結びの形
子供の頃従姉妹のお姉ちゃんと、お揃いのお人形を貰った、市松人形と言うのだと後で知った。
私はその人形が大っ嫌いだった、歪に見える微笑み、肩の辺りできっちり揃った髪。
何もかもが不気味に見えて、その人形で遊ぶことはなかった。
それから数年がすぎたある日、おもちゃ箱をひっくり返すとその人形が出てきた。
引越しの時に親にバレないようにこっそり捨てたはずなのに。
従姉妹に聞くとお揃いだった人形を今でも可愛がっているという。
お姉ちゃんはもう高校生だった。
久しぶりに遊びに行くと、お姉ちゃんの部屋の勉強机の上の棚に、ガラスに囲まれて飾られていた。
私は気持ち悪いと思いながらも、自分の市松人形を持ってきていた。
二体の視線が合うように照らし合わせると、私の人形が微かに微笑んだ気がした。
あれからさらに数年、私は交通事故に遭った。
猛スピードで走ってくる車に撥ねられたのだ、けれど奇跡的に私は右足を骨折しただけで済んだ。
家に帰ると、あの市松人形が右足以外ぐちゃぐちゃになっていた、私はちゃんと守られたんだ。
ぐちゃぐちゃになった人形を風呂敷に包んで丁寧に畳んだ。
「ありがとう」
人形が笑った気がした。
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