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夢2

作者: アダムの子セト

短いですが読んでみて下さい。

僕は道を歩いている。舗装もしてない細い道、左側には一面の田んぼ、右側には広い竹林がある。

人は数人の男性が歩いているが皆 月代(さかやき)を剃り髷を結って着物を着ている。おやおや!江戸時代かよ、その瞬間これは夢だと分かった。

頬をつねれば夢が覚める事は判っているが、珍しい時代劇の夢を見逃す手はない、じっくり見てやろうと思った。


大分前の方から町人風の男が子供と二人こっちに歩いてくる、突然、後ろの方からパカッパカッと馬らしき足音が聞こえてきた。足音はすぐに大きくなり笠を被った侍を乗せた馬が僕の横を駆け抜けた。早馬だろうか?侍は盛んに馬の尻に鞭をいれている。


それからすぐの事だった、こっちに歩いてくる子供が何かに(つまず)いたのだろうか、道の真ん中の方へよろけた。危ない!馬から子供を守ろうとした町人風の男は子供に駆け寄り子供を道の端へと引っ張り戻した。だが自身は間に合わず馬の後ろ足でまともに腹部を蹴られてしまった。町人風の男はうつ伏せに倒れたままぴくりとも動かない。死んでしまったのか?

早馬の侍は何事もなかったかの様に走り去って行った。

「酷い奴だなぁ」夢だと分かっていてもそう感じた。

倒れた町人の所へ駆け寄ろうとしたが、そこで僕は夢から覚めてしまった。


僕はベッドから起き上がり歯を磨き顔を洗った後で気付いた。

「そうか、今日は会社は創立記念日で休みだった。」

いつも子供の事は妻に任せっきり、だから今日は僕が子供を保育園に送って行くことにした。いつもは車で送り迎えするが今日は天気もいいし歩いて連れて行くことにした。歩いても15分程の距離だ。


家を出て子供の手を引いて歩き始めた。子供も天気が良くて気持ちいいのかキャッキャッといって喜んでいる。

大通りに突き当たると右へ曲がって歩道を歩いて行く。

暫く歩くと強い風が吹いた。子供の帽子が風にさらわれ車道に転がっていった。子供は僕の手を離し帽子を取りに車道へ飛び出した、子供のすぐ向こうには大型トラックが迫っている。

僕はダッシュして駆け寄り子供を歩道側へ突き飛ばした、次の瞬間、僕の目の前は真っ暗になった.......






暫くすると回りが明るくなった。僕は歩いている。子供の手を引いている。子供の姿を見ると月代(さかやき)を剃り小さな髷を結っている。自分の頭を触ってみるとやはり髷がある。

僕は理解した。さっきの夢の町人役だと。向こうの方にパジャマ姿の僕がこっちに向かって歩いてくる。

すぐに侍を乗せた早馬がパカッパカッと音をたててこっちに向かって来た。

『子供も助けるし僕も蹴られないぞ』そう思った瞬間 子供が躓き道の中央へとよろけた。子供に駆け寄り道の端へと引っ張り戻した。だが間に合わなかった。自分は駆け抜ける馬の足でまともに腹部を蹴られた。 


「痛い!」と思った瞬間 目が覚めた。

僕はベッドから起き上がりまた歯を磨き顔を洗った。

子供を徒歩で送って行くのは駄目だと解っているが 体が言うことを聞かない。

『よせ車で行け‼』そう思っても前と同じ行動を取ってしまう。


「じゃあ 行ってくるよ」と妻に言うと僕は子供の手を引き歩き出した。

大通りに突き当たると右に曲がり歩道を歩く。

『子供の手をしっかり握れ!』そう思っても手が言うことを聞かない。

やがて子供の帽子が風にさらわれ子供は車道に飛び出した。

僕はダッシュして駆け寄り子供を車道の端へと突き飛ばした。

大型トラックは目の前だった。

僕の目の前は真っ暗闇となった...........





『あれっ!どうなってる?意識があるぞ』そう思った瞬間、回りが明るくなった。

僕は馬に乗っている。今度は早馬に乗った侍役だと理解した。パジャマ姿の僕を追い越した。

追い越しざまパジャマ姿の僕が大声を上げた。


「止まれ!危ないぞ‼]


僕は思い切り馬の手綱を引いた。馬はヒヒーンと鳴くと止まった。町人と子供は無事だ。だが僕は馬から放り出され地面をゴロゴロと転がった。ゴキッと音がすると僕の意識は消えた.......




ある家の前に警察の車が数台止まっている。

その家の主の寝室、


「奥さん、寝ていて突然 首の骨が折れて死ぬなんてありえませんよ。

いい加減に本当の事を話して下さいよ。」と刑事。


ベッドの上には首が直角に曲がったように折れ恐ろしい形相で息絶えている男の姿があった。



      


           終




                    

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