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長四木並絋の場合 13


第二十六節


「でも、陸奥くんも大人げないな」

「なんやて?」

「こちらが知識が皆無なことはとっくに分かってるはずだよ。きっとメタモルファイトとやらにはセオリーや地域的な戦法の流行、メタゲームなんかもあるはずだ。今更情報を少し提供してもいいんじゃないかな?」

「…ゲームを了承もせん相手にこれ以上の情報は提供したないな」

「じゃあせめて陸奥くんの能力が相手を男にするのか女にするのかくらいは教えてくれ」

 やれやれ、というジェスチャーをする陸奥。

「ええやろ。オンナや」

 心なしか距離を取る瑛子と陸奥。

「オンナだぁ?お前、男の分際で男をオンナにしまくってきたのかよ?」

「自分、野良メタモルファイターやな」

「あんだって?」

「ワシらはメタモルファイトから自分が能力者だと気付いた口や。一般人相手に振るったことはあらへん」

「お前、分かってんだろうな?あたしはお前の能力くらってもどーってことないけど、お前は女子高生になっちまうんだぞ?」

「…それは食らったらの話や」

 にやりとする陸奥。

「やるのかやらへんのかどっちや」

「言っとくけどあたし、強いよ?」

「今まで一般人相手にばっかりしとったクチやろ?メタモルファイター同士の戦いを見せたるわ」

「今日も勝ったからね」

「メタモルファイトも知らん野良ファイター相手にやろ?ワシなら苦戦もせんな」

「ちょっと待った!」

 群尾が割り込む。



第二十七節


「何をどうすれば勝ちになるのか教えてほしい」

「んなもん、決まってんだろうが。相手をオンナにするまでだよ」

 ゴキゴキと指を鳴らす瑛子。世紀末の野盗みたいだ。

「う~ん。確かにそやな」

 周囲を見渡す陸奥。

「この中でド付き合いはスマートやないな」

 周囲は相変わらずの人ごみだ。

 帰りの通勤ラッシュ…と言っても休日だが…くらいの時間帯にはなりつつある。

「周りの人に迷惑を掛けんのもマナーや」

「…本当に戦い慣れてるんですね」

「毎日やっとるで」

「能書きはいい。どうすんだ?」

「ええやろ。変身決着や。先に完全に変身させ切られた方の負けや」

「…完全?じゃあ、部分変身もあるんですか?」

「するどいのー。ついでに言えば一般人との違いは、精神的に抵抗することで変身効果を防いだり遅らせたり出来るってことや」

「いいからやるぞ!」

「その代り!」

 少し大きな声の陸奥。

「この人ごみの中や。特別ルールを提唱する」

「いいから早く言えよ」

 にやりとする陸奥。イケメンなので嫌味が無い。

「お互い以外の誰と接触しても反則負けや」

「接触?」

「そうや。夢中で走ったり、バックステップしたりしてドーン!なんてことになったら迷惑やろ?ワシらが全力で走ったりドツキあったりして、その空振りやら流れパンチを食らったりしてみい。死んでまうで」

「…それで?」

「といっても、不可抗力で「かする」くらいはあるわな。特別ルールで一回だけは許したる。それ以降は即負け。勿論、1回は可能なルールを悪用して意図的に一般人を巻き込む戦法は紳士協定で禁止や。…どや?」

「…いいぜ」

「成立やな。ただし、ワシがあっちの壁にタッチしたところからスタートや。ええな?」

 目の前にある通路反対側の壁を指さす。距離は3メートルというところだ。

「いいけどよ。お前はいいのか?」

「ワシか?何でじゃ」

「男最後の日になるかもしれねえぞ。思い出に好きなオンナ抱いたりしなくていいのか?」

「…おおきに」

「瑛子さん、それは」

「ストップ!」

 陸奥が制止した。

「もうアドバイスは終わりや。行くで」

「来い」

 陸奥がスタスタと反対側の壁に向かい、そしてタッチした。



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