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【書籍化】爆裂よだれチート!食いしん坊巫女と猫竜王  作者: 富士とまと


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殿下って?

 ニーラさんがゴマルク公爵様に差し出されたパイを食べる音が聞こえた。

 サクッ。もぐもぐごっくんって。

 きゃーおいしそう!

 やばい、またよだれが!垂れると思ったら、ゴマルク公爵様がすっと両手にアップルパイを持ち、片方を差し出してくれた。

「さぁ、巫女様もおひとつどうぞ」

 ん?巫女の血がって話を信じてくれたのかな?それとも、これは皮肉?

 どっちでもいいや。

 おいしそうな食べ物を目の前に差し出された、その真実だけしか私には見えない。

 パクリ。

「うんまぁー。おいしい、はぐはぐ」

「そうですな、本当においしいですな」

 ゴマルク公爵様も満面の笑みでアップルパイを食べていた。

 ピカーと周りが明るくなっているのも、人々が驚いた声をあげているのもどうでもよかった。

 おいしい。

「本当にうまいな」

 横では少年も一切れ食べていた。

「あの酸っぱいだけで邪魔だと思っていたリンゴが……。流石リーアだ」

 少年が褒めてくれますが、

「パイを作った人が腕がいいんですよ」

「ああ、それな、そいつだ。リーアがそいつの作ったのおいしそうに食べてたからな、作らせてみた」

 へ?

 少年がそいつと呼んだのは

「ダリさんっ!ダリさんが作ったんですね!」

 おいしいはずだ!

「なんと、巫女様ご推薦のパティシエですか。ぜひとも我が屋の料理人としてスカウトせねば!」

「残念だなじい。もうすでに俺が声をかけた」

 ふえ?

 少年がゴマルク公爵様のことを、じいと呼んだ?

 いったいどんな関係なの?

「宰相、ね、ね、猫竜様が!猫竜様がお姿を現しました!」

 ん?

 焦った様子の官服の男がゴマルク宰相に声をかけた。

 え?

 見上げるほど大きな巨体が、すぐ後ろにあった。

 うわっ、いつの間に!

 全然気が付かなかったよ。

 アップルパイに夢中になりすぎ?

 で、でもさ、ほら、背中に目がないから仕方ないじゃないっ!それよりも見えてたであろうゴマルク公爵様とか少年がめっちゃ普通だったからさ。って、そういえば他の人たちは驚いた顔してるか。

「さて、仕事をするかのぉ……儂ももう少しアップルパイを味わいたかったのだが……」

 ゴマルク公爵様がふはーと大きく息を吐いて人々に体を向けた。

「猫竜王様の力の源は食事じゃ。浄化されたおいしい食べ物を食べることで力が満ちるのである。ゆえに猫竜様のお食事に害するものが混ざらぬよう見極めるのが巫女様の仕事じゃ」

 うおう、マジっすか!

 そりゃ、人間もよい食べ物を食べれば元気になるし、悪い食べ物食べ続けると体を壊すから、不思議じゃない。

 うん。体が大きな分、猫竜様は食事の影響をより多く受けるのかな?

「かつて偉大なる癒しの巫女様は、そのお力で、猫竜様の口に入る食べ物を選別なさった。そして、食べ物を扱う者を選びなさった。食べ物を浄化できる者、おいしいものを選べる者、害ある物を排除できる者……。より力の満ちる料理を作れる者。それが4の円の王室御用達の者たちや王室の調理人たちだった。だが、代替わりする間に、浄化の力を持つ者は減ってしまった……これも時代なのか……」

 んー、浄化の力のある人なんているんだ。

 いや、まって?

 浄化の力って、食べ物をおいしくできる人のこと?

 おいしくなぁれって食べ物に愛情をもって接することができる人のこと?

 だったら……。

「いるよ。食べ物をとってもおいしくできる人ならいっぱい。4の円の人は逆に食べ物に呪いを駆けちゃう人が多かったけど、外円には素敵な人いっぱいいた」

「なんと、なんと!巫女様、それは本当ですかな?呪いを……王室御用達の店の者たちは食べ物に呪いをかけていたのですか!」

 呪いっていうか、まぁなんかまずくなるような気を発していたというか……。

「それで、いつまでたっても猫竜様のお力がお戻りにならなかったのか……。姿を現すだけのお力すら無かったというわけか……。なんということだ。なんという……」

「あの、えっと、その、私、巫女じゃないのに、偉そうなこと言っちゃって……。ゴマルク公爵様……呪いというか、その……」

「何言ってんの?巫女だよ。誰が文句を言おうと俺が巫女にしてやる」

 少年がふんっと鼻を鳴らす。

 すると「にゃぎゃーっにゃぎゃーっ!」

 と、猫竜様が大きな声を出した。

 ふおう、すごい大声。

「ちっ。リーアは俺が先に見つけたんだからなっ!って何度言わせるんだよ。でもなぁ、巫女がいないと困るってのは分かるから、少しだけ俺のリーアを貸してやる」

 と、少年が猫竜様に話しかけた。

 ん?え?

 会話ができるの?

「皆の者、聞いたであろう!猫竜王様のお言葉を!陛下の、そして殿下のお言葉を!」

 ゴマルク公爵様が口を開いた。

 にゃぎゃーじゃわからないけど、他の人には分かるの?

 っていうか、陛下とか殿下はいつ何を話したの?

 あれ?もしかして、猫竜語の学習とかも神父様に教えてもらうの?

「彼女こそ新たなる巫女。文句がある者はいるか!」

 ゴマルク公爵様が今までと違う一段低い声を出した。

 さーっとカジタナさんの顔が青ざめている。

 そして、今まで毒だと騒いでいた者たちがひざまずいて頭を垂れてた。

「巫女様、お許しください」

 ブルブル震えている。

「にゃぎゃーおおおぉぉぉっ」

 猫竜王様が一段と大きな声をあげた。

 頭を下げていた人たちが、腰を抜かして尻もちをついた。


ご覧いただきありがとうございます。

感想ありがとうございます。とても嬉しいです。なかなか返信できなくてもうしわけありません。

さぁ、ラストスパート。

ざまぁな方々綺麗にざまぁされてくださいね!

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