プロローグ 01
「メタモル・ファイト!4」
作・真城 悠
・敵意・害意を持った相手に対し、触れることで相手を女性へと性転換し、女装させてしまう能力である「メタモル能力」が存在する。この能力の持ち主を「メタモル能力者」「メタモルファイター」と呼ぶ。
・彼らは一人に付き一種類の衣装という個性を持つ
・彼ら彼女らに女性へと性転換された被害者は元に戻ることは出来ない。
・メタモルファイター同士の腕の試し合いを「メタモル・ファイト」という
・「メタモル・ファイト」を行ったメタモルファイターは、試合後、元に戻ることが出来る。
プロローグ
ガラガラという音。
制服姿の男子高校生が入ってきた。
ごく平凡ながら清潔感のある好青年だ。若干気が弱そうにも見える。
「閉めろ」
部屋の奥から濁った声がする。
「…はい」
一瞬ためらってから後ろ手にぴしゃりと引き戸を閉める。
「カギもだ」
「…?はい」
言われた通りにする男子生徒。
後ろを振り返り、付属のぶら下がった鍵を持ち上げ、奥まで差し入れて回転させ、内側から鍵を掛ける。古い校舎ならではのレトロな鍵である。
「どこまで知ってる」
「何のことでしょうか」
人気のない資料室の真ん中にテーブルが置かれており、椅子に座った男が男子生徒を正面から見据えている。
締まりのない身体にフケの浮いているボサボサの髪。
ワイシャツにネクタイを締め、ダークスーツのズボンとごく平凡な社会人スタイルだが、全ての衣類が皺だらけで実にだらしがない。
目つきは血走っており、そわそわと貧乏ゆすりをしている。
部屋の隅には体育倉庫にでもありそうなマットが放り出してあり、ただでさえ埃っぽい部屋が余計に埃っぽくなっている。
「とぼけるなよ?あぁ?」
全く迫力の無い威嚇を口にする男。声が甲高く上ずっていて平常心を失いかけていることが察される。
「何の事だか分かりません」
男子生徒は努めて平静を装い、直立不動で答える。
「ウソをつくなあぁ!!」