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第6話


 「放っておいてもいいっていうの?」


 「…ええと」



 彼女が水族館に行きたがっているのは、あの「場所」に、人目を避けて生きている妖魔がいるからだ。


 “影鰐”


 サメの姿をしている妖魔で、いつもは水槽の中にいる。


 基本的には、妖魔たちはどんな姿にもなることができる。


 それはたまも同じだった。


 もちろん各々が自分の「姿」を持っていて、それぞれが生態の「属性」を持っている。


 妖魔についてはまだよくわかっていないことが多いが、少なくともいくつかの生物学的なカテゴリーが、妖魔たちには存在していた。


 たまは、そのうちの「人型」という種の妖魔だった。



 「たまだって、人のこと言えないだろ?」


 「自分のことは自分で守るよ」



 街中で妖魔が発見されれば、容赦なく“討伐”の対象になる。


 妖魔によって危険レベルも変わってくるが、レベルの数値はあまり関係ない。


 それは最初に言ったように、「妖魔」という存在自体が、社会にとっての悪だと思われているからだ。


 だから、外を歩くのは危険だった。


 例え「人」になりすましていたとしてもだ。



 「妖魔を助けたい気持ちはわかるけど、自分のこともちゃんと考えないとダメだ」


 「説教くさいなぁ。わかってるよ。そんなことは」



 たまは、妖魔のことについてをよく知っていない。


 自分が「妖魔」であるということも、あまり自覚がない…というか


 そもそも、妖魔自体、人間や他の生物と違って特殊な構造を持っている。


 ひとつわかっていることは、妖魔は「人の心」から生まれる、っていうこと。


 色んな説や学術的な見解があるけど、ある研究によって、“何もない空間”から妖魔の肉体の素子となる細胞が生み出されたそうだった。


 そしてその研究に使われたのは、人間の「感情」だった。


 劣悪な環境に置かれ、負の感情に支配された人間の脳を特殊なケーブルで繋ぎ、それを増幅する装置の容器の中で、妖魔の原始細胞に限りなく近い互換性を持つ粒子が生成された。


 その粒子を、科学者は『アクシオン(冷たい暗黒物質)』と名付けた。

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