シンタロウ・オガタの場合 11
第十一節
「そうなると益々分からん」
シンが続けた。
「余計に客層がかぶらないぞ。商売敵になるとは思えん」
そんなお金持ちは、一番いい酒でもすぐにホコリが混入しそうなこんな“庶民的”な店に顔なんぞ出すまい。
メグがため息をついた。
「…あたしが目当てなの」
「…は?」
「そうなの」
「…まさか…」
一瞬間があって、メグが覆慌てて手と顔をぶんぶん振り回した。
「違うわ!ウェイトレスとして雇いたいんじゃないの!違うわよ!」
…そこは否定しておかんとな。一瞬、中年女性のバニー姿が脳に浮かんでしまった。
「そんなお店イヤでしょ?あっちの平均年齢は二十歳くらいだから」
「…未成年の娘もいるのかよ」
シンのイメージだと、女子高生を中心の帯域として女の価値を認めかねないほど精神的に未成熟なのは日本くらいで、アメリカともなればグラマーでセクシーな妙齢の美女が一番求められていると思ってた。未成年のチビガリ女なんぞ興味の対象外だろうに…と。
「全員じゃないわ。中にはロリコンもいるらしいから」
「ロリコンねえ…」
ロリコンも国によって定義が違うらしいが、メグにとっては二十歳より若い娘に欲情する男はロリコンらしい。
「…気を悪くしないでほしいが、そうなると益々…」
「別に気は悪くしないわよ。今更ティーンエイジャーと何を張り合うのよ。チアリーディングの技術?」
「すまん」
「そうじゃなくて…」
「要はメグに横恋慕してるわけか」




