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【書籍化】爆裂よだれチート!食いしん坊巫女と猫竜王  作者: 富士とまと


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毒きのこ?

「ねーちゃん、そろそろお代わり組が来るぞ。あとお持ち帰り組の準備」

 おっと、ぼんやりしてる暇はありませんでした。

 本日の食べ足りないぞ腹ペコだ軍団へのお代わりは、じゃがいもフライです。揚げ物ついでにじゃがいもを食べやすい大きさに切ったものを揚げただけですが、藻塩をまぶすとあーら不思議。

 手が止まらなくなるおいしい食べ物に大変身です!

「ねーちゃん、つまみ食い禁止だからな!」

 おっと。ばれてる。

 ……と、なんだかんだで大忙しです。はい。つまみ食いはじゃがいものフライ5個だけで我慢しました。

 食事が終わり、一通り片づけが終わる。

 貴族様用の分は、ゴマルク公爵様とマチルダ様とタウロスさんしか手を付けなかったので余ってしまった。なので、遠慮なくいただきまー……。って、最上位牛のレバーフライおいしいからもっとみんなに食べてもらいたいな。

 よし。心配かけたナリナちゃんと、いろいろな料理を食べたいと思っているであろうマイマインさんに持っていくことにする。べ、べつに、代わりに何か食べさせてもらおうとか、そういう下心があってのことじゃないんだからね!

「ナリナちゃーん、レバー持ってきたよ、おいしいから食べて!」

「ちょっ、冗談じゃありませんわ!私がレバー苦手なのを知っているくせに!」

 ふえ?

「ナリナちゃんレバー嫌いなの?でも大丈夫、おいしいよぉ」

 食べて食べてとやっていると、急に食堂が騒がしくなった。

 武装した兵たちが20人ほどどやどやと入ってきたのだ。

 食事はもう終わっている。何しに来たんだろうか?

「ヨガマタクル領の調理責任者は誰だ」

 ん?ヨガマタクル領?

「ナリナちゃん、ちょっと見てくる」

 レバーフライの乗った皿をナリナちゃんに押し付け駆けだす。

「はい、私ですが」

 マイマインさんが姿を現した。ああやっぱり。ヨガマタクル領ってマイマインさんの領だ。

 兵のリーダーが目で合図を送ると、二人の兵がマイマインさんの両側から腕を掴んだ。

 何?

「連れていけ!ほかの者も逃げないように見張れ」

 これは、何なの?

 目の前で展開されてるこれは……。まるで犯罪者を連行するようなこの光景は……。

「マイマインさんっ!」

 マイマインさんのもとに駆け寄ろうとしたら、兵の一人に止められた。

「なんで、どうして、マイマインさんが連れていかれなくちゃいけないんですかっ!」

 リーダーが私の顔を見た。そして、集まっている野次馬にも聞こえるように声を出す。

「ヨガマタクル領の料理を食べた兵の複数が、腹痛や嘔吐などの症状を訴えた」

 え?

「ヨガマタクル領は失格とする。また、毒物を故意に混入したとなれば重罪人として裁かれることになる」

 そ、そんな……。

「違う、マイマインさんがそんなことをするはずがない!料理に対して真摯に向き合ってるマイマインさんが毒を入れるなんてっ!」

 目の前にいる兵を押しのけて、マイマインさんのもとへと駆けつけたい。だけど、私の力じゃ兵はびくともしない。

 やだ、だって、違うもんっ!

「マイマインさんっ!」

 無駄だと思っていても、兵を押しのけようと力を入れた私の腕を、タウロスさんが引き止めた。

「大丈夫だ。毒物混入の疑いはすぐに晴れるだろう。調理に使ったきのこに、毒キノコが混じっていたのではないかと思われている」

 大丈夫?

 何が?

 失格になるのに?

 こんな見世物みたいに、犯罪者みたいに連れていかれるのに?

 違う、違うっ!

 マイマインさんは私を見つけると薄く笑ってくれた。大丈夫だからと言っているような顔だ……。でも、笑ってるけど悲しそう。

 そりゃそうだ。自分の料理で病人を出したなんて、そんなことが起きたら……。

 マイマインさんは、領の特産のきのこを広めるためにと参加したんだ。領のためにって……。

 あ!

「待って!違う!」

 その場を離れ、ヨガマタクル領のキッチンに駆け込む。まだあるかな?

 探せ。木箱だ、木箱の中に……。

 あった!

 ひっつかんで兵のリーダーのもとへと駆け込む。

「見てください!ヨガマタクル領の料理で使っているきのこです!山で採取しているものじゃない!きのこを栽培しているの!それなのに間違って毒キノコが紛れ込むなんてありえませんっ!」

 木箱から手に取った小さな器からきれいに生えそろっているきのこをリーダーに見せる。

「あった、ありました!」

 そこへ、皿を片手にした食堂の調理人のおじさんが来た。

「ヨガマタクル領の料理の中に、これが……」

 私が手にしているきのこに、よく似た形のきのこが皿に一つ載っている。

「似てはいますが、傘の裏に黒い斑点がある、毒キノコの一種です」

 そんな……。

 そんなバカな……。

「毒キノコを栽培していた可能性があるというわけか?」

 リーダが大きなため息を一つついた。

 違う、違う!

 箱の中のきのこは全部おいしいよって言ってた!

 マイマインさんが青ざめた顔で素直に兵に連れていかれた。

 そんなっ!

 間違えて毒キノコを育てていた?

 毒キノコを知らずに使った?

 そんなことある?

「ははは。いい気味だ。夕食だけじゃなくてお腹を空かせた兵に間食を配って点数を稼いだりするからだ」

「ああ。卑怯なことするから、誰かに恨まれたってしかたない」

 野次馬たちの間から声が聞こえた。

 間食を配ったのは……私が言い出したからで。……そのせいで、恨みを買った?

 まさか、私のせいで、ヨガマタクル領を、マイマインさんを陥れようと誰かが毒キノコを!


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