長四木並絋の場合 09
第十九節
「あたしは女だから効かないよ」
「いや、そんなことは無いと思う」
「あによ、男にされたりするっての?」
「それは分からない。でも、今日の小太りは男の子専門じゃなかった…いや、明らかに女の子がねらい目だったはずなんだ」
「…で?」
「推測だけど、元は女の子を『変身』させて意のままに操ってたんだと思う。でも、変える姿が女子高生くらいの年齢で、制服まで同じだったから結果として変化が無く見えたってだけじゃないかな」
「…?オンナを女にしてたっての?」
「『相手を女子高生にして女子の制服を着せる』のが能力だとするなら、仮に成人女性や、幼稚園児でも女子高生にしちゃうことになると思う」
「…年の話はともかく、女を女にしてどうすんのよ。意味ないじゃない」
「意味なくはない。この能力は相手を精神的にコントロール出来るよね?」
「そっか…ってちょっと待って。さっきの小太りにはそういう能力効かなかったよ」
「ちょっとすんまへん」
突然声を掛けられて驚く二人。
「自分ら面白そうな話しとるな?混ぜてんか」
背の高いオシャレ制服の男がいた。
第二十節
「あぁ?何だテメエは」
ヤンキー娘ではなくて、単に口が悪いだけだったのに、能力を背景にした自信からかすっかり言動が荒れている瑛子。
「いや、聞き間違いやったらかんにんな。自分ら、メタモル能力の話しよったやろ?」
顔を見合わせる瑛子&拓哉。




