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世紀末アイドル スーパーウルトラグレイトミラクルガール☆カナエちゃん

作者: こけし

I could not look back,you'd gone away from me

I felt my heart ache

I was afraid of following you

When I had looked at the shadows on the wall

I started running into the night to find the truth in me


「ふぅー!やっと終わりだぁ...もうクタクタだ〜...」


ダンスレッスンを終えたカナエはベンチに座り込んでスポーツドリンクをゴクゴクと喉に流し込んだ。


「ねーねー、ノゾミ〜!帰りラーメン食べに行かない?ラーメン。」


一緒にレッスンを受けていたノゾミも隣に座って一息ついた


「ラーメン〜?あんた、そんなのばっかり食べてると太るよ?アイドルはスタイルの維持も大切よ?」


「大丈夫だ!帰りはうちまでダッシュ!問題ない!」



天乃(あまの) (かなえ)美星(みほし) (のぞみ)の2人は今月からこの事務所に入った新人のアイドルだ。

街中で事務所の人間にスカウトされたのが事の始まりだ。もっとも、スカウトされたのはノゾミだけだったのだが、その話は後ほど。


「ダッシュって、潤々来からあんたの家までそんなに距離ないでしょ...」



潤々来とは、カナエがよく行くラーメン屋の名前だ。



「そんなことない!走ればカロリーは消え去るのだ!私は走るぞ!ラーメンを食べて走る!!」


カナエかま立ち上がり柔軟体操を始めた。カナエは、ラーメンの事になると疲れすら忘れるほど夢中になるのだ。


「あんたほんとラーメン好きよね...」


「あたりまえさ!ラーメンは人生よ...!」


カナエはドヤ顔で奇妙な冒険をしそうなポーズで座り込むノゾミを見つめる

そこに一人の女の子が近寄ってきた


「のぞみん、かなえん、なに話してるのー?」


「あ、ななっち!えっとね〜このあと潤々来に行こうって言ってたんだ〜」


七草(ななくさ) (かえで)

同じ事務所でアイドルをやるメンバーだ。2人とは別経緯でスカウトを受け、同じグループに配属になったが、年が同じで明るい性格という事もあり、すぐに意気投合した。


「潤々来??なにそれ」


「潤々来っていうのはね、私がよく行くラーメン屋で(※ここから、カナエちゃんイチオシのラーメン屋についての説明があります。読み飛ばしてもなんら本編には影響しません。)

とんこつラーメンが主流の店の、炒飯とラーメンのセットでワンコインっていうラーメン好きの学生にとっては願ってもいないような店でね、近隣のラーメン好き学生に密かに人気のラーメン屋なの、しかもこの炒飯が超絶品!ほろほろぱらぱらってバラツキのあるライスがすごくそそられるの!作り方教わってうちでも食べたくなるおいしさなんだよね〜...あ、でね、この炒飯とラーメンのセットがスタンダードな人気があるんだけど、おなかすいたなぁって人にオススメなのが、ちょっとボリュームあるけど、炒飯とラーメンにプラスでカレーライスのセットがあるの!炒飯なのになんでカレーライス??ってなると思うけどこのカレーライスがまたおいしくてね、もちろん単品でも食べられるんだけど。カレーが好きだ!って人の間でも人気になって、ラーメン屋なのにカレーライスを食べに来る人も出るくらいおいしいの!私はラーメンが好きだからあんまり食べた事はないんだけど一度は食べてみたほうがいい一品だよ!ちなみに私の個人的な考えなんだけど、ラーメンに浮いてるゆで卵が薄切りの店ってあるでしょ?でもあれって物足りないっていうか、残念ていうか。なんか損した気分になるんだよね、でも潤々来のラーメンにはいってるたまごはなんと!!半分丸ごとはいってるの!私はね、たまごを半分丸ごと入れてるラーメン出すラーメン屋さんは、もはや愛しているとしかいいようがないと思ってるよ...ちなみにポイントカードもあるんだけど、これがいっぱいになるとなんと!ラーメンが一杯無料になるのです!無料で食べるラーメンはいつもと同じでもなんだか別次元のような味がするんだよ、ぜひみんなにも一度味わってもらいたいなぁ、あ、それでね。近くにもほかのラーメン屋がいろいろあるんだけど、ていうか全部回ったんだけどやっぱり私的には潤々来が一番っていうか、浮気はできないなぁっていうか。まあそのくらいおいしいラーメンがすごく手頃な価格で味わえる夢のような楽園というわけよ。あ!大事なこと忘れてた!潤々来はね、なんとなんと!!ネギが入れ放題なのです!すごくない?ネギの入った器が置いてあって、いくらでも入れていいの!とことん驚かせてくれるわけだよあの店は、もう最高と言わざるを得ないね。(全部読んでくれた皆様、ありがとうございました。)」



「へえー、あたしも行ってみたいなぁ」


「そんなん直行待った無しでしょ!ほらななっち行くよ!ノゾミも!」


カナエは2人の手を強引に引っ張ってレッスンルームを飛び出した。

















ー6年後ー










「ふふっ、この街も久しぶりだな」


カナエは廃墟と化したかつて自分の暮らしていた街に帰ってきた。

周りの建物はガラスがほとんど砕け

あたりは瓦礫の山だった。

むかし住んでいたいては跡形もなくなっていたが、それはすでに確認済みだった。


「だいぶ奴らからの被害がおおきいなぁ、みんな大丈夫かな」


カナエはかつて自分の通っていたラーメン屋、潤々来へやってきた。

ここは改築され少ないが人が住んでいるこの街唯一の動いている施設だ。


「みんなー、いるのかー?」


その声を聞いて一人の女の子が走ってきた


「カナエ姉だ!カナエ姉がかえってきた!!」


女の子はきゃっきゃと喜んでいる。

その声を聞いて、奥の扉が開いた。


「カナエ?」


「久しぶりだね、ノゾミ」


「う、うん。久しぶり......かな」


ノゾミはすこしおびえた様子でカナエを見つめる


「なんだよ〜まだ気にしてるのか?私がいいって言ったんだからいいんだよ、ノゾミは人類なんかより守るべき存在があるし、ノゾミを守ってくれる人もいるでしょ?」


ノゾミは結婚していた。2歳年上で、潤々来の大将の息子だった男と結婚し、娘もいた。


しかしノゾミの表情はかわらない。

そしてノゾミは恐る恐る口を開いた







「あの人、死んじゃったの。」


カナエは一瞬時が止まったように思った

そしてなお怯える顔のノゾミを

じっとみつめている


「街を見ればわかると思うけど、奴らが攻めてきたの、半年前に。私たちも見つかって、それで私、力を使って反撃しようとしたんだけど...あの人に止められて、自分が囮になるから、その間にこの子を連れて逃げろって...」


カナエは何も言い返せなくなった。

沈黙が続く。



「カナエ姉、もうずっと帰ってきてるまま?」


ノゾミの娘が口を開く


「ヒナミちゃん、ごめんね。まだずっとは居れないかな。」


ヒナミの表情が暗くなる。

それをみてノゾミが聞いた


「やっぱり、まだ終わらないの?」


カナエは黙って頷く



「カエデちゃんは?」



カナエは黙って首を横に降る


カエデは2年前に消息を絶ってから行方不明のままだった。



「なんで、こんなことになっちやったんだろ。」


カナエはたまらず言葉をこぼした


「運命っていったら片付いちゃうけど、そうだとしたら私たちの運命って悲惨なものよね。」


ノゾミはヒナミを抱き寄せて暗い表情をいっそう曇らせる。









6年前のあの日、皆でラーメンを食べにこの潤々来へ向かうことになったその日。全ては終わり、全ては始まった。





突如降り注いだ巨大な隕石により、世界は大混乱を起こした。

そしてその隕石から謎の生命体が生まれ、本能的にか、人類を次々と皆殺しにしていったのだ。


そしてその隕石の落下と時同じくして、3人の元に巨大な光が降り注いだ。


本当に偶然かはわからない。

その光の中から、ミロと名乗る妖精が現れ、半ば強引に謎の力を与えられた。わかりやすく例えれば魔法少女である。


世紀末アイドル スーパーウルトラグレイトミラクルガール☆カナエちゃんとなり、同二人とともに変身したのだ。


魔法力はそれはそれは強大で、謎の生命体を次々と倒していった。

しかし、倒しても倒しても、新たに降ってくる隕石から生まれる生命体が人類を襲うループが続いた。

そして侵略者退治に明け暮れて二年ほどして、突如ミロは姿を消した。

いや、責任を放棄したのだ。


侵略者は力をどんどん増し、はじめは会っとく的だったものが徐々に苦戦を強いられたのだ。

ミロはおそらく、このままでは私たちがやられ自分も消えるとおまったのだろう。それを恐れ私たちに力を与えたまた消えたのだ。迷惑な話だ



力を持った私たち三人はなぜか侵略者たちの標的になった。

そしてそんな日々が続く中、はじめの脱落者がでた。ノゾミだ。

ノゾミは精神的にもやられ、もはや戦える状態ではなかった。そこで話し合いの結果、この潤々来に預けることにした。それまでも潤々来は3人のアジト代わりにも使われていたので、生活は今までと代わりはなかった。それからいろいろあり、いつのまにかノゾミは潤々来の一人息子と結婚した。精神はだいぶ落ち着いたが、力を使うとまた不安定になるかもしれないのでそれは禁じてある。


カエデは、ノゾミの結婚からさらに一年の大規模抗争のときに離れ離れになり、それっきりになっている。

生きていてくれるとカナエもノゾミも信じていた。

どこかで活動している報告もないので、絶望的ともいえるが、そのことは二人とも口にしないようにしている。


そんなこんなで、いま世界で侵略者と戦える戦士は世紀末アイドル スーパーウルトラグレイトミラクルガールであるカナエだけなのだ。



「ねえ、いつまたここを出るの?」


ノゾミが聞いた。


「んー、あんまり長居はできないね、あいつらきっとまだどこかで暴れてるだろうし、のさばらせとくと増えちゃうからね。」


「そっか...」


「...いや、すぐに行かなきゃいけないかも。」


カナエの目つきが変わった。

この6年の戦いでカナエはかなり成長した。敵の気配も感じ取れるのだ。


「ごめんね、またくるから。」


「うん、またね。」


ヒナミも続く


「またね、カナエ姉。」


「またね!...じゃ!」


そう言うとカナエは腰につけていた機械を取り出し眩しい光に包まれ

世紀末アイドル スーパーウルトラグレイトミラクルガール☆カナエちゃんに変身した。


次の瞬間、カナエの姿は見えないほど遠くに飛び去ってしまった。






「カナエ、ごめんね、いってらっしゃい...」



















「...はっ!!!」


気づくとカナエはベッドの上で寝ていた。


「ゆ、夢か...すごい長い夢見てたきがするなぁ...」


ふと時計に目をやると

時間は9:30をさしていた


そしてスマホから勢いよく着信が鳴り響いた。ノゾミからだ。


「あ、あれ...どうしたのこんな早くから...」


「何って、あんた今日からレッスンはじまるのよ?集合時間と場所わかってr」


「ああああああああああああああああああああ!!!やばい遅刻だ!!!ひぇー!!!!!!」


この子の名前は 天乃(あまの) (かなえ) 先日街で小さなアイドルの事務所からスカウトを受けたノゾミに無理やりひっついていったら、その行動力やらを買われ君もレッスンに来いという話になったのだ。つまりアイドルになるということだ。

今日はその大事なレッスンの初日なのだ。


「うわああああ!!いってきまあああああす!!!」

寒い。

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