が一斉に博士の能力で小屋に移動した。
❲(移動速度、ちょっと遅くなってたな)❳
『いやーでも、徒歩より早いよ。
それに、この味を占めたら』
❲はいはい❳
‘歩かないと不健康になりますよ!’
『毎回これを利用する訳じゃないから安心して』
❲利用ってお前 サービスじゃねぇ❳
『じゃあどんな経緯で
エルがフィンに行ったかを実演してみよう!』
❲………❳
“実演、ですか”
『うん。物は試しってやつだよ』
分かった。
僕はもう一度同じ動作をするだけだ。
……またフィンに行くのだろうか。
‘あ、待って下さい’
『?』
‘これ、帰ってこれる保証とかあるんですか?’
『同じ事するんだから
帰ってこれると思うけど』
❲……分からんな❳
『でも、それを考えると…
ストップかけたくなるな…』
『ねぇエル、ちょっと待』
“…………”
『………』
“行かれましたよ”
『……』
‘また待っていましょう!
いつ帰るのかは分かりませんが!!
いつまでも!!’
『僕は軽率な行動を…』
❲いや、エル、戻り方とか
分かってるんじゃねえか?
一度行ってきているからな❳
『……とりあえず待とう!待つしかない…』
‘………’
「……?」
「何処……此処」
『前回だと
エルがフィンに行った、
そしたら此方に エルじゃないエルが来た。
とすると?』
❲今回も、か…?❳
『もし偽のエルが来たら、
前みたいにこっちの方を有利にしていこうね!』
❲何考えてるんだよ……❳
『(ケイが来るかもしれないし、
そうしたらまた
僕達に利益があるかもしれない…!)』
『(…ケイだったら念押しすれば普通に…)』
‘エヌさん、顔が怖いですよ’
“今は話しかけないでおきましょう”
‘あ、そうですね’
「私、は…何処に」
「……」
「(誰か人、居ないかな)」