転生魔族の一言「よし、働こう!」
働く言っていますが……
祭りが終わった後日、俺たちはある重大な事に気がついてしまった。
「お金がない」
いままでリリーが勇者からあんなに巻き上げていたのに何故それが大きく減ったのか。
思い合えせば簡単なことだった。
「くじ引きを全部引くなんて馬鹿なことしてしまったからだよなあ」
「……そう、ですね」
昨日は少し、いやかなりはしゃぎ凄た面もある。が、これは不測の事態であるのも確かだった。
でも、あの金は元々リリーのお金であって俺が強く言える立場じゃないんだよな。
って、今考えてみれば俺ってリリーに養ってもらっていたということになるのか……
それは兄として失格だな!
そして俺はひとつの決断に至った。
「よし、働こう!」
場所は変わり冒険者ギルド入口前。
「まあ、異世界だからここに来るのはセオリーだわな」
誰にも聞こえないように呟く。
働くという考えが既に無くなっていた俺に再び働く意欲を掻き立たせた。
ん? そういえば今俺って仕事のために外に出ているんだったわ。いやー、すっかり忘れてたわ、アハハハ。
暖簾をくぐり、建物の中に入る。
そこはやはり、冒険者というべきかガハハハハと豪快に笑う声が絶えなかった。
右に酒場、左に受付等か。
目だけで周りを見てここの作りを軽く確認した。
「あのすみません。俺たち冒険者になりたいんですが」
さっそく、入って左にあるカウンターに座っている女性に話しかける。
即座に営業スマイルを見せた。
「いらっしゃいませ。冒険者ギルドにようこそ。えっと冒険者登録ですか?」
「えっと、はい」
「かしこまりました。では、この紙に必要事項を記入の上またこちらに来てください。ペンはあちらにありますのでよかったらご利用ください」
紙をそれぞれ受け取り受付の女性が指した場所に向かう。
ペンを持ち、必要事項を確認する。
「ふむふむ、……「フッ、わからん」」
これが俺たちの結論であった。
だって人語読めないんだもん。昨日のお祭りとかはなんとなく雰囲気でどんな店かわかったけどなにこれ。全く読めないんだけど! ミミズみたいな字しやがって。中学の頃の俺じゃあるまいし、ちゃんとしてくれよ全く。
仕方がないので、受付の女性に代筆をお願いした。
いやあ、代筆とかしたことないから分からなったけど、結構恥ずかしいよ。だって、自分は文字が読み書きできませんって言っているようなものだからね。それってこの世界では別段おかしなことじゃないみたいだし、元の世界でも国さえ違えばそうなっていたかもしれない。
でも、日本に住んでいた俺からしてみれば結構恥ずかしいもんですよ。
必要事項は、名前、種族(勿論人間と嘘をつくがな!)、戦闘スタイル、必要事項ではないが、魔法使いなどのみ使える魔法。
今回俺は
名前 ヨゾラ
種族 人間
戦闘スタイル 魔法剣士
魔法 光魔法
こんな感じにした。
なんで魔法使いじゃないかって? しれたことよ、こっちの方がかっこいいだろ?
それにチートは魔法だけじゃないからな。
リリーも登録が終わったようだ。
名前 リリー
種族 人間
戦闘スタイル アイドル
魔法 籠絡(実は淫魔魔法)
アイドルって戦闘スタイルってあるのかよ!
「はい、では少しお待ちください」
「「――?」」
これで完了なのかと思ったがそうではないのか?
そう疑問におもった俺の目の前に受付の女性が持ってきたものに俺は言葉を失った。
大きさ胸ポケットなどにすっぽりと入りそうな長方形、表面は何やら液晶画面のようなものに周りは革か何かわからないもの。
極めつけに下の真ん中には丸いボタンが付いていた。
これは――
「スマホじゃね?」
異世界に来て、まさかの再開。
「これはギルドカードです。お受取りください」
俺はスマホ――じゃなくてギルドカードを手にした。
ハッハッハ、皆さんこの展開は予想してなかったでしょう!
フッ、異世界にはスマホが無いって誰が言ったよ?
あるんだなぁ、これが(本作中ではスマホとは言っておりません)




