リア充という言葉がこの世界にも存在した その2
ようやく許しをもらい縄を解いてもらった俺は、罪滅しのために今度こそリリーと町の散策をすることにした。
あ、そうそう。やけに人が多く感じたの、あれ今日が祭りだっからだそうだ。
ここらへんで祭りができるほど余裕がある町はここぐらいなものだから必然的に他の所からもくるのだそう。いやぁ、人騒がせなもんだぜ。
「あっ! 隊長あれは何ですか?」
リリーさん、俺はこの世界で外に出たのは初めてなんですよ? そんなこと知るわけないじゃないですか。
と、思いながらも視線をリリーの指差す方向にやる。
リリーの指を指す方向には、細い棒の先に果実が刺さっていて、その果実には何やらツルツルしたものでコーティングされているのもだった。
あれって、もしかして……もしかするのか?
「リンゴ飴?」
見た感じそうだった。
日本では赤色にコーティングされていたけどこっちのは黄金色で、金平糖みたいな。砂糖そのものの色を感じさせた。
「りんごあめ」
「あ、ああ、多分ね」
「おいしそうですね! すみません、リンゴ飴を一つ!」
「あいよ。じゃあ好きなのを選びな」
そう言われたリリーは少し悩むも、一番大きいのを選んだ。
やっぱりここは大きいほうを選んだほうがお得だよね。
リリーは受け取ったそれをペロペロと舐める。
え、エロい! エロいですよ淫魔さん!
「んはぁ、ちゅぱちゅぱ……ぺろれろ」
若干息を荒らげながら舐めるそれは、もうエロい!
ちょっと、これは公共の場では見せてはダメなのでは!
周りの人を見ると、男共は前かがみに、彼女と思わしき人はリリーを睨め付けハンカチをかんでいる。
うわ、初めて本当にハンカチをかんでいる人を見た! 今にも「キー!!」って言いそうだな。
……女性もそうなんだけど、独り身の男も何やらブツブツと
「爆発爆発爆発ry」「もげろもげろもげろry」「あの二つの巨峰で窒息してしまえ!」「おいおい、それは羨まだぜ」「そうだぜ! あんな巨峰で死ねるなら俺金払うね」「まあ、兎に角隣の男が気に入らん」
男共のギラギラした目が怖い。マジだ! 殺される!?
「あっ! わたあめありますよ!」
俺がいつ殺されるかわからなくて冷や汗ダラダラなのに、リリーちゃんなんでそんなに能天気なの!
お、おいこら! ギラギラした目で見るんじゃない!
そして、俺はつい最近まで気になっていたことを思い出した。
「なあリリー。最初の宿屋のときから聞きたかったんだけどその金どうしたんだ?」
小袋の中に入っている金を指さしてリリーに聞いた。
「あ、ああ、それはその……」
それを聞いた途端リリーは体をもじもじし始めた。
ハッ! もしかして、こいつ俺に内緒で体を売ったりしてないだろうな……お兄ちゃんは認めません! 出てこい! リリーの体を汚した奴出てこい!
「勇者から拝借しました」
「へ?」
「いつも勇者を村に置いてくる時に勇者の財布から少しずつ貰っていってたんです」
「あ、そうぉ」
そ、それは所謂追いはぎなのでは?
まあ、迷惑料として貰っていると思えばいいのかもしれないけど。
迷惑といったら、俺が中層フロアにいること自体が勇者たちにとっては迷惑なんだけどな。
小袋を覗くとさすが勇者といったところか、金貨がザックザックと入っていた。
「ん? なあこれだけ金貨が入っていたら昨日の宿二つとっても良かったんじゃないか?」
「――! さ、さあ次のお店を見て回りましょう!」
「……あやしい」
まあ、削減することは良いことだし別にこれ以上は追求する必要もないか。
てか、綿菓子はどうしたよ。