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とある引きこもりの変化

「嫌だ嫌だ嫌だ! 部屋から出たくない!」

「ダメですって! 魔王様直々の呼び出しですよ!」

「嫌じゃ嫌じゃー! ここが聖地! ここが桃源郷! こここそが我が求めていた天国なんだ!」

「つい最近まで外に出たいって言っていたではありませんか!」

「あれ無し! 無しで! って、いやぁああああ」


 俺はリリーに襟をつかまれ魔王室へと連行された。

 ああ、もう死のうかな。



 その思考が読まれたのか、いつも勇者達に使うロープを使って色々と縛られた。

 アレだよ動いたら段々食い込む奴。なので俺は現在身動きが取れない状況にある。つまり、死ねない。


「ああ、マイハニー! 俺の恋人よぉおお!」


 部屋から出て、空いたままのドアから見える部屋は相変わらず何もない。

 だけどそんな事はどうでもいい、目の前に写る部屋がどんどん離れていく。

 これほど部屋を愛おしく思ったことは今までにないだろう。


「いっやー!!」


 そんなことを思ってもすでに遅し、俺の声は部屋中ではなく廊下中に響きわた立った。

 ああ、勇者達よすまない。今日は遊んで上げれないようだ。どうか、どうか君たちと遊ぶ時間には帰って来れるようにただただ祈るばかりだ。



「嫌です!」


 魔王室に来てから初めに口を開いてやった。


「はあ、まだ何も言っておらんじゃろうに……」

「いや、でも絶対俺の嫌なことさせるつもりでしょ!」

「……」

「いや、目を逸らすなよ。ちゃんと言葉にしろ」

「うん」

「素直だなおい!」


 全くどういう教育をすればこんな王様になるのかね。

 まったくだ、こんな可愛い美少女に語尾に「じゃ」とか付けさせたり、黒髪で日本人ぽい顔をしていたから黒色の着物着せたやつ出てこいよ! 全く。

 まあ、そんなことをすることは俺くらいしかいないんだけどね。


 因みに、魔王は俺と同じ位の歳だ。

 まあ、それもあってか一緒に成長してきた仲でその間に色々と吹き込んだということになる。

 全くこんなに綺麗になったのに、相変わらずお胸は残念だ。本当に残念。リリーのを分けてやって欲しいほどに。つまり――


「何かお主変なことを考えておるじゃろ」

「っち」

「舌打ち!?」

「ああ、はいはいしましたよ。しましたとも。お前の胸が相変わら――って、おい、魔王様!? 滅殺魔法は勘弁!」


 なんだよ、本当のことを言おうとしたら滅殺魔法で塵にされるところだった。実際は俺がチート過ぎてそんな事にはならないのだがな。

 やっぱ持つべきものはチートだよな。ほらチート持っていればハーレム作れるわけじゃん。いわゆるチーレム。だ、だからさ…………ねえ、俺思ったんだけど、チート持っているのにハーレムになっていないんですけど。 どうなってんの!? チーレムってあれはなっかたのかな? そうか! 皆さんチート持ってもハーレムはできません! 注意してくださいね。


 と、これ以上は心のなかで泣いている俺が本格的に涙がでそうなので考えないようにする。


「んで、断ると思うけど。一応要件を聞いておく。そして断る」

「断る前提で話したくないのお。まあ、それがお主ということか良かろう」

「いいんですか!?」

「リリー何を今更、俺の部下として就いて何年目だ? ええ、こんなにも一緒に居るのに俺のこと何も分かっていないのか!」

「えっと、確かまだ五ヶ月ですけど……」

「そ、そうっだったけな? まあ、余りにも一緒に居すぎてもう十何年目かと思ってた」

「で、でも、隊長の事なら熟知しているつもりです!」


 それって、ちょっと危ない人じゃない? ちょっとお兄さんそれは感心しないかなあ。


「ほほう、幼馴染の我の方が知っておると思うが?」


 ちょっとそこ! 張り合わない! リリーが震えているでしょうが!


「ま、負けません!」

「ふふふふ」


 うわあ、二人の背後から龍虎が見えるんだが。

 って、これ逃げるチャンスでね?

 うわ! これ絶好のチャンスじゃん!


 そおっと、リリーの下から離れよう。

 ん? あれ、動けねえ。しかも何かどんどん痛くなってきたんだが……

 そして俺はある重大なことに気づきた。

 あ! 縛られているの忘れてた。


 ああ、この結び方の解き方教えてぇえ!

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