第14話 Sランク冒険者殺人事件
ーー手に入ったのは監視観察の能力か。
観察力がアップとか、この状況の前に欲しかった。
監視しようにも、もう着弾してしまっている。
まずいな……。
轟音と共に地面が揺れる。
闇夜に砂ぼこりが舞い、もう聖女の姿も確認出来ない。
この散弾銃はお守りか。近くにいないとあたる気しないぞ。
次視認出来たとて、一体どういう状況だ。
想像しろ、観察の力で奴の弱点を洗い出す。
しかし攻撃の一つもしてこないのは、一体どういうつもりか。
圧倒的強者感はさながら「Sランク冒険者殺人事件」のバーバラの如し。こちらカケヨメ限定公開だが、カケヨメコン短編部門の結果が発表されたらなろろうでも公開する。
短編部門のみ参加したが、どうせロクな結果は出まい。
大体の者は敗者となり、そして勝者はひと握り。
世の理を否定するほど幼くはない。
その時はどうぞよろしく。一万文字の短編だが、普通に長編へと繋がる力作です。
ーーで、聖女はどこに……。
まずい、一端退避だ。同じ場所に留まるなど戦闘の常識に外れている!
「見つけた。もう逃がさない」
背後! いや上から声がする! まずった!
「その武器は使わせない。というかあなた、ちょっと危険ね。その武器も考え方も、ちょっとお話聞かせてもらうわ」
「やかましいくそ聖女! 上から来るな飛んだか卑怯者! 飛行能力は宅配に使え! 人を襲撃するなこの素肌美人!」
「いや、まあそれほどでも。ありがとう褒めてくれて」
何言ってんだこの聖女。よし、とにかく今のうちに一端退避だ。
転生ボーナスで速度を更に上げ、こちらも飛ぶように退避する。
しかしこの聖女シルビア、褒められるの苦手なのか? なんで? アイドルを超えた女神級、大人気聖女なのになぜ賛辞如きに反応する。
やはり余裕のつもりかこの人生ガチャ勝者め。
こちとら令和、Z世代の思いすら勝手に背負って戦っている。
いざなみ景気を舐めるなよ。ずっとデフレでいきなりインフレとか、もうなんか色々値上がりし過ぎて辛いわ!
俺もたまに褒められるけど、感想つくのは大概エッセイだ! ありがとう素直に嬉しい!
――よし、ここまで来れば仕切り直し出来る。いざ尋常に……だが目の前、手を伸ばせば届く距離に聖女シルビアがいた。なんで?
シルビアは冷たい眼差しで、口を開いた。
「服がボロボロ。これ一張羅よ。替えがないのに、どうしてくれるの」
怒りの文言だが、確かに聖女の神官服はズタズタだった。なんか切り刻まれて、恐らく擲弾の破片を食らったんだろう。素肌美人の素肌が色々な場所から見て取れる。
そういうつもりではなかったが、俺はサービスシーンはデザインしてない。
思わず、
「なんかすいません」
「ダメ許さない」
「素肌が色々な所から見えて、正直やりにくいです」
「……見ないで」
萌えるからそういう台詞使うなくそ聖女。目のやり場に困ってるのはこちらだ。
「簡単説明」
・Sランク冒険者殺人事件。自作、カクヨムのみ公開のユーモア推理サスペンス。約一万文字の短編どうぞよろしく。
・エッセイのみ感想欄大人気。事実。日間1位になった侯爵令嬢の華麗なる追放劇ですら、感想はなろうだと2件。1件は意味不明な感想。
・いざなみ景気。実感のない好景気。
・一張羅。それしかない服。