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我が家と異世界がつながり、獣耳幼女たちのお世話をすることになった件 【書籍化決定!】  作者: 木ノ花 
第二章

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第82話 続々と到着するお客様

「うひょー!? 兄貴、こんなうめえもん初めて食いましたぜ!」


「なんだこれ! 頬がきゅっとなるぞ!?」


「うめー! あめー!」


「酒が欲しくなる! エールでも調達してくるべきだったな!」


 聖堂の隅っこに座り込み、適当に手渡した菓子をパクつく小悪党スクワッド。

 飛び交う下品な笑い声を聞いていると、なんだかコンビニの駐車場でたむろするヤンキーを彷彿させる。こっちの方がだいぶ粗野だけど。


 こんな能天気そうに見える彼らも、普段は迷宮で魔物相手に剣を振るっているんだよなあ……探索者って命の危険と背中合わせみたいだし、ガテン系の極致みたいな職業だ。


 憧れる子どもなんかも多そうだけど、俺は絶対にやりたくない。迷宮がどんな所か気にならないわけじゃないが、怖いから足を運ぶこともないだろう。


「おうおう、なにやら賑やかじゃな……サクタロー殿、そこの薄汚い野郎どもはなんじゃ? ワシらで叩き出しても構わんぞ」


「ガンドール殿、私もお手伝いたしましょう。ドブネズミのごとき輩が、姫様とサクタロー殿のおわす聖堂にたむろするなど看過できませぬ」


 魔法の薬類の検証にも一区切り。俺がお茶を飲みながらのんびり獣耳幼女たちのお相手をしていたら、フロア正面の出入り口からガンドールさんとグレンディルさんのドワーフ兄弟、それに白銀の鎧を纏ったエルフの騎士のカーティスさんが姿を現した。


 のしのしとこちらへ歩み寄ってくる三人は、暇になってゴロゴロし始めた小悪党スクワッドをチラ見して鼻をひと鳴らし。聖堂に転がり込んできた宿ナシの破落戸だと勘違いしたようだ。


 せっかく血を流してまで協力してくれたのに、叩き出されては気の毒にも程がある。

 三人を席に案内しつつ状況を説明し、俺はお茶の準備に取り掛かった。


 さらにここで、続々とお客様が到着する。フィーナさんの侍女さんたちや女神教の特使団の面々だ。すでに半数以上は『海神の涙(真珠)』を持ってレーデリメニアへの帰途についているそうだが、いまだラクスジットに滞在するメンバーもそこそこ多い。


 人員構成は、エルフ率多めのドワーフと獣人の混成。しかし皆さん、どこかエスニックの気配漂う刺繍が施されたローブを着用しており、おしゃれながらも統一感がある。カーティスさん含め護衛の数名は剣を佩いているものの、物腰が柔らかく威圧めいた雰囲気はまるでない。


 勢揃いした姿を改めて眺めてみると、コスプレ会場にでも迷い込んだような心地になる。ファンタジー感マシマシでワクワクだ。


 そんなお客様たちこそが、今日の二番目の予定のお相手。

 来訪の目的は、複数ある。真珠の取引の際に提案のあった使節館の機能移転の申請、この廃聖堂の惨状に対する抗議状の作成検討など。提出先は、もちろんラクスジットの統治者である公爵家。


 思ったより人数が多く、席が足りないな……と俺が困っていたら、組み立て式の椅子やテーブルを持参してきてくれていた。助かります。


 そのうえ、侍女さん方がお茶を淹れる役目を買って出てくれた。軽く説明をしたら、俺は再び獣耳幼女たちのお絵描きを眺める。


「これはサクタローさんとわたし! でね、リリとルルもここにいるよ! サリアとフィーナもいっしょで、みかんたべてるの!」


「わ、凄い! エマは本当に絵が上手だね! 将来は画家さんになるのかな? この絵は、記念にずうっと取っておこうね。帰ったら居間に飾ろう」


 エマが、尻尾をふりふりしながら説明してくれた。

 塗り絵帳の余白ページに、クレヨンで色鮮やかな絵が描かれている。


 しかも居間でのんびりしている場面だと言うではないか。みんな笑顔で生き生きとしており、温かくも和やかな雰囲気がよく表現できている。


 我が家での団らんのひと時が、エマのヘーゼルの瞳にはこんなにも素敵に映っているのか……そう思うと堪らなく嬉しくなり、不意に瞳が熱を帯びてくる。


「リリもじょうずにできた! みて!」


「んっ、ルルちゃんのもかわいいでしょ!」


 リリとルルも、自分の絵を一生懸命に解説してくれた。

 どちらも本当に上手だ。何より、色使いや形にとらわれない感性が最高に素晴らしい。これ、三人とも間違いなく天才だね!


 せっかくだから俺はキラキラのシールを手に取り、「仕上げにこれを貼って飾ってみるのはどう?」と再びオススメしてみた。すかさず、耳が痛くなるほどの喜びの声が響く。


 興味を引かれて寄ってきたサリアさんも輪に加わり、のほほんとお茶を楽しむフィーナさんに見守られながら、獣耳幼女たちはどこか調子外れな鼻歌を奏でつつシールを貼っていく。


「……お楽しみのところよろしいか? サクタロー殿」


「あ、ゴルドさん。いらっしゃいませ。つい熱中しちゃってました」


 遠慮がちに名を呼ばれふと顔を上げると、厳つい強面が視界に飛び込んできた。

 誰あろう、外見の迫力と中身の誠実さのギャップがチャームポイントな商人のゴルドさんだ。背後には、腹心の部下のケネトさんが姿勢正しく控えている。


 このお二人は、もちろん俺がお招きした。

 フィーナさんたちが諸々の要求を公爵家へ通すにあたって、適切な仲介人を挟んだほうが穏便かつ円滑に話が進む、との判断から頼らせてもらった。他にも相談したいことがあったし。


「本日は一段と賑やかであるな……あの隅でたむろしている破落戸どもは、放っておいてよろしいのか? もし迷惑を被っているようであれば、すぐに叩き出すよう外の護衛たちに申し付けるが」


 またも転がり込んできた破落戸と勘違いされる小悪党スクワッド。

 無理もない……フロアの隅で地べたに寝転がり、何が楽しいのかゲラゲラと下品な笑い声を上げているもの。帰らずに居座るつもりかな?


 いくらなんでもお行儀が悪すぎる。一応フォローはしとくけど、叩き出されたくなかったらもう少し振る舞いを正してもらわなければ。

 あ、いけません。エマたちはあっちを見ないようにしましょうね。

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