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シンタロウ・オガタの場合 09


第八節


「隠しごとはためにならんぞ」

「まあまあ、いないものはいないんで」

「うるせえ!」

 いきなりの大声と共に近くのテーブルを蹴ったサングラス。

 大きな音と共にボトルとグラスが落ちた。

「テメエ…なめてんのか…?」

「スミス!やめて!」

「やかましい!」

 メグを一喝するサングラス。

「…営業時間内に来るなんて…」

「あぁ?俺らは客だぞ?この店はえり好みすんのか」

「スミス…」

 パンパン!と手を叩くシン。

「はいはいそこまで!」

「だから何なんだテメエは!」

 ぐいっとスミスの正面に立つシン。

「…今日のところは帰りましょうや。おたくらにも仁義があるでしょ」

「…女の前でいきがるなよイエローが。テメエメグに手を出したらどうなるか…」

「スミス!」

 それほど広くない店の注目が集まっている。

 長い長い沈黙が訪れた。

「…いいだろう。今日は帰ってやる」



第九節


「あいつらはしょっちゅう来るの?」

「毎晩の様にね」

「…何が目的かな…ありゃ暴力団だ。みかじめ料ってところか」

「…例のバニーズ・バーの連中よ」

「バニーズ・バー?」

「ええ。ここから一マイルのところにるわ」

「…おいら南からこの街に入って来たからなあ…」

「行きたかった?」

「いや、所持金が十ドル無かった男が入れるとは思えないね」

「その通りよ。あたしは行ったことないけど、話じゃあ座って五〇〇ドルからスタートなんだって」

 ひゅーと口笛を吹くシン。この辺りはアメリカナイズされているようだ。

「五〇〇ドルか…その上追加料金だよな」

 一応我が国の通貨換算レートは「一ドル=およそ一〇〇円」とはなっている。

 だが、それはあくまでも「通貨換算レート」であって、そのまま生活感覚と一致している訳ではない。

 一度でもアメリカで過ごすと分かるが、「一ドル札」は非常に生活に密着していてこれが基本となる。

 紙質も良くなく、少々破れて角が欠けていても一流ホテルで普通に使えるあたりの大雑把さも日本人には新鮮だ。

 ともあれ、「ドーナツとコーヒーのセットで一ドル」と言う風に、「一ドル」という単位は使われる。その為、そのまんま「一ドル=約一〇〇円の価値」と当て嵌められない。

 敢えて言うならば、生活感覚で言うと「一ドル」は日本人が考える「四〇〇円~五〇〇円」に匹敵すると考えれば最も近いだろうか。

 なので、「五〇〇ドル」はそのまま計算すれば「約五万円」だが、皮膚感覚ではその数倍以上と思って間違いない。

「その上セクシーバニーちゃんたちのサービスだもんね」

 「うさぎ」の訳語としては「ラビット」が有名だが、これは飼われていない「野うさぎ」のことらしい。

 では「バニー」とは同じうさぎではないのか?と思われるが、これはむしろ「幼児語」の「うさちゃん」という語感に近いらしい。

 まあ、成り立ちから考えても「ラビット・ガール」よりは「バニー・ガール」とした方がいろいろしっくりくる。

「しかしわからんな」



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