七話 合同体育祭
「もう合同体育祭一週間前とは。」
「でしょ、あっという間だよね。」
「小山先輩!びっくりしましたよ、どこから生えてきたんですか?」
「そこ。」
「そこって、埋まってるわけじゃないんですから。って、何なのこの穴。」
「会長から何か言われたの?」
「なんか急遽レポートが出ちゃったみたいで、代わりにプログラムのレイアウトを作って欲しいって。」
この学校では、今からやっておいた方が大学で楽ということで、一般的な問題集のような宿題ではなく、レポートを出すことがある。
「レポートね、この感じからするとどうせ宮前先生か、あの人、国語教師なのにレポート出すからね。それで何でこのフィールドに?確かにここで運動会やるけど。」
「このフィールドをレイアウトに組み込みたいなって。」
「それで。」
「まあ、それとは別でこのプログラムごとのルール説明とかどこで何をやるかを詳細を記した競技進行表にあってるか一応確認しにきたっていうのもあります。」
「?何が?」
「入場門とかの規格のチェックです。」
「そっか、なぜか気合い入ってる体育祭実行委員会が毎年作ってるからね。」
この体育祭実行委員会は学院側のものだ。
「先輩はどうして?」
「散歩。」
「そうですか…。」
「それじゃあ、頑張って。俺はこの後バイトだから。」
「そうですか。」
生徒会室
「規格とかはもろもろ大丈夫そうだし、後は前日に準備か。」
合同体育祭前日
「よっ。」
「柏さん?」
「俺らは設営の手伝いってところだ。」
「そうですか。他の方も?」
「いや、実行委員会だけだ。」
「そうですか。」
「ちょっと待ってください、今、倉庫の鍵を借りてきますね。」
倉庫の鍵を借りて戻って来る
「あっ、品川先輩、ちょっと手伝ってくれますか?」
「?瑞樹くんか。何だい?」
「学院側の実行委員会の方が来ていて。」
「あー、手伝いか。じゃあ、自分が行こう。君は他の人たちから呼んできてくれない?」
「わかりました。あ、鍵です。」
「ありがとう。じゃあ、またあとで。」
生徒会室
「姉さん、実行委員会来たよ。」
「えっ、誰か向こうにいる?」
「あー、うん、品川先輩が。」
「なら大丈夫か。先に行ってるから他の人呼んできて。」
「うん、わかった。」
「じゃあ、高崎、行くよ。」
「もちろん。」
「あっ、鶴見副会長に鶴見。」
「む、どうした。もう実行委員会が来たのか?」
「そうです。」
「そうか、向こうに誰がいる?」
「姉さんと、高崎先輩、あと品川先輩です。」
「まあこれだけいれば十分か。行くぞ。」
「ねえ、お姉ちゃん、どうしたの?そんなに焦って。」
「気にするな。」
倉庫前
「これをここに出してねー。あっ、瑞樹くん戻ってきた。これで三人来たから合わせて六人、これでできるね。」
「それじゃあ、生徒会役員が案内しますので、運搬の手伝いをお願いします。」
運搬後
「それでは明日の予定を確認します。じゃあ、瑞樹、よろしく。」
「まず、開会式を9:00に行います。それに先立ち、7:00から最終確認を行います。7:00に倉庫の前で集合して下さい。」
「それでは、明日に備えて解散。」
当日
「それではこれから最終確認を行います。いくつかの班に分かれて確認しましょう。」
開会式直前
「じゃあ、皆さん、自分たちの持ち場と時間を確認して、その時間にはしっかりと持ち場にいるようにしましょう。」
開会式
「今日この日を迎えることができて…」
プログラム2 綱引き
「じゃあ、実況次頼んだぞ。」
「小山先輩と一緒ですか、よろしくお願いします。」
「プログラムナンバー2、綱引きを開始します、第一戦、赤対青。」
この合同体育祭はいくつかのクラスを合わせて、新しい組を作ってそれで競技を行う。
赤、青、黄、緑、白、桃、橙、灰、黒、紫の十チームで一部競技は学年毎に行う。
「さあ、始まりました、赤対青、赤チームには力が強いことで有名な高等学校ラグビー部キャプテン、羅君がいます。対する青チーム、こちらは高等学院ラグビー部キャプテン呉君がいます。」
「まあ、この競技は一人が崩れるとみんな崩れる競技なのであまり個というよりは全体的に崩れないかどうかですかねえ。」
「そうですか。両チーム共に拮抗してあまり動きを見せません。」
「これは一度引いた方が勝ってしまうでしょうね。」
「どうでしょうか。」
「おっと、ここで赤が大きく引いた。このまま赤が引き切りました。赤の勝利です。続いて」
十数分後
「続いてプログラムナンバー3、徒競走、」
「なかなかよくできてるじゃん。」
「ありがとうございます。」
「まあ、なんだかんだ三回目だからね。それなりに上手くなるよ。」
「そうなんですか。」
「君はあの会長の弟なだけあって実力は申し分もないけどもう少し語彙力を磨いた方がいいかもね。」
「そうですか。」
「まあ、競技の方も頑張ってね。」
閉会式終了後
「美波疲れましたー。結衣先輩によると瑞樹くんはマッサージが上手なんだよね、やってよ。」
「いいけどさぁ、今じゃないと思うよ?みんな片付けしてるんだから。」
「そうですけど。」
「そうだぞ美波、運営は片付けまでやるもんだ。」
「お姉ちゃん。」
「まあまあ、ちゃんと終わらせたら褒めてもらえるかもよ?」
「結衣先輩が言うなら頑張ります!」
片付け終了後
「疲れたー、瑞樹くん、マッサージしてー。」
「はいはい、わかりました。」
こうして、合同運動会は無事、幕を閉じた。