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長四木並絋の場合 01
第三章 長四木並絋の場合
第一節
「…やっぱり」
「どうした?」
「何か感じるよ」
沢尻瑛子は棒付きのアメを咥えながら言った。
「それは…どういうことかな」
群尾拓哉が聞く。
「…上手く言えねえけど…」
二人はデートの真っ最中…ではなかった。
週一でやろうと決めていた「悪者狩り」である。
ある日を境に発現した瑛子の特殊能力は、「信じられないほど素早く動き、猛烈に戦闘が強い」というものである。
ケンカ自慢のチンピラ相手であっても、十人程度なら一方的に勝ってしまうほどだ。
不意打ちや死角からの急襲にはある程度ダメージはあるものの、意識して受ければ常人をはるかに超える防御力を誇る。
そして…相手の男を女へと性転換させ、女子高生の制服姿にしてしまうことが出来るという特殊能力まで得るに至っている。
これによって幼女暴行常習犯のレイプ魔を変身させ、社会的に抹殺した上に絶対にバレないという特別な存在となっていた。
これは「メタモルフォーゼ(変態)」から「メタモル能力」と呼ばれるものであるのだが、彼女たちはまだそういったコミュニティがあることを知らない。




