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【書籍化】爆裂よだれチート!食いしん坊巫女と猫竜王  作者: 富士とまと


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知らない大根

「あらっ!だから言ったではありませんか!どうするんですか!レバーなんて!」

 はう?

 ナリナちゃんが箱の中を見て叫んだ。

「どうするって……生では出さないよ?」

「当たり前ですっ!そうじゃなくて、いくら焼いたってダメな人からすれば見ただけで吐き気がするんですわよ?30人のうち、何人かは必ず苦手な人がいると思いますわ!どう考えたって不利じゃありませんか!」

 苦手で残す人がいたら、その分私が食べてもいいだろうか?

 おおう、最上位牛の新鮮レバー食べ放題!

 なんという魅惑的な言葉!

「いくら優勝を狙っていないからって、ちゃんとしたものを兵に食べさせる義務まで放棄したわけではございませんでしょう?どうするつもりなのです?」

 ぐおっ!

 そ、そうだった。

 わざとまずいものを食べさせたりしないって昨日言ったのは私だよ。

 そうか。いくら私がおいしいものだとわかっていても、苦手でどうしても食べられないっていう人だっているんだ。

「どうしよう、ナリナちゃん……」

「そのお肉以外に何か用意するしかないのではありませんか?」

 うー、確かに。

 レバーが駄目な人はこっちをどうぞっていう何か……。

 もしかして、またもや町に買い出し案件でしょうか……。

 とぼとぼとキッチンへ。

「ねーちゃん、まさか、おいしいもの手に入らなかったのか?」

 私の表情を見て、すぐにウイルは焦った声を出す。

「これ、最上位牛の超新鮮肉。私のよだれレベルマックス」

「えー、そりゃすごい。なのに、どうしてこんな顔してるんだ」

 鼻をぐいっとつままれる。

「にゃって、にぎゃてにゃ人も、いるにょに……」

「苦手なやつか。そんな人間のことなんて考えなくたっていいよ。ねーちゃんがおいしいって思うもの出せば、苦手な人だって食べれるようになるかもしれないだろ?」

 あ!

 ウイルの言葉にハッとする。

「そうだよね!そうだっ!あのリンゴだって食べなかった少年が食べるようになったんだもんっ!今までレバーを食べれなかった人にこそ、この極上レバーを食べてもらえるといいね!」

 もしかしたら初めて食べたレバーがちょっと古くて臭くて不味いやつだったのかもしれない。

 それとも、他の肉と同じだと思って食べたのに違ったからなんだこれと思って好きになれなかったのかもしれない。

「ウイル、ナリナちゃんが言っていたの!嫌いな人は見ただけで嫌だって。だったら、見えなきゃいいんじゃないかな?何の料理か食べてわからなければいいんじゃないかな?昨日のハンバーグだって、いちいちきのこが入ってるとか臭くて硬い肉使ってるとか言わずに出したし」

 ウイルが私の言葉に何やら思いついたみたい。

「ああそうだな。よし。メインの肉料理は決まったな。じゃぁ、あとは野菜頼む」

 何を思いついたのか根掘り葉掘り聞いたりなんかしない。きっとウイルなら飛び切りおいしい料理に仕上げてくれる。

 さて、野菜野菜。

 食糧庫に顔を出したけれど、置いてあるものは昨日と変わらない。

 日持ちするものばかりなので、入荷は3日に一度らしい。

 どうしようかな。と、野菜の山を眺めているとふと兵の言葉を思い出した。

「カシェットさん、大根がぴりってどういうこと?」

「ん?大根か。そいえばそろそろ時期だね。まだ少し早いけれど、探せば町には並んでいるかもしれないね」

 え?

「時期?大根って寒い時期の食べ物でしょう?これから暑くなるのに、なんで?」

「ああ、そういえば別の地域では冬大根を作っているって聞いたことがあるね。王都周辺では大根と言えば暑い時期のものだよ。夏大根と呼ばれているかね?」

 夏大根?

 え?それって、私の知っている冬に食べるあの大根と何が違うの?

 ぴりっって、どういうこと?

 気になる。

「ありがとうカシェットさん!私、大根探してくるっ!」

 食べてみたい。知らない食べ物が、私を呼んでいる!

 っていうか、大根は知ってる食べ物だけど。まさか、栽培する時期が違うとか盲点!

 ん?でも、そういえば玉ねぎも春と秋に収穫するんだっけ?


 夏大根を求めて、外円の市場へ向かう。

 馬車に乗ってすぐに、ウイルから軍資金もらってくるの忘れたことに気が付いた。

 くっ。

 私の学習能力の低さに泣くよね。ええーん。

 でも、肉より野菜の方が安いよね?お金、足りるよね?買い食いする分も余裕あるよね?

 馬車に揺られながら必要な量の計算を始める。

 大根1本あれば、5人分にはなるだろうから、40人分だと、えーっと……何本いるっけ?えっと、1本で5人だから、2本で10人。それから、えっと。

「答えは8本だよ」

 ほえ?思わず口に出してぶつぶつ言っていたみたいで、隣の人が教えてくれた。

「ありがとうございます」

 お礼を言うために顔をむけたら、そこには超絶イケメンのニーラさんの姿があった。

 あれ?いつの間にニーラさんは馬車に乗ったのだろう?

「買い物?」

「はい。ニーラさんも買い物ですか?あ、おいしいもの教えるっていうの、今日は時間ありますっ!」

「本当?それはうれしい。じゃぁ、降りようか」

 ん?

 降りたのは4の円。

 いつも外円で会うから、当然買い物も外円だと思っていたけど、ニーラさんは貴族様なんだよね?ってことは、本来は買い物は4の円ですることのほうが多いんだ。

 正直、外円の方がいいもの見つかるし、大体4の円の店って、店頭に品物が並んでないからいちいち店の中をのぞかないと探せないのもめんどくさいんだよね。


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