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陸奥海斗の場合 04


第七節


 変身と言っても、メタモルファイトにおける変身は、女への性転換と着ている服の女性化である。

 意識配分によって元々長くなっていた陸奥の髪や出っ張っていた乳房などはあったが、それ以外も完全に女性化し、そしてオシャレなブレザーは、漆黒のセーラー服…純白の三本ラインと血の様に紅いスカーフ…となっていた。

「…ふ、スカート丈の長いセーラーかいな。クラシックやな」

 すっかり少女の声になった陸奥。

 口調と挙動が全く似合わない外観であるのは、メタモルファイトに付き物の光景だ。

「けど、それやったらこっちの勝ちや」

「…これは…」

 橋場の身体もすっかり女体化が完了していた。

 若干背が高くなっている。

 女体化した場合、多くは背が低くなる。例外は先日のスチュワーデスにされた時だ。メタモル能力は変える職業先をトレスするのでそうなる。

 そうでない場合は、年齢が上がる時などだ。

 いつもにも増して発育のいい胸…細身ながら丸く膨らんでいることが分かるお尻…かなり年齢を上げられたらしい。二十歳過ぎか?

 髪の長さは肩までで、純白のブラウスに黒いスーツ。そしてパンツスーツだ。

「どや?所謂いわゆる、「リクルート・スーツ」やで」



第八節


 これと言って格闘技の心得がある訳でもないが一応構える。

 全身を覆う違和感は相変わらずだが、不本意ながらメタモル・ファイターはキャリアを積み重ねるごとに「女体化・女装化」には免疫が出来てくる。

 自分の胸が膨らんでブラジャーで締め付けられ、下半身がスカートで解放されていても、「それだけ」では同とも思わなくなって行くのだ。

 ましてや戦闘中である。

 サッカーなどの球技スポーツであってすら、大怪我をしても試合中は気が付かないこともある。ましてや男が女になって女装させられるくらいではね。


 足首がぐらついた。

「…っ!?」

「ぼーっとしとるんやないで!」

 どん!とセーラー服小娘に正面から突き飛ばされた

「きゃあっ!」

 思わず声が出てしまった。

 あ、足元が…。

 今頃気が付いた。…これは…ハイヒールだ!ハイヒールを履かされてる。

 リクルートスーツにハイヒールって合わせるものなのかどうか分からないのだが、今まで着せられた女物の中でも、かなり急激なヒールである。あ、チャイナの時にも履かされてたか。

 でも、チャイナの時は女体化・女装化の後まで戦い続けることなんて想定していない。


 どうにか踏みとどまるが、両足が恐ろしくぐらつく。

「どらあああ!」

 アコーディオンみたいに広がるロングスカートを振り乱してセーラー服娘が迫る。

 靴は通学用の革靴だ。それに加えてあのスカートだと「見えちゃう」ことさえ気にしなければ非常に動きやすい。

 橋場は今まで考えたことも無い領域で戦わざるを得なかった。

 メタモル・ファイターは確かに猛烈に素早く動くことが出来る。だが、それはことメタモル・ファイトにおいては相手も同条件なのでそこで差は付かない。

 差が付くとしたら…着ている衣服だ。

 それが動きやすいのかどうかは決定的な要因となる。

「きゃっ!」

「おらああ!」

 うら若き乙女に似つかわしくない気合と共に、柔道の「大外刈り」を仕掛けてくる女子高生。

 必死にとあるイメージをしながら振りほどく。

「わきゃあ!」

 何とも可愛らしい声と共に陸奥がバランスを崩しそうになった。



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