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Happy Birthday!

作者: 入江 涼子
掲載日:2023/09/18

 今日は私の誕生日だ。


 初秋に当たる今日は、まだまだ残暑が厳しくはあるけど。それでも、私には特別な日だった。

 仕事帰りにコンビニに寄り、スイーツを2、3品とコーヒーにローストビーフを買った。ささやかながらも自分へのご褒美に誕生日祝いを兼ねた物だ。特別な日だから、スイーツはちょっと高めのロールケーキにシュークリームなどにした。るんるん気分で家路についた。


 アパートのドアを鍵で開けて、玄関にて履いていたパンプスを脱いだ。ドアを閉じて鍵もする。上がると、カバンやレジ袋をリビングのソファーに置いてメイクを落としに行く。クレンジング剤が染み込んだコットンを使う。2枚くらいで落としたら、洗顔フォームで残った汚れを洗い流す。一通りしたら、タオルで水気を拭く。お化粧水や乳液を塗りこむ。付けていたヘアピンを外して着ていたブラウスやスラックスを脱いだ。そのままで寝室に行き、半袖の白いシャツに黒のズボンを出す。着替えたら、リビングに向かう。レジ袋から、スイーツやコーヒー、ローストビーフを出した。それらを持ってキッチンに行った。


 私はすこぶるお酒に弱い。普段から飲まないようにしている。冷蔵庫には、お茶やミネラルウォーター、スポーツドリンクが入っているくらいだ。まあ、今日くらいは飲んでもいいのだが。

 とりあえず、買ってきた品物をテーブルに置く。椅子を引いて座ったら、まずはシュークリームの袋をハサミで開ける。


「いただきます」


 小さな声で呟くと、齧り付く。意外としっとり感がある生地に濃厚で丁度よい甘みがあるカスタードクリームがマッチしてなかなかに美味しい。これは1個だけ買った。すぐに、食べてしまう。次はロールケーキだ。立ち上がり、食器棚に向かう。扉を開けて中から小皿を取り出す。ついでにフォークも出した。テーブルに戻ると、ロールケーキの袋も開けて小皿に盛り付ける。椅子に座ってフォークを手に取り、ロールケーキを一口大に切り分けた。口に入れるとこれもまた、しっとりした生地にまろやかな甘さのホイップクリーム、アクセントに黒豆が入っていてなかなかの逸品だ。お値段が普通より、ちょっと高めなのが納得できる。

 これはじっくりと味わいながら、食べたのだった。


 他のスイーツは、翌日に食べようと決める。冷蔵庫にしまい込んでから、食後のコーヒーを飲む。ちなみに、ペットボトル入りだが。温めていないけど、これはこれでイケた。ちょっとした苦みと程よい甘さが疲れた頭や体に染みる。一息ついたら、浴室に向かう。シャワーを浴びたのだった。


 シャワーを終えて、もう寝ようかと言う時に玄関のベルが鳴らされた。もう、時刻は午後9時を過ぎている。誰だろうと思い、玄関に向かう。ドアの覗き穴から、確認した。見えたのは1人の女性。私と似たような年齢の人だ。が、外見は私より余程美人に見えた。

 うーむ、どこかで会ったような?

 首を捻りながら考え込む。あ、会社の同僚の海原さんだ!思い出すと慌てて、鍵を開ける。ドアを開くとそこには、肩まで伸ばした茶髪にくりくりとした薄茶色の二重の瞳が目を引く海原さんがいた。服装はベージュのブラウスに黒のスラックス、同系色のパンプスとシンプルな感じだ。


「あ、こんな夜遅くにごめんね。今日は若田さんの誕生日だったのをさっき、思い出して。急いでコンビニに行って、適当なのを見繕ってきたの」


「わざわざ、ありがとう。明日でも私は構わないけど」


「何言ってんの、当日にしてこそ意味があるんじゃない。とりあえず、中に入ってもいい?」


 私は渋々、頷いた。海原さんはそれを見て取るとにっと笑う。


「長居をするつもりはないから、安心して。はい、誕生日プレゼント!」


「……あ、これ。秋限定発売のお月見パウンドケーキだ」


「へへっ、たまたま見つけてね。若田さん、パウンドケーキは好きだったでしょ?」


「うん、覚えていてくれたんだね」


「まあねー」


 海原さんは照れながらも嬉しそうだ。私は再度、お礼を告げる。海原さんはそれを聞いたら、さっさと玄関に向かう。


「本当に夜も遅いから、あたしは帰るね。また明日!」


「うん、バイバイ!」


 私がそう言ったら、海原さんは晴れやかに笑った。こうして彼女は帰って行った。


 後でレジ袋の中身をチェックしたら、お月見パウンドケーキや焼きプリン、モンブランケーキなどが入っていた。海原さんなりに気を使ってくれたのかなと思う。有り難く、明日に食べようと決めたのだった。


 ――終わり――


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