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【書籍化】爆裂よだれチート!食いしん坊巫女と猫竜王  作者: 富士とまと


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うちあげー!

 ちょっと心配になって眉尻を下げたら、マイマインさんが頭をなでなでしてくれた。

「うまかったって。わざとまずい料理を食べさせるって誰がデマを流したんだって」

 うまかった?

「ほ、本当?うまかったって噂してたの?そうだよ、だって、ウイルの作った料理だもん。まずいわけないもんっ!」

 でれり。

 思わず顔の筋肉が緩む。

「あはは、弟思いのお姉さんだね」

 マイマインさんがウイルの顔見てウインク。

「それで、あの肉でどんな料理を作ったのか気になっていたのさ」

 というので、早速ウイルの作ったハンバーグを挟んだパンをマイマインさんが食べた。

「はー、これは確かにうまいな。肉を細かくしたから硬さも気にならない。それに、うちの領のきのこを使ってくれたのか。なるほど。きのこと肉を組み合わせるなんて発想はなかったな」

 マイマインさんは、ハンバーグをじっくり観察しながらゆっくりと味わっている。

 料理上手のマイマインさんに認められるとか、めっちゃうれしいよ。えへ、えへ、えへへ。

「あっ、すまない。大会中にレシピを真似したりはしないから。その、領にきのこの新しい使い方として広めても構わないだろうか?」

 ん?なんですみません?

 そうか。料理大会中ってことは、相手の味をスパイするとかどうとかなんか他の領でぶつぶつ言っているところもあったっけ。

「もちろん構いませんよ。大会中にもアレンジして使っていただいても構いません」

 ウイルがにっこり笑った。

「ありがとう。それにしてもウイル本当にすごいな……。まだ若いというのに、あの肉でこれだけのものを……」

「僕一人の力では絶対に作れません。ねーさんがいたから作れたんです」

 ウイルぅ。

 そりゃぁ、おいしいものを見分けられたり、組み合わせが正解かどうか判断したりとかそういうことはできるけど……。

 でもやっぱり、味のバランスをとったりアイデアを形にしたりとかウイルの力だよぉ。

「あははははっ、弟思いの姉に、姉思いの弟か。そりゃ、おいしいもの作れるさ」

 マイマインさんが楽しそうに大笑いしている。

「私たちも兄思いの妹に、妹思いの兄ですから、おいしいものを作れますわよ。ね、お兄様?」

 ナリナちゃんがちょいとむっとして兄を見た。

「違いない!さぁ、そろそろ肉が焼けるよ。食べようか」

 待ってました!

 しゃっきーんと一番おいしいぞぉとオーラを放っている肉めざしてフォークを伸ばす。

 すると、さっと目の前から肉が消えた。

 ええええええっ?!

「ほう、こりゃうまい」

 もぐもぐと、肉を噛んでる巨体。

「あーあ、タウロスさん……なんてことを……」

 ウイルがタウロスさんに同情の目を向けた。

 いや、まって、同情されるべきは私だよね?

「タウロスさん、ひどい……。その肉、その肉……」

 一番おいしい肉なのにっ。

「何だよ、まだたくさんあるだろう?ほれ、食え」

 タウロスさんが別の肉を取って私の口に放り込んだ。

 もぐもぐ。

 食べるけどね。

 そりゃ、目の前においしそうな肉あれば食べるけど。

「ふわぁー、ちょっと辛いけど、おいしい、おいしいです、マイマインさんっ!」

 初めて食べる味。

 それがおいしいなんて最高!

 幸せ過ぎて、よだれが出そう。……じゃなくて!

「タウロスさん、ひどいです、さっきの肉は」

 一番おいしい肉だったら、もっともっとおいしかったって思うと……ううううっ。

「ほれ、これも食べごろみたいだぞ」

 目の前に今度は玉ねぎをのっけた肉を差し出される。

 うおう、こういう乗っけ食べっていうのもありですね!

 なかなか上級者な食べ方を知ってるぞ、タウロスさん侮れない。

 ぱくん。

 もぐもぐ。

 うわー、おいしい。

「玉ねぎの甘みとタレの辛みがこれまた合いますぅ。マイマインさん天才です!でなくて、タウロスさん、私が食べようとした」

「はいはい、こっちもやるから」

 目の前には大きな菜っ葉にくるまれた肉。

 ぐおうっ、濃い味のタレが付いてるから、菜っ葉もおいしくいただけますですよっ!

 もぐもぐ。

 タウロスさんいろんな食べ方知っててすごいなぁ。

 って、違う!

「タウロスさんが食べたあの肉は、」

「ほれほれ、こんどはこれ」

 目の前にはタレつけた細長く切ったニンジン。

 ぱくり。

「……なんですの、あれは……?」

 ナリナちゃんのあきれた声に

「タウロスさん、姉で遊ばないでください」

 ウイルの怒った声。

「あはははは、リーアは本当においしそうに食べてくれるから食べさせがいがあるのは分かる」

 マイマインさんが楽しそうに笑うと、タウロスさんの背中をバンバンと叩いた。

「ねーちゃんも、食べられちゃったものはあきらめて、まだ焼いてない肉から自分のキープした方が早いぞ」

 ウイルに言われてハッとする。そうか!

 この中で一番おいしいお肉ちゃん、ほーら、私のもとへいらっしゃぁーい。

「見つけた!これだぁ!ウイル、あれ、あの肉、私の!私のだから、みんな食べちゃだめだよ!タウロスさんも絶対食べないでよ?」

 タウロスさんがわははと笑っているけど……なんか、ダメだ。食べ物に関しては私に近い気がする。おいしそうなものは食べるチャンスがあれば食べるって目をしてる気がする。

「タウロスさん、そもそも何しに来たんですかっ!」

「いい匂いがしたからな」

 って、おいしそうな匂いにつられて来るとか、やっぱり同類だっ!ぐぬっ。ダメだからね!この肉だけはあげないんだからね!

「お前たちこそ、予選突破の前祝か?」

 は?

「予選突破の前祝?まだまだ予選は始まったばかりでなんでそんな発想が出てくるんですか?」

 首をかしげると、タウロスさんがちらりと食堂に目を向けた。


あけましておめでとうございます!

今年もよろしくお願いいたします!

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