Parts
『ここでくらしているといっても、
なかなかむずかしそうだね』
「…」
『だって でんきもないし がすもないし』
なんだそれは
『でも、ここはよるがないから あんしんだね』
009__ _
『きみさ、まちをしらべてたんだよね?』
すみずみまで調べた。
けど たいしたものはなかった。
『うーん…』
『じゃあ、ちいさなきづきとか…
なんでもいいから なかった?』
僕が得た情報は
新聞、ラジオ、本の文字。
街の構造。この街は
僕が覚えている風景とは違う。
かけ離れている。
それと、これ。
僕は前に拾った
部品のようなものを見せる。
『…』
何か分かることはないか。
『…これ』
正直、これは
何かの部品か欠片だろうと思っている。
特に重要ではないと思うし
持っていても意味がない。
この物体の正体が分かるまでは手放せないが。
『すてちゃだめだよ、それ』
『ぼくも もってる』
見せられた物体。
全く同じ。
いや、違う。
模様が違う。
なんで同じものを持っている?
『これ、ぼく とうさんからもらったんだ』
とうさん
『ちちおやのこと。きみにも おやはいたはずだ』
『ぼくのとうさんは
どうくつにいったり、やまにいったりしてた。
そこでひろったものらしいけど
ただのごみとしかおもってなかった。』
『そのなんねんかあとに、
しょうたいがわかったんだ』
『ぼくだけ、ひとりだけしれた のうりょく』
「…」
『わからないだろうから、かんけつにいうね。』
『 これは
いのうりょくをうみだす ぱーつなんだ 』
『きみにも、なにか かわったことがおきる』
「…」
『もうおきてるかもしれないけど』
「…」
『…はつどうのしかたは
ぼくのといっしょかな?』