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生徒会の日常  作者: 結城ミライ
生徒会の日常
3/7

三話 生徒総会と謀略

「瑞樹、準備しといてねー。」

「あー、わかってるよ、姉さん。」

明日は生徒総会で、俺たちの信任投票がある。否決された場合、俺たち二人は直ちに役員から解任される。

「大宮会長いらっしゃいますか?」

「ええ、私はここにって蘇我議長に赤羽選挙管理委員長じゃないですか。」

「一応、進行表を渡しておこうと思いまして。」

「進行表を、ありがとうございます。では、明日、よろしくお願いします。」

蘇我議長は高校三年生で、総会などで議事進行を務める。成績優秀だがあまり体は強くないらしい。

赤羽選挙管理委員長は高校二年生で主に選挙があるとそれを運営する。選挙を円滑に運営することを使命と考えている。文武両道らしい。

「姉さん、これって否決されることあるの?」

「いや、まずないね。なんかスキャンダルでも出てくれば別だけど。それに、私がなるべく反対意見を出さないような言い回しにするよう頼んでおいたから。」

「ええ…。」

「まあ、みんな再投票を嫌うからね。」

「そうそう、みんな家にさっさと帰って寝たいのさ。」

「品川先輩、来てたんですか。」

「うんうん、たまには顔を出さないとねぇって思い立ってさ。除名なんてされたら自分は悲しいからねぇ。」

「品川くん?最近働いてる?」

「いや、それはね、そういえば、面白い話を耳にしたんだよ。どう、聞く?」

「そうね、一応聞こうかしら。」

「うんうん、良き心がけだよー。面白い話っていうのはね、生徒会役員が横領してるっていう噂だよ。」

「ねえ、一応聞くけど、どこが面白いのかしら?」

「まあ、まあそうお怒りなさんなって。一応聞いてみただけだよ?ほら、大森のやつが言ってたからさ。」

「うわー、大森が知ってるのか…。」

大森和也は高校三年生でこの学校の全てを知り尽くすと言われるくらいこの学校の情報を持っている人、らしい。

「まあ、安心しなさいって、大森はそのことは自分からは広げてないからさ。」

「広がる前に事実か、そうでないのか、事実なら誰が横領したのか、デマなら誰が広げようとしたのか。デマ野郎はぶっ潰してやるよ。」

「おー、可愛い弟くんのためにいつになく燃えてますなぁ結衣さん。」

「まずは高崎に聞いてみるわよ。」

「それがいいと思うよ。」


数分後 二年D組教室にて


「高崎!話がある。」

「?いつになくご立腹ですね。どうされました、会長。僕は今レポートで忙しいんですよ。」

「話があるわ。生徒会室に来なさい。」

「そうですか。」


生徒会室


「で、なんのようですか?」

「単刀直入に聞くわ。あなた、横領してる?」

「馬鹿な、なぜ僕がする必要が?」

「生徒会内で横領の噂があるから一応聞いてみただけよ。帳簿には変更された跡がなかったから、もとより疑ってなかったけど。」

「じゃあ、誰がこんな噂を?」

「それを今から調べるんだよ。瑞樹くん、今のうちに経験を積んでおいたほうがいい。」

「お困りのようだな。」

「これはこれは、副会長さん、もしかして何か知ってるんですか?」

「おそらくだが、このデマの発信源は水戸ではないだろうか?」

水戸昭美、高校三年生。彼女は生徒会長選挙で姉さんに負けた人だ。まあ、逆恨みなら可能性はあるかも?

「水戸?違うんじゃないかな。私は、水戸の取り巻きが彼女に取り入りたくてやったんじゃないかと思う。だって水戸は小細工は好きだけど、その手のタイプのは嫌いでしょ?」

「確かにその線はあり得ると思うよ?確かに水戸は父さんが政治家だからねぇ、取り入る輩はいるって自分は思うよ?とりあえず水戸に聞いてみるかね。瑞樹くん、行こうか。」

「!はい。」


華道部 部室


「わたくしがそんなつまらないデマを流したなんて、勘違いも甚だしいですわ。確かにあなたのお姉様に負けたのは非常に悔しいですわ。でも、それはわたくしの実力不足。わたくしが疑われるのは非常に残念でならないので協力しますわ。」

「ご協力、いたく感謝、するよー。」

「わたくしも、その噂は聞いたことがありますし、皆様も聞いたことがあるとおっしゃいましたよね。」

「私は二階の中央階段の踊り場で聞きましたよ、水戸さん。」

「私もですわ。」

「わたくしが耳にしたのも二階の中央階段の踊り場ですわ。」

「じゃあ、自分たちはそこを少し調べてみますね。」


二階 中央階段 踊り場


「瑞樹くんは知ってるかい?この学校は文化祭のために至る所にコンセントがあると。」

「コンセント?ですか?」

「そうそう、outletことコンセントだよー。ここに音を流す装置でもつけたんじゃないかなぁって。」

「どうしてですか?」

「簡単だよ。三人も噂を同じ場所で聞くわけないでしょ。まあ、あと何人から聞いたらここで聞いたって人が多すぎてねぇ。流石に怪しいなと。」

「品川先輩事前に調べてたんですか?」

「流石にねぇ、結衣が悲しむのもなんだからねぇ。事前に手を回して、どこでどんなことを聞いたのか、調べておいたのさ。」

「じゃあ、なぜ今までなんもしなかったんですか?」

「確証がなかったんだよ。それに、会長の結衣に何も言わないのはまずいでしょ?」

「確かにそれもそうですが。」

「おー。あったあった。これはスピーカーかな?コンセントっぽく見せかけてるのが悪意のかたまりだねぇ。」

「ねえ知ってる?生徒会って横領が行われてるらしいよ。」

「そうなの?それは酷い話だ、」

「うわ、喋りましたね。」

「えーっと、電話電話。もしもし、横浜くん?学校に提出されたコンセント使用許可申請書を送ってくれる?うーん、ありがとー。今度ジュースおごるよー。うんうん、じゃあねー。」

「誰と電話してたんですか?」

「横浜湊くんだよ。電工研の部長でね、電化部門を一部委託してるんだよ。会長がさ、プロにやってもらったほうが確実でしょ!って。」

「そうなんですね。」

「おっ、きたきた。えっと、二階、中央階段は…出てないね。それじゃあ、こいつを仕掛けますか。」

「なんですか、その四角い物体」

「うんうん、いい質問だよ。この学校にはマッドサイエンティストみたいなのがいてね。そんな横浜くんが作ったカメラだよ。」

「それが?」

「まあ、これは床につけられないようになっててね、天井の隅につけたいんだけど、おぶってくれる?」

「僕がですか?」

「そうそう。自分は残念ながら身長的に届かないからね。自分の方が軽いから肩車して欲しいなって。」

「…わかりました。」

「よーいしょっと。よし、ついたよ。」

「先輩、異様に軽かったんですけど、何キロなんですか?」

「うーん、40キロ?」

「そうなんですか?軽すぎますね…。」

「じゃあ、このコンセントを外してと。じゃあ、一旦生徒会室に戻りますか。」


生徒会室


「ねえ、終わった?」

「会長、お昼には結果が出ると思うよー。まあ、あとは果報は寝て待て、なーんつって。」

「まあいいけど、今日中には終わらせてね。あとはこっちが資料作るんだから。」

「うんうん、いい心がけだぁ。じゃあ、自分は寝るとするよ。」

「ねえ、品川、このあと、3、4限、授業あるよね?」

「うんうん、ないよ。」

「でしょ、だったらさっさと教室に…はぁ?」

「今日の3、4限はお休みだよ、先生が出勤中に二日酔いで吐いちゃったんだって、それで今日はお休みなんだと。」

「もしかして、今日山手線が停まったのって…。」

「うん、多分それが原因。」

「相変わらずね、酒癖悪すぎなのよ、あの先生、前は酔った勢いでホームから転落したらしいし。」


お昼休み


「じゃあ、見に行きますか。」

そういうと、品川先輩はよろよろと起き上がった。

「じゃあ、瑞樹くんもきてもらおうか。」

「また肩車ですか?」

「じゃないとあのカメラ取れないしね。」

「そうですか…。」

そう言って二人で二階の中央階段へと向かう。

「先輩、ご飯食べてますか?」

「ご飯は食べてるよ。ちゃんと用量・用法を守ってお茶漬け一杯250g。毎朝食べてるよ。」

「お昼は?」

「お昼はいつも携帯型食料かゼリー型食料かだね。」

「えーっと、夜は?」

「夜はご飯と味噌汁とお魚かお肉だね。」

「…ご飯の量は?」

「朝と同じぐらいだよ?」

「そんなんだから先輩、僕より身長低いし、体重も軽いんですよ?高校三年生なんだからもっと食べてくださいよ。」

「そう言われてもねぇ。今体重40kg、身長158cmじゃもう大きくなりそうもないんだよねぇ。ついたよ。肩車して。」

「…ええ、わかりました。」

こうして、カメラを取り外す。

「うんうん、上出来だよ。ついでにこの紙も剥がしてと。」

品川先輩が降りたあと、品川先輩は手袋をつけてコンセント型のものを剥がして持って帰った。


生徒会室


「うーん、結衣ー、この人誰かわかる?」

「この人は…ちょっと待ってて、名簿持ってくる…。」

「おー、この人じゃない?」

「おー、これはビンゴ、さすが会長、素早いね。」

「じゃあ、横浜くんを呼んでくれる?」

「もちろん…もしもし横浜くんかな?ちょっと生徒会室にきて。」


数分後


「横浜です。会長さんのお呼びと聞いたんですが…。」

「あー、これ、つけた人割れたから、この人に罰則適用しといて。」

「どの程度の?」

「中で」

「思ったより軽いですね…もっと叩き潰すかと。」

「それじゃ、面倒でしょ?あとはよろしくー。」

「それでは。」

横浜先輩が帰ったあと、

「姉さん、結局誰だったんですか?」

「誰に何吹き込まれたんだか知らないけど、北先生の仕業見たいね。」

「教員?!どうして。」

「まあ、あらかた水戸議員に何か言われたんでしょ。それで、あの人確か水戸議員と同級生だからさ。」

「うわー。親のおせっかいは面倒だね。」

「ほんとだよ。」


次の日 生徒総会


「それでは生徒総会を始めます。」

「まず、財務委員長、高崎さん、会計報告をお願いします。」

「昨年度の決算ですが、前年度の予算通りとなりました。詳細はお手元の資料をどうぞ。報告は以上です。」

「何か質問はございますか?そこどうぞ。」

「えーっと、最近、横領について噂が出ているのですが、本当なのでしょうか。」

「それでは、大宮会長、どうぞ。」

「これは生徒会の信頼問題に関わるので、私から答えさせていただきます。調査の結果、これはデマだということがわかりました。中央階段2階にて、このようなものが仕掛けられていました。」

「ねえ知ってる?生徒会って横領が行われてるらしいよ。」

「そうなの?それは酷い話だ、」

「このように、音声を発していました。誰が仕掛けたかは調査中です。ただ、生徒ではないことは調査の結果、判明しました。」

「こちらでよろしいでしょうか?」

「はい、ありがとうございます。しかし、それはそれで、防犯に問題があるのでは?

「これについては学校側に要望を行う予定です。」

「ありがとうございます。」

「他に質問は?ないようでしたら、次に移ります。大宮生徒会長、お願いします。」

「生徒会は今年度、生徒からの強い要望を受けてスポーツ祭を実行いたします。開催日は来週の土曜日です。報告は以上です。」

「続いて、新役員、大宮瑞樹、鶴見美波の信任決議を行います。反対の方は挙手を。」

「反対が過半数いないようですので、信任といたします。」

「続きまして、スポーツ祭の実行委員長、副委員長の信任決議を行います。大宮生徒会長から説明があります。」

「えー、スポーツ祭を実行するにあたり、実行委員会を設置いたします。委員長には鶴見美波、副委員長には大宮瑞樹を任命いたします。委員長、副委員長は生徒会のバックアップを受けやすい、生徒会役員を任命いたしました。信任をお願いします。」

「それでは、反対の方は挙手を。」

「反対が過半数を下回りましたので、信任といたします。」

「以上で、本日の生徒総会を終わります。ありがとうございました。」


生徒会室


「無事信任されたわね。」

「よかったよ、信任されないと、姉さんどうせこっぴどく絞るんでしょ?」

「そうね。」

「先輩、美波のことも褒めてくださいよー。」

「うん、美波ちゃんも偉い!」

「えへへー。」

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