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「き、キスの味はイチゴ味ランキングです! はっ! 二度も言わせないでください!」
乗りツッコミの応用バージョンが披露された……。そんなことはどうでもいい。
「な、なんですと!?」
「だ、だから、キス――三度も言わせないでください!」
いや、梨花さんが勝手にいっただけだろ。
「えっと、そのランキングで見事一位に?」
「……はい」
「イチゴ味?」
「……はい。って何確認とっているのですか!?」
「か、確認させてほしいんだけど」
「は、はい。――はい!? む、むむむりに決まっているではないですか!」
「孝明のバカ! あほぉ! なにいってるの! バカ! あほぉ!」
二回づつ、バカ! あほぉ! を言わなくていい!
しかし、まあ……うん。
「り、梨花も相当、つらかったんだな」
「はい……そういってもらえるだけでうれしいです。孝明くんって――ううん。なんでもありません」
いろいろ、言いたいことはあるけど、今回はこの辺にしてあげよう。うん。そうしよう。
帰り道。午後七時半、部活も委員会活動も多分終わったであろう、この藤森学園高校。
孝明たちがなぜこんな遅くまで学校にいるかとかそんな疑問は持たないでほしい。簡単に言うと、人がいなくなるまで退避。
そんで、やっと全生徒がこの校内からいなくなったであろうと思い、孝明たちは行動を始める。
案の定、人混み一つ見つけることなく、校外へと出ていく。そして、ふと疑問に思っていたことを孝明は桃にしていた。
「なあ、お前のランキングはなんなんだ?」
「わたし? わたしはね~。としをとらないランキング! えへへ~」
「な、なるほど……」
正直、成長してほしいと孝明は密かに思うと同時に……確信した。
――あのランキングは一〇〇%当たる!
こうして、また一夜はあっという間に去っていった。