第1話 また始まる物語
「もう一度、言って…」
「ああ、ほらあれだ3か月ほど前にお前たちがしょっ引いてきたやつらな。鉱山の仕事から逃げ出したんだわ」
「監視が、甘いんじゃ?」
目の前でリノとマスターが仕事の話をしていた。私は難しい話は面倒なのでぼんやりと外を眺めながら会話が終わるのを待つ。後でリノに簡単に説明をしてもらえばいいという考えなのだ。ある意味これは賢いんじゃないかなと思うんだよね。
こう言っては何だけどリノとは双子だけど私にはリノより勝っている点がある。それはこの容姿だ。それと魔法…残念ながら頭脳と力はリノにはかなわない。まああれだよ適材適所? 今は私の出番ではないわけ。
「じゃあ、復讐、とか…危険?」
「まあ無いとは言えないな…」
なんか物騒な言葉が聞こえてきたんだけど大丈夫なのかしら?
「ファーナ…」
「え、ファーナ??」
なんでそんな物騒な会話にファーナの名前が出てくるのだろう。私は首を傾げリノのほうを見る。
「相変わらず、ミネは、話、聞かない、の…」
ちょっとリノに睨まれてしまった怖い。
「だからさ悪いんだけど、念のためまたあのダンジョンの調査とついでにそいつら探して欲しいんだわ。他のとこはこっちで探すからさ…いいだろう?」
「給金の、上乗せ、希望」
「ぬがっ うぬぬぬぬ…はぁ~ わかった頼んでみる」
「交渉、成立…」
リノがマスターから離れこっちに向かってくるってことはどうやら話が終わったのかな? そんなリノをじっと見ているとマスターの話を簡単に説明してくれた。どうやらこの間捕まえた3人が逃げたから探してこいてことらしい。私達の担当は前回そいつらを捕まえたダンジョン。つまりまたヨシオやケンタにあえるってことみたいだ。ファーナさんじゃないけど2人が持ってくるおやつが少しだけ楽しみだ。
「まずは、情報収集…早速、プレハブ、行く?」
「もちろんっ あ…たまにはお土産とか持ってく?」
「ん…どっちでも、いい」
そうね…ヨシオやケンタにはこっちの世界のおやつなんて興味ないか。というかあまりおいしくないし。じゃあお土産もっていかないならそのまますぐに行けるわね。
「リノ行こう」
「わかった」
こうして私達は再びあのプレハブダンジョンへと足を運ぶのだった。しばらく顔を出していなかったので少しだけ楽しみだ。