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とある転生魔族の部下の淫魔魔法

ギャグあまりないかもしれません。

戦闘難しいですねえ。

 村を出てから数時間、人の手によって作られた草一つ生えていない道をただ永遠に歩いていた。

 つまり何が言いたいのかというと。


「つまらん!」


 これに限る。

 なんだよ。俺は異世界転生してこの世界を初めて見て回れるのに、さっきからずっと広原ばっかじゃないか! 確かに俺が今まで見たことがない植物とか動物は見かけるよ。

 でも、それでももっと何かあってもいいじゃないか! ここはテンプレっぽく盗賊が現れたり、初心者の冒険者が上級魔物に襲われるところに出くわしたり。そんなことあっても罰当たらないと思うんだよ!


「はあ、引きこもりを卒業したら今度は飽き性ですか?」

「だってさ! 盗賊とか出会ってもいいと思うんだよぉお」

「……つまり何がおっしゃいたいのですか?」

「だ・か・ら! 俺はイベントがあってもいいと思うんだよ!」

「はあ、そのイベントというのがよくわかりませんが事件の一つでも起こればいいのですか?」

「そう! それ!」


 分かっているじゃないか!

 ……でも何か嫌な予感がするんだけど。


「分かりました。じゃあ少し待っていてください」


 あ、これは何かやらかすパターンだわ。


「『惹かれ・惹かれよ・私は魅力を引き出しあなたを惹く』」


 ああ、これなんの魔法だったけ?

 あっ、そうだ。これ無差別に生物を興奮させる淫魔魔法だわ。


「はい! これで戦えますよ!」

「え、ああいやぁ俺そんなつもりじゃ――」

「大丈夫です。興奮しているので森の時みたいに魔物は逃げませんから」


 うわあ、めっちゃいい笑顔。

 これじゃないなんて言えない! 意図的な戦闘じゃないなんて言えない!


「頑張ってください!」


 リリーはさっきよりも笑顔で答えた。

 守りたい! この笑顔!


「わ、分かったよ!」


「「「ギュルアアアアア」」」


 右ある森から、左にある草原から魔物が押し寄せてきた。

 うわあ、めっちゃ興奮してんなあ。流石淫魔の魔法、俺かかったら一溜りもないんだろうなあ。

 俺にかけなかったリリーに感謝だな。


 とまあ、思考はこれぐらいにしてリリーにかっこいい姿でも見せますかね。



 森からはハードウルフって言う狼みたいなと言うよりほぼ狼と草原からはゴブリンの大群が来る。

 よし、先ずは数減らしからかな。ならゴブリンから攻める方がいいかな。


 地を思いっ切り蹴ってゴブリン軍団の中に突っ込む。

 さて、俺のチートの中でどれを使おうか――うーん、魔法でいいかな?


 ゴブリンに向けて手を突き出す。


「『シャットアウト・アイ』」


 視界を無くす魔法。

 発動直後、ゴブリン達は視界を奪われ錯乱する。

 この好機を逃すわけがない。


「『ライトニングスピア・トライデント』!」


 光属性の魔法。光の槍が俺の周りに無数に現れる。


「す、すごい!」


 俺の後ろにいるリリーが感嘆の声を漏らす。

 へっ! どうだかっこいいだろ? 普通魔族は光魔法と聖魔法は使えないのに使えちゃうんだぜ? しかも、一度の発動に出せる槍の遥かに多く出せる奴なんて俺くらいだぜ!


「ハッハッハ! この我の前に現れたのが運の尽き! この我にさえ攻撃を仕掛けなければ貴様らも生きていただろうに! だが、もう遅い! 我の裁きを受けよ!」


 光の槍は若干上をむき、斜め上に放たれる。

 別に射程距離が足りない訳じゃない。ただ、上かあ降り注ぐ方が『裁き』っぽいからだ!


 俺の狙い通り、槍は弧を描くように降り注ぐ。


 槍はゴブリンの頭を貫き、腕を切断する。

 胴を真二つにしてそれら全てを絶命させた。


 惨殺、やってしまった俺が言うのもなんだけど惨すぎる。

 やりすぎたなこれ。


 ゴブリンとハードウルフの死骸と、光熱の光の槍で溶かされた地面が戦闘の終了を告げた。


「えっとぉ……ハードウルフまでもが巻沿い食らっちゃてる」


 チートの選択間違えたか? 魔法はいい案だったと思うんだけど。


「や、やりすぎましたね」

「…………うん」

「どうします?」


 これからの行動につてのことだろう。

 フッ、それは知れたことだよリリー君。


「逃げる!」


 俺の全力疾走ではリリーは付いて来られない。

 よってお姫様抱っこをする。


「えっ、きゃ」

「ちゃんと掴まっていろよー」


 リリーは俺の体に抱きつく。

 うわ! やばいお胸が当たってる。やばい、やばいですよリリーさん。流石淫魔っす。

 おっと、ダメだダメだ。自制心自精神。


「では、町まで全力疾走で行きます!!」

「きゃぁああ」


 俺の地を蹴る音と、リリーのジェットコースターに乗っている時のような悲鳴が、何もない道に響いた。

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