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とある音楽隊の話

ジャーン♪テレテレテッテー♪ジャジャーン♪テッテッテー♪

ドンドン♪

ジャーン♪テレテレテッテー♪ジャジャーン♪テッテッテー♪

ドンドンドン♪

ピーーロリロー♪ピーーロリロリラルー♪

ピッピーロリロー♪

ジャーン♪テレテレテッテー♪ジャジャーン♪テッテッテー♪

ドンドン♪


………あ、あれ?勇者様…ですよね?あれ、おかしいな?何で僕らの姿が見えてるんだろう。見えてますよね?やっぱり?あっれー?魔法とけちゃった?


ピッピーロリロー♪


あ、ちょっと待って。ストップストップ、演奏ストップ!みんな、一旦止めて!ストップー!!…はい、ありがとう。あのね、何か勇者様に僕らの姿、見えてるっぽい。…どうしよう?…とりあえず、自己紹介するべき?すべきかなぁ。

えっと、初めまして勇者様。というか僕らは勇者様のことをとってもよく知ってるんだけど、勇者様は僕らを「見る」のは初めてだよね。僕ら妖精は、見ての通り勇者様専属の音楽隊です。こうやって話をするのは初めてですけど、僕ら今までずっと勇者様と旅をしてきたんですよ。え?全然気がつかなかったって?うーん、人間ってよくわからないなぁ。確かに僕ら、魔法で姿を消してたよ。妖精の特別な魔法だから、気配だって全くなかったと思う。気配を消すことに関して、僕らより凄いやつなんてそうそうはいないさ。そういう意味では勇者様も、僕らに気がつかなくて当然だと思うんだけど。


でも、おかしいなって一度も思わなかったんですか?だって、冒険の最中ずっと音楽が流れてたでしょ?僕らが演奏してたから。まさかそれ、よくある普通の自然現象だと思ってたんですか?人間って本当不思議だなぁ。常識的に考えて、モンスターと戦ってる最中とか、フィールド移動中とか、レベル上がったときとか、どこからともなく音楽が流れるわけないでしょうー?それって妖精的にはあり得ないことなんですけど、人間的にはよくあることなのかな?


うーん、まあいいや。人間と妖精はまた色々違うだろうからね。さっきも言ったけど、僕らは勇者様専属の音楽隊。勇者一人一人に僕らみたいな音楽隊がついて、必要に応じて音楽を演奏しているんだよ。ほら、昔から軍隊にも音楽隊、いたでしょ。兵士を勇気付けたりするために。あれと同じことだよねー。僕らはちっぽけで力がないから魔王退治のお役にはたてないしね。だから代わりにこうやって演奏して、勇者様を応援しているんだ。レベルアップのときに音楽が鳴れば「もっと頑張ろう!」って思えるし、ボス戦とかでおどろおどろしい音楽が鳴れば「気を引き締めないと!」って思えるし、フィールド移動中だって音楽がないとつまらないでしょ?シーンとしちゃってさ。寝るときだって、リラックスできる音楽が欲しいよね。

だからね、勇者様の冒険をより派ー手に、華やかーに、より素敵に演出するのが僕ら音楽隊ってわけさ!戦闘では役に立たないけど、縁の下の力持ち的ポジション?結構頑張ってるんですよ、僕ら。時々演奏が派手すぎてモンスターをおびき寄せちゃったりするけど、それだって勇者様のレベルアップに繋がるわけですし、ねっ?


それにこの仕事って結構危ないんですよー。確かに僕ら、気配は完全に消してるからドンチャン演奏をやっててもモンスターに襲われることは無いんですけど。でも勇者様が空振った攻撃に当たらないようによけなきゃいけないし…それにモンスターが空振った攻撃に当たらないようによけなきゃいけないし。後、全体魔法って人間は呼んでるのかな?魔法がどかーん!ってなるときはこっちも必死ですよ。巻き込まれたら僕ら、あっという間に灰になっちゃいます。楽器だって高価だから、傷つけるわけにいかないし。

そうそう、勇者様がまだレベル1だったときにひのきの棒振り回して練習してたでしょ!あれで僕らの内1人が当たって吹っ飛んだこともあるんですからね!ほら、そこで笛吹いてる子。あの子吹っ飛んだんですよ!あの頃の勇者様は弱っちかったから別に大怪我はしませんでしたけどね。気をつけてくださいよ、本当に。あれが鋼の剣とかだったらあの子真っ二つになってたよ!いくら妖精でも真っ二つはキツいです。


あ、いえいえ、謝ってくれなくても大丈夫です。そういうのもコミでこの仕事やってるんで。ただこうやって勇者様と直接話せるとなると、つい文句の一つくらい言いたくなっちゃって…えへへ。だって僕ら、勇者様が故郷の村を旅立つ前からずっと傍に、一緒にいたんですよ。今までの旅もずっと、それこそ24時間一緒だったんです。勇者様だってダンジョンで死ぬかと思ったことがあるでしょうけど、僕らもあのとき「死ぬ!やべぇ!」とかって思いながら演奏してたんですよ。一つくらい文句を言っても許されるよね。


…え?ぷらいばしー?なんですかそれ。僕ら妖精にはそういう言葉はないですね。第一勇者様、見られて困るようなことをなさってるんですか?あ、大丈夫ですよ。僕ら妖精は人間の裸を見てもなーんとも思ってませんから。勇者様だってスライムの裸を見ても何とも思わないでしょ。だから恥ずかしがらなくても大丈夫ですよ。え?それでも気になる?人間って細かいんだなぁ。気にしすぎですよ、気にしすぎ。


…あ、僕らそろそろ仕事に戻りますね。あんまりサボっちゃうと怒られちゃうんで。それにほら、皆演奏したくてウズウズしてますから。じゃあ勇者様、これからも冒険頑張ってくださいね。僕らも影ながら応援してますからね。


ジャーン♪テレテレテッテー♪ジャジャーン♪テッテッテー♪

ドンドン♪

ジャーン♪テレテレテッテー♪ジャジャーン♪テッテッテー♪

ドンドンドン♪

ピーーロリロー♪ピーーロリロリラルー♪

ピッピーロリロー♪

ジャーン♪テレテレテッテー♪ジャジャーン♪テッテッテー♪

ドンドン♪

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