転生魔族の危機的状況
話タイトル変えるかもしれません
森を抜けたあと俺たちは、今宿泊している宿に退避していた。
「さて、じゃあ早速本題に入らせてもらいますけど。なぜさっきの人たちに追いかけられていたのですか?」
「……それは、……」
どうも煮え切らない反応を見せるですわお嬢様、それほど言いにくいものなのか? まあ、いきなり他人にお家事情を聞こうとするのもおかしいと言えばそうだけど。
まずは、互いに警戒をといた方がいいか。
「すみません、名を名乗るのを忘れていました。私はヨゾラ=ヨシタケと申します。以後お見知りおきを」
俺は、片手を前にもう片方を腰に手を添え礼をした。
我ながら上出来だ。だてに魔王城の中盤フロアで上流階級の礼儀作法を練習していた甲斐があったってもんだ。
「隊長、名字なんてあったんですね」
「ん? まあ、前世というか何というか……まあそんなことはどうだっていいだろ?」
そうやりとりしているとですわお嬢様もまた口を開いた。
「わ、わたくしはアイーシャ=ラ=エルマーダと申しますわ。こちらこそ、お見知りおきを。ヨゾラ様……」
「はい、……しかし、自分はしがないの冒険者でございます。敬語は止してください」
「……隊長なんでそんな口調なんですか? ……イデッ!!」
リリーがうるさいから軽くわき腹を肘打ちしておいた。
それはともかく、アイーシャという名前らしい。ふむ、しかしアイーシャ=ラ=エルマーダと長い名前だなあ。まるで王族や貴族のような名前だ。
それにこの服装にあのしゃべり方、服装は薄汚れてはいるが絶対言い素材で出来ているドレスだ。ピンクのフリフリドレスなんて一般人が着るだろうか? 着ないだろ?
そしてしゃべり方だ。「ですわ」って、まさに貴族とかの口調だろ。
「分かりましたわ。…………えっと、実はもう名前で分かったかもしれませんが私エルマーダ王国の王族の一員で第二王女ですわ」
「「…………」」
アイーシャのその発言によって俺とリリーは固まった。
オウゾク? ダイニオウジョ?
いやまてまて! こう言ったのはリアルじゃなくてあったらいいなあって妄想するくらいが丁度いいんだって。なにか? じゃあ、俺は王族直属の兵士をぶっ倒したってことなのか? おいおい、それだったらまずぞ、これはマジでまずい!
これが俺の妄想であってくれ!
「あ、あのぉ、もしかし、もしかするとですが。さっき俺が倒した人たちってあなたを連れ戻しに王であるお父上が寄越した兵士だったりしませんよね?」
「……」
「なんで目をそらすの!?」
もはや話し口調なんて構ってられず。素の話し方で話してしまう。
いや、これはマジでやばいって! 魔王城をやっと出られたと思ったらすぐにどこぞのよくわからない王国に追われる羽目になるなんて……
「た、隊長、まずくないです? もし隊長が危うくなってもリリー助けませんよ。リリーなにもしてませんからね?」
「おい、そこは一緒にがんばりましょうぐらい言ってくれよ! 部下だろ!」
「嫌です! リリーまだ死にたくありませし、隊長なら魔おーー幼なじみのあの方の魔法を浴びても生きているくらいですから四・五回首ちょんぱ食らっても生きているってリリー信じていますから!」
「そんな信頼いらない! いらないから一緒にいてくださいお願いしますぅううう!」
アイーシャを置いていきながらリリーとやりとりを繰り広げる。端から見れば夫婦漫才だと温かい目で見てくれるのだが、どうもアイーシャは頬を膨らませながらジト目で俺を睨んでいた。
誰のせいでこんな会話していると思っているんだ! と物申したかったが、立場上相手が上なのでそっと飲み込んだ。
すると部屋のドアがノックされる音が聞こえてきた。
「お、お客様。お客様にお客です。きゃっ!」
女性店員の悲鳴が聞こえる。そんな乱暴な知り合いなんていないぞ? というより人間の知り合いなんて居ないのだがな。
「我々はエルマーダ王国の第二王女アイーシャ=ラ=エルマーダ様専属近衛騎士団である。こちらに我が主であるアイーシャ様が居られると報告を受けた。事実かどうか、どうか部屋の中を確認させていただきたい」
といいながら、丸状のドアノブが回った。
えっ、許可なしに入ってくるの!? まじかよ……。
「お嬢様! 探しましたよ!」
開けられたドアから出てきたのは俺と同じくらいの青年。金髪の碧眼でどこか爽やかさを醸し出している、そんな青年だ。
一言で言うなら、イケメン死ねである。
「貴殿らが我らの主人を狙おうとしたものたちか! ひっ捕えろ!」
うん、なんとなくこうなるってわかってたよ。でもどうしたものか、ここで力づくで逃げてもいいがそうなるとこの宿が被害に遭う。
それはあまりよろしくないし……はぁ、おとなしく捕まるか。
半ば諦めムードで俺はおとなしく両手を差し出した。




