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第1話:世は平成

 ――世は戦国・・・・・・の、はずだった。



 諸国の戦国大名たちは、皆自分の天下を目指して戦に明け暮れていた。

 そんな中、世界に異変が起きた。一体なにが起きたのか、それは戦国大名にも兵士たちにも、田畑を耕す農民たちにも分からない。

 ただ世界を光が包み込み、ある者が気がつけば周りには見たことのない大きな建物。

 またある者は、異様な建物の中にいた。


 

 世は平成・・・・・・この遥かに技術の進んだこの世界で、戦国の猛者たちはハイテクを駆使して己の天下を目指すのだった。



 

 「信長様! これは一体・・・・・・」

 「光秀・・・・・・お前はなにを慌てている? 我は魔王。なにも慌てることはない、この世がどうなろうと我の天下は揺るがん・・・・・・」

 「はっ! 兵士にもそうお伝えします!」


 彼らは織田信長と明智光秀。

 信長は戦国の世でも魔王と恐れられ、光秀はその片腕としてその名を轟かせ、天下に最も近いとまで言われる猛者たちだ。


 彼らは星条旗のはためく国、アメリカ合衆国にやってきていた。

 そして彼ら2人は真っ白で大きな建物の中に、信長の手にはスイッチが持たれている。

 もちろん彼らはまだ、そのスイッチの正体など知らない・・・・・・




 「わはは! ・・・・・・凄いな・・・・・・」


 最も大きな面積をもつ国、ロシア連邦。

 その国に武田信玄はいた。彼は笑い続けた。おそらく誰よりも早くこの世界の技術と言うものに触れ、理解したのは彼だろう。


 だからこそ笑っていた。天下を我が物とするであろう自分のことを考えて笑い続けていた。


 「わしは・・・・・・勝つぞ・・・・・・」

 「親方様! どうなさった!?」

 「あはは・・・・・・幸村! わしは笑いが止まらんぞ! この戦・・・・・・もう勝ちは見えている」

 「おぉ・・・・・・頼もしきお言葉!」

 「ガァッハッハッハ!」


 


 そして、日の丸の国旗のはためく国日本。

 この国にもまた、戦国の猛者が1人いた。その名を浅井長政。

 彼の考えていることは、戦国からこの平成に世の中が変わったところで変わることは無い。


 「信長・・・・・・貴様もこの世界にいるのであろう。必ずこの浅井長政が滅ぼしてやる・・・・・・」

 「兄上様を・・・・・・殺すの?」


 浅井長政には、守ると決めた人がいた。

 その女性の名を市といい、市は浅井長政の宿敵、魔王信長の実の妹だ。

 

 「・・・・・・魔王は必ず倒す! 必ずだ!」

 「・・・・・・はい」


 市は少し前までは兄である信長を信じていた。

 だが今は違う。信長は間違っていると知っている。だからこそ市は決めたのだ。

 ”長政について行く”と・・・・・・



 

 「信玄・・・・・・お前もこの世界にいるのか・・・・・・?」


 ユーラシア大陸の大国の一つ中国。そこにも戦国の猛者はいた。

 その者は、武田信玄の好敵手にして、毘沙門天の生まれ変わりとも言われる戦国最強の武将。

 その名を上杉謙信。


 「必ずや・・・・・・決着はつける」

 「ふぅ・・・・・・あなたはドッシリ構えてればいい。謙信様が負けることは無い」


 直江景綱。

 上杉謙信に仕える家臣で、謙信をも上回りかねない能力は、謙信から最も信頼されている。

 だが景綱は知っている。謙信は負けないことを。

 だからこそ彼は謙信に仕えている。優秀な彼はそれこそが最善であること理解しているから。

 



 織田信長が出現し、その支配を広げたアメリカ合衆国。

 そこから最も近い大国カナダ。そこには別の戦国の猛者が現れ、支配を広げていた。


 しかし彼らは国境など知らない。支配を広げる上で剣を交えることになるのは必然だった。

 魔王信長のすぐ隣にいる。独眼流、伊達政宗。


 「・・・・・・信長の軍勢が。そうかご苦労」


 彼は兵器の扱いには長けていた。未知の武器である現代の兵器をこれほど早く使いこなし、現代の軍隊にも引けをとらない軍勢をつくり上げたのは、おそらく彼だけであろう。

 そして、それをすぐ横でサポートした名軍師、片倉景綱。

 彼と伊達政宗がいたからこそ、これほど早くこの軍勢は完成したといえる。


 「しかし正宗。こちらも手勢は充分ある。勝機はあるはずだ。だが敵はあの魔王信長。常識は通らないだろう・・・・・・」

 「ふっ・・・・・・魔王か。だが俺は奴が魔王だと思ったことは無い。こんな世になったのだからなお更だ」

 「お前らしい。なら魔王気取りの凡人に、格の違いを分からせてやるか?」

 「ポっと出の素人が、俺たちに勝とうだなんて百年早い! 景綱! 全軍出せ! 策はお前に任せる!」


 独眼流、伊達政宗は動き出した。

 槍と剣、火縄銃ではない。ミサイルにマシンガンに手榴弾。鎧兜ではなく最先端の軍服に身を包んだ伊達の軍勢は、一直線に織田信長のいるホワイトハウスに向かう。


 伊達政宗、片倉景綱はその光景を戦闘機の中、空から満足そうに眺めていた。


 「いくら魔王とはいえ・・・・・・この早さ。この戦力を前には対応はできないでしょう」

 「はっ! 信長ごとき、最初から問題ではない・・・・・・」


 2人は戦闘機でホワイトハウスに向かう。

 もちろん自分たちの勝利しか見えてはいない。




 場面はホワイトハウスに移る。

 

 信長は大きなソファーにもたれて寛いでいた。

 そんな信長に、忍のものから連絡が入った。


 「ご報告を! レーダーに何かが!」

 「もう来たのか! がはは! 魔王を恐れぬ愚か者が。我が信長と知っての攻撃か?」

 「分かりません! しかし地上には伊達の軍勢が!」

 「独眼流か・・・・・・まぁいい。奴のように身の程を知らん奴は困る・・・・・・」


 信長はソファーから立ち上がり、ホワイトハウスを後にした。

 そして彼が向かったのは、広いアスファルトの地面が広がる現代の空港。

 そこには地上から上空の飛行物体を打ち落とすことを目的としたミサイル兵器が大量に並べられてた。


 「くくく・・・・・・我の力を知れ。独眼流よ」


 信長が右手を上げた。

 それを合図にミサイルの発射台に待機していた織田軍の兵士たちが一気にミサイルの発射のスイッチを押した。

 彼らはミサイルがなんなのか知らないが、魔王は全て理解していた。

 それが一発で戦闘機の一機位、楽に落とせることも理解している。


 だが彼は合計250の弾道ミサイルを飛ばした。


 「ふふふ・・・・・・ふあっはっはっは!! 死ねぇ! 独眼流よ!」


 織田信長の、過激な1発・・・・・・250発で、織田の軍勢と伊達の軍勢の戦いが始まった。

 

 

 

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