第4話
僕たちは今、3人暮らしをしている。
僕とたま、そして、博士。
僕には両親がいない。
それは子供の頃からだった。
僕の家族は「妖魔」に殺された。
5歳の頃のことだ。
僕はその時の記憶を、今でもハッキリと覚えている。
僕の両親はただの一般人だった。
父親は印刷会社に勤める会社員で、母親は地元の老人ホームで働く介護士だった。
何気ない日々を送っていた。
なんの変哲もない日常が、穏やかな時間のそばに広がっていた。
突然失われたんだ。
それは、足音もなくやってきた。
忘れられない出来事だった。
——ガチャ
冷蔵庫のドアを開ける。
今日はまだ、何も食べてない。
そういえば、博士が焼きそばを焼いてくれてたな。
大学の講演会か何かで、昼からは出かけてた。
えーっと、確かレンジの中か?
あったあった。
大皿にたんまりと盛られた、博士特製の塩焼きそば。
まだほんのりと温かかった。
野菜を炒める音が、ついさっきまで聞こえてた。
ざっと2時間くらい?
博士が家を出たのは12時前だったから、多分それくらい。
さっさと運んで食にありつこう。
氷おにぎり、氷おにぎり…っと