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とある引きこもりの任務

「それで結局俺に何の用なんだよ」


 未だに龍虎が見える二人の間に入る。

 怖いけど頑張ったよ! 誰か褒めて!


「ああ、そうだった」


 呼び出した本人でさえ忘れてたのなら俺別に呼ばれなくても良かったんじゃ……。

 魔王には聞こえないくらいのため息を吐いた。


「では、おぬしに命令をやる。――汝には人間界に行き、人間の現状を知らせよ!」

「……ん? どゆこと?」


 同じ気持ちなのかリリーも疑問符が頭に浮かんでいた。


「ああ、すまん。飛躍しすぎたな。私は今の人間の政治状況や文化が気になっているのだ。それを調べて我らの国にも役に立つものがあれば是非取り入れたいのだ!」


 ああ、なるほどね。

 魔王は別に人間を滅ぼそうとか、嫌いとかそんなことは一切ない。むしろ逆で本当は友好関係すら結びたいと思っている。

 だが、それは人間側が許さない事を知っている魔王はこうして陰ながら人間を観察しようとしていた、といったところだろうか。


「分かった引き受けよう」

「だよな、お主は断ると思……て? 引き受けてくれるのか?」

「ああ」


 俺はいったって冷静だ。

 これは魔王の命令、外に出たくない俺でも魔王の命令は従わねばならないのだよ。


「……隊長、顔がニヤけてます」


 おっと、いけねえいけねえ余りにもの嬉しさで俺の鉄壁のポーカーフェイスが崩れていたそうだ。

 縛られたままなので、口を大きく開けたり閉じたりしてニヤケ顔をなくした。


「まあ、この任務は俺にとっては良いのもなんだよ」

「ああ」


 リリーは納得したかのように呟いた。

 察しがいい奴は好きだぞリリーよ。


 この魔王ではあるが、幾ら王でもこの国は民の意思も尊重しないといけない。よって、外出をするという意味はつまり人を襲うということになるのだ。

 ただ今回の任務は別口になる。

 人間の観察、つまり襲うのではなく傍ら又は遠くからでも人間の動きを見ておかなければならないのだ。襲うとかは論外。


「ふむ……幼馴染みの我が知らないのも尺じゃが聞いても無駄であろうな」


 少し残念そうな表情をする魔王、でも人を襲いたくないって言う話は昔したよ?

 リリーとは違い少し察しが悪いみたいだ。いや、昔だから忘れているだけかもしれないけどね。


「とまあ、そんなわけで明日から任務に行ってくるでごわす!」

「語尾が……うむ、行ってまいれ!」


 よし帰るか。


 こうして俺は魔王城を出ることにした。

 そして未だに縛られたままリリーに連れられた。


 勇者パーティーにも言っといたほうがいいのかな?

 戻ったら一応報告しておくかな。


 リリーに襟を引っ張られながら今から部屋に来る勇者パーティーのことを考えていた。

 ん? でもなんて話せばいいんだ?

 人間を観察するために外に出るって言えばいいのか? いや、それだと勇者達は俺を追ってくる可能性がある。


「うーん……うん言わなくていいかな」


 もしあの勇者が魔王の所に行っても魔王は簡単にあしらってくれるだろうしね。


 結果報告


 来た途端にナイトメアーで終わらせてしまいました。

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