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異世界詐欺商法

作者: コイコイ
掲載日:2016/06/26

 昔々、あるところに魔王が復活したと聞いて立ち上がった、とある自称勇者、自称賢者と名乗る者ががいました。

 お互いが自分こそが魔王を倒す存在だと言い合っています。


「賢者ミカエルよ、我こそ魔王を倒すに相応しい。魔王など、この聖剣エクスカリバーで倒してくれよう! そなたはここでおとなしく待っておれ!」


 そう言って勇者アランは聖剣エクスカリバーといいながら、剣を空に掲げます。

 しかし、その剣はそこら中に錆があります。

 

 実はこの剣、勇者アランが行商人から聖剣エクスカリバーと言われ、なけなしのお小遣いで購入したものなのです。

 最初は疑ってた勇者アランでしたが、「聖剣エクスカリバーは昔から伝わる伝説の剣。錆こそがその伝説の証明!」という行商人のうたい文句に騙されて購入したのです。

 この剣は実際のところ、ただの廃棄処分寸前の剣です。


「いやいや勇者アランよ、我こそ魔王を倒すのに相応しい。見よ、この世界樹より作られし杖を! そなたこそここでおとなしく待っておれ!」


 そう言って賢者ミカエルは、世界樹より造られたという木の杖を、空に掲げます。

 しかし、その杖はどう見ても特別な気配はしません。


 実はこの杖、行商人が山を越える時に山で拾った適当な木の枝を杖にして使用し、山を越えて不要になったものをどうにかして売れないかなと思い、「世界樹より作られた杖! 今ならタイムサービスですよ!」という、嘘くさい宣伝、そして、いつでもやってそうなタイムサービスという、うたい文句につられて賢者ミカエルが買ったものなのです。

 ちなみにその値段は彼の給料三ヶ月分です。


「いやいや! 私こそ!」

「いやいや! 私こそが!」


 二人はお互いに自分の持つ武器こそが魔王を倒せると主張しあいます。

 その光景は犬すら寄り付かないものです。

 通り行く人はなるべく関わりたくないと、足早に去っていきます。


「そこの二人ちょっとお待ちください!」


 そこに一人の男が現れました。

 その光景を見た人は「おぉ、勇者が現れた」と思いました。

 

「「あっ、あなたは!?」」


 勇者アランと賢者ミカエルの声が重なります。

 決して打ち合わせをしていた訳ではありません。


「さっきご購入いただいたお二人だけに特別な話があります! 実はさっきどんな状態異常も回復して、体力も全回復できるエリクサーを入手しました! 残念ながら一個しかありませんので、どちらかにお売り致します!」


 そう、現れたのは二人に詐欺商法をしていた行商人です。

 そして、その行商人は小瓶に入った緑色の液体の入った瓶を掲げます。

 しかし、よく見るとその液体、ところどころに葉っぱのかけらが浮いています。

 どうやら、葉っぱを集めてすり潰したもののようです。


 明らかに嘘くさい言葉、そして液体に、通り行くひとは「また変なのが現れた」と足早に去っていきます。


 そんな中、勇者アランと賢者ミカエルは行商人の出した小瓶を真剣に眺めています。


「……」

「……」

「「買います!!」」

「何を言ってるんだ! 私が買う!」

「いやいや私が!」

「大丈夫ですお二人とも! ただいま緊急入荷致しました! ただいま二本買われた方にはおまけにもう一本つけます!」

「おぉ! では私は二本! 今すぐお小遣い前借りしてきます」

「私も二本! すぐに給料前借りしてきます!」


 どこでどうやって緊急入荷したのでしょう?

 しかし、二人はそこに疑問を持つことなく、お金の工面に走り出します。


「毎度あり」


 行商人はしめしめとニヤリとして、二人を見送ります。その顔は越後屋もびっくりです。


 こうして、二人は行商人にまた詐欺られてしまいました。


 実は魔王が復活したというのも、この行商人が所属する詐欺グループが流したものなのです。

 そう、この二人は記念すべき「魔王復活商法」被害者の第一号、第二号だったのです。


 異世界で流行の兆しにある新たな詐欺商法「魔王復活商法」……転生された際は皆さまもお気をつけください。


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― 新着の感想 ―
[一言] お疲れ様です。 端から見たらばかばかしいとしか思えないかもしれませんが、自分がなってみると意外と騙されない自信はありませんね。 笑わせていただきました。 ……もう商人が魔王やったらいいん…
[良い点] めっちゃ笑いました(*^▽^*) [一言] 異世界にも詐欺があるとは世知辛い世の中です(笑) 勇者と賢者の騙されぶりに、この二人はこの先どう生きていくのかと可笑しくなりました。絶対「振り込…
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