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陸奥海斗の場合 03


第五節


「勝負成立や。ヒント教えたる。関西ではもうガチが定番や」

「ガチ?」

「基本である相撲ルールで何十試合も戦うんじゃ。その時に有利なプレイヤーの特徴は『THD』(てぃーえいちでぃー)と呼ばれとる」

「THD?」

「知らんらしいな。ならワシに勝ってみい。THDについて一部教えたるわ」


 斎賀たちと散々練習してきた「意識配分」による戦い方が有効なはずだ。

 攻撃と防御を兼ねた戦い方が出来る。

 これまでは逃げ回って相手のガードをかいくぐって当てる戦いになりがちだったが、「意識配分」が判明して以来、必ずしもそうではなくなった。

 いつまでも睨み合っていても駄目だ。

 幸い今回は「相撲ルール」。

 要するに相手の姿勢を大きくぐらつかせればいい。こちらが変身しようと何しようと関係ない。


「おらおら!突っ立っとるんならこっちから行くで!」



第六節


 急激な突撃だったが、橋場は落ち着いていた。

 相手の出かたを見たいし、「意識配分」レベルも未知数。とりあえずフェイントの後の防御を考えて基本の「防御部分に意識配分」で迎え撃つ。

 予想通りまっすぐ突撃してきたと思ったら、急激に向きを変えて逃げ際に蹴りを放ってきた。

 脚を上げてカットしつつ、接触を幸いに相手の頭に意識を集中する。


 距離を取って向かい合う橋場と陸奥。

 一瞬遅れてわさわさと髪の毛が長く伸びる陸奥。

「…何やこれは」

 イケメンなので長髪も似合ってはいる。

「おもろいやないか。妙な技をつかいよるで」

 こいつは意識配分が出来てない?

 蹴りをカットした際に相手からの明確な意思は感じなかった。そしてこちらが相手の髪の毛に意識集中した際も、それに対する特段の防御意識も感じなかった。

「髪が伸びても勝ちやないで!」

 陸奥の猛攻が始まった。

 意識配分も何もない怒涛どとうのラッシュ。

 一秒に何度も出す振りとフェイントを織り交ぜて的確に身体のあちこちをタッチしてくる。


 どうにかこうにか懸命に相打ちを織り交ぜて防ぎに行く。

 橋場がリードしていたのは「意識配分」だけだった。それ以外は陸奥が圧倒していたと言える。完全に互角だった。


「ふ…やるやないか」

 息が上がっている。基本的にメタモルファイターは疲れを知らない。メタモルファイト以外では。

「そっちも…な」



 神の悪戯いたずらか、お互いの変身への精神抵抗が同時に閾値を超えたらしく、二人は同時に変身した。

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