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第4話 ライトユーザーの悲哀

 正面から入るのは難しい。

 警備や取り巻き連中に、


「ええい俺を誰だと心得る! 正式に出版社から発売された、大相撲な令嬢のあとがきに載る、有名なろうRT企画主と知っての狼藉か! さっさと聖女に会わせろ! サインくれ!」


 と言っても絶対通じない。

 戦士か剣士か魔法使いか、なんにせよ多勢に無勢。血塗れエンドは目に見えている。

 ではどうするか。部屋の場所は分かるのだが……。


 なんのことはない、暗殺ミッションにスニーキングミッションが追加されただけ。忍び込むなど、血をたどればたぶんどっかで忍者の一族に繋がっている俺なら出来る。女神の力を借りて。

 日間一位を舐めるなよ。かつて空想科学でも五位に入った想像力を見せてやる。ランキングトップページの威力思い知れ。


 必要な力は透明人間、あるいは透過能力。それとも壁をつたい登るべきか。

 女神の提案は堂々正面からだった。なるほど、透過アイテムを使えというのだな。

 ではなく気配が完全に消えるという代物だった。

 ぬいぐるみがカードのような道具を手渡してきた。

 これだと注意を逸らさないと視界に入る。

 使えない女神だなおい。


 こちとら読者の視界にすら入らない書き手ユーザー。いや一位になったし、昔から多少は読まれる作品は書いていた。だから誰も読んでくれないとまでは言わないが、WEB小説投稿サイトのライトユーザー作品は、大抵読者の視界に入らない。

 人気の格差社会を思い出し、勇を奮う気になった。


 無条件人気の聖女め覚悟しろ。

 とりあえず俺が覚悟を決めないと。

 なんかこんな感じの展開、トカレストストーリーの序盤で描いたことあるな。懐かしい。

 いつまで経っても千ポイントに載らない俺の初投稿作品。評価件数少な過ぎいぃぃ!

 七十万文字書いて評価二十人強、ブックマークだけはやたら多い。

 昔のなろうと違い最近は更に辛くなって、評価どころか感想もロクにつかない。


 最近一位になった作品は、PVだけなら日に五桁、デイリー一万に迫ろうというのに未だ感想は二件。一つはそもそもまともな感想を残すつもりがないユーザー。

「なんだこれ」は感想じゃない。お前がなんだこれ、だ。


 俺は読み手に避けられてでもいたのだろうか。

 商業作品で有名なろうRT企画主と紹介されているのに、無名だから荒らしは来ない。これを含め全作品で二度程来たが、人を煽るのに差別用語を使うな。管理するこっちの身になれ。放置したら共犯者だと思われるだろうが。匿名だからと好き勝手に。

 全く、大抵放置勢はこれだから困る。自分のことだが。


 颯爽と建物内に侵入。もう深夜になり、人気も少なく、出入りする者も限られている。月は隠れ、俺も隠れるようエントランスを通過する。

 エレベーターはあるが階段を使うしかない。

 十回建てとか喧嘩売ってんのか。

 くそ、そういやそんな作品も描いたな。


 舞台は中央アジア。あんな辺鄙な場所と言っては失礼だが、まさかリゾートホテルが実在するとは知らなかった。ただホテルで一泊する話を描いた努力は、やはり読者に届かなかった。


 そもそもトランスペアレントダークは後半の展開が雑だ。

 いや横文字タイトルがまずかったか。いずれ書き直すつもりだったのに、今は強制的に階段を昇らされている。どうしてこうなった。

 ぬいぐるみに急かされ、俺は殺意を携え最上階スペシャルスイートルームを目指す。息を切らせながら。

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