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憧れ

作者: ヤツハシ

「異世界」


それは、オタクであるならば誰もが1度は憧れ、行ってみたいとされる存在しない世界のことを指す。トラックに轢かれ、「知らない天井だ」と呟き、美少女に出会う。女との出会いが一生ないオタク達はそれはそれは憧れて、乞い、欲すだろう。


そして、何を隠そう自分もオタクである。大学を出て一流IT企業に就職させてもらったのはいいが、まぁなんだ、いわゆるブラック企業ってやつだったんだ。高校卒業時にオタクも卒業したつもりだったが日々の苦痛が溜まり、気づけばアニメに浸かっていた。仕事して帰ってアニメ見て寝て仕事して…

そんな日々に耐えられなくなった。

「よし…………飛ぼう。」

そんな考えが頭をよぎった瞬間体が浮いていた。

残業中に、トイレの窓から、ふわりと。

何故飛ぼうだなんて思ったのかは今でも分からない。ただ、気づいたら体が投げ出されていた。それだけ。



ドシャッ と鈍い音と衝撃が来た後、真っ暗になった。








……知らない天井だ。

目を覚まし、1番言ってはいけないセリフがこぼれた。

見回すと、小さなログハウスのようだった。

確か…仕事が嫌になって…トイレから飛んだんだっけ…段々思い出してきたぞ。

ということはここは…異世界…なのか?

僕、異世界転生したのか…!?


ふつふつと湧き上がる感情を抑え、外に出てみることにした。

キィと扉を開けると、このログハウスの持ち主らしき人を見つけた。恐る恐るこんにちはと声をかけてみる。


「○△✕♯✿☩✣□!」


どうやらこの世界で日本語は通じないみたいだった。

言語が通じないとなると厄介だ、どうしよう。コミュニケーションが取れないと、このあとのイベントが大変だ。悪戦苦闘していると、不意に「アナタ、ニホンノカタデスカ?」

片言ながらも聞き慣れた言語を耳にした。情けない安堵や喜びと共に振り返ってみるとなんとそこには若い美少女がいるではないか!期待を胸に「日本語分かるんですか?」と尋ねると「ニホンジン、タマニキマスカラ」と返ってきた。なんだ、自分だけじゃないのか…と少々落ち込むものの、とりあえずはコミュニケーションが取れる事に喜ぶとした。



その後、事情を説明してなんだかんだで住まわせてもらっている。仕事はこの家の雑用係だ。雑用でも以前と比べるとこっちの方が断然良い。森の中で空気は美味いし、なによりあの美少女にここの言語を教えてもらっているのだ。おかげで少しずつだが日常会話程度なら問題なく話せるようになった。



あっという間に2年の歳月が過ぎ、イベントを楽しんでるうちに最近思うようになった事があるんだ。






「…ここ、フィンランドじゃね?」

でもまぁ、フィンランドも…悪くないな。

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