1.ムハイマルとメフィス
宇宙に人類が進出していた時代
辺境の開拓惑星EUE2274に一隻の宇宙船が降下しようとしていた。
宇宙連邦の首都、地球にある公立地球大学の調査船だ。
EUE2274は地球型の惑星で人類とよく似た種族がいたが、恒星の寿命で絶滅しようとしている。
そしてムハイマルはこの星の調査をする為にこの宇宙船に乗っていた。
ーー数時間後、調査団を乗せたシャトルは惑星の地表に着陸していた。
かつて湖だったであろうそこは地面がひび割れ、雲ひとつ無い空からは有害な紫外線が降り注いでいそうだ。
調査団は二十名からなる。各々が護身用にレーザーライフルを携行し、観音開きになったシャトルの後ろから吐き出されたバギーで行動する。
そして数時間走る事、車列の前に集落の様なものが見えてきた。カッピカピの土壁と渇れた麦藁の屋根。殆んど原始時代だ。
バギーを降りた私たちは村を歩き、探索を始めた。人はいるが旧時代の発展途上国か、骨と皮だけの辛うじて生きている人だけが醜態晒している。
「ひでぇなこれは……」
ムハイマルのの隣にいた探査員の一人が汚物を見るような目で……タブレット端末を片手に原住民を睨んでいる。
ムハイマルはその無慈悲な光景に我慢できなかった。
「おい、何でここの人たちを助けないんだ、銀河連邦の国力ならここの原住民とか…………救えるだろ。」
ムハイマルは思わず同期の仲間の肩を叩く。その唯一の同期、今では珍しい東南アジア系のメフィスは首を横に振った
「駄目だ。DNAオーバーホールによる不老が実用化した今、人口過剰で自殺が遠回しに推奨されてるんだ、ここの人なんか……」
「だっで宇宙連邦だぞ?ここは西暦時代の野蛮な国家じゃないんだ!」
思わずムハイマルは感情的になってしまっていた。そして怒りが頂点になりかけた途端………周りの隊員が身体を取り押さえた。
そして彼は宇宙船のラボに送還された。
「俺は間違っていたのか……」
帰りの宇宙船でメフィスに問いかける。今度の彼は否定した。
「間違ってはいない、人が不老を手にした時から全てが狂ってしまったんだ。」
「そうか。なぁメフィス、俺はやるぞ。このふざけた連邦を破壊してやる、社会を粉砕してやる」
メフィスはムハイマルの言ったことを冗談かと思っていた。だが。