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【書籍化】爆裂よだれチート!食いしん坊巫女と猫竜王  作者: 富士とまと


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35/65

大好きっ!

 それを、殺菌作用のある大きな葉っぱにくるんで、タウロスさんと男のもとに戻る。

 うん、ちゃんと蕨のサラダは食べちゃったね。

「はいどうぞ。明日の昼ぐらいまでは腐らないと思うから、お腹が空いたときに食べて」

 葉っぱを開いて、中身を見せる。

「お、いいな、これ。俺の分は?」

 って、タウロスさん……。

「これは、彼の分の食事を加工しただけで、特別に作ったものじゃありませんから。タウロスさんの分はありませんよ。タウロスさんは全部食べちゃったんでしょう?っていうか、それどころか、今日は別の領の審査なんじゃないんですか?」

 あんまりなじんでるから、うっかりするところだった。まさか、食べたりなくて、こうしてほかの領で食べ残している人の食事で補っているとか……?

 食堂全体を見まわす。お代わりを手にするために立っている人はいるけれど、テーブルとテーブルの間うろちょろしてる人、ほとんどいません。ゴマルク公爵様をはじめ、貴族様方が何名かと、騎士や兵の中でも勲章とかいっぱいつけてる立場のありそうな人たちくらいだ。

 いいのかな、タウロスさんうろちょろしてて……。

 って、私もうろちょろしてる場合じゃあなかった!まだ食事は終わっていない。キッチンを見ると、ウイルが一人で天手古舞だ。ごめん、ウイルっ!

 あわててキッチンにもどる。

「そうだ、他にも食べきれない人がいたら、同じように準備するから持ってきてって伝えてくれる?」

 男に声をかける。

「ああ、ありがとう」

 こちらこそ。

 残さずに食べてくれるのが一番うれしいんだよ。食べられないんだから残せばいいじゃないか、持って帰って食べるわけないだろうって言われなくてよかった。それに、ちゃんと蕨のサラダは全部食べてくれた。へへへ。


 ふおーっ、忙しかったでございますよ……。

 後片付けは食堂のスタッフが手伝ってくれました。みんなきれいに残さずに食べてくれてた。あ、残す人は持ち帰り用にしただけだけどね。お代わり用も好評であっという間になくなりました。

 残ったのは、貴族用に別に分けて置いた分。結局ゴマルク公爵様とマチルダ様以外は来なかったよ。

 片づけが終わってから、本日のメインイベント!

 ん?料理コンテストがメインなんじゃないかって?違うよ。自分が食べられない食事がメインのはずがないじゃないかっ!

 じゃーん。マイマインさん主催(?)のバーベキューでぇす!

 ふおーっ!食堂の横の少し開けた場所に、いつの間にか石が積まれてて、火が起こされてます。その上に、鉄板が乗ってるの。で、鉄板を囲むように切り株で作った腰かけが配置されてる。

 でもって、その近くにどこから運んで来たのか大きなテーブルがあって、肉と野菜。

 あれって、踏みつけられた肉だよね?私がお盆で運んでいるときは、特別な声は聞こえてなかったのに。

 たれに漬け込まれた肉からは「ちょいとこんがり焼くとうんまいよぉ」ってイメージが。

「マイマインさぁーーんっ!」

 すごいよ、すごい!

 しゅたたたたたっと、走りこんでマイマインさんにダイブ。ぎゅーって、抱き着く。

「リーア、どうしたんだいっ、いきなり」

「マイマインさんすごい、すごい、お肉、あれ、絶対おいしいよ。わかるの私」

「ふっ、ありがとうね。でも、おいしいって言葉は食べてから言ってもらえると嬉しいね」

 にこっとマイマインさんは笑った。

 う、そうでした。巫女の力が知らない人からすると、食べてもいないのに美味しいって言われても困るよね。

 やっばぁい、よだれが出てきた。

「さぁ、じゃぁ早速焼こうかね?」

 ふわーい!賛成ですっ!

 鉄板の上で油を熱し、肉を乗せていく。それから、ニンジンと玉ねぎときのこ。

「あら、いい香りですわね。この肉にはいくつもハーブを使っているんですの?」

「ナリナちゃん、そうだよね、匂いもおいしそうだよねぇ」

 ナリナちゃんとダリさんがやってきた。

 ダリさんの手には綺麗なデザートが数種類。

 ぐおう、こちらもめっちゃおいしそう。やっばい、もうだめ、限界。

 ダラリ。

「ちょっとリーアさん、よだれが垂れてますわよっ!まったく、みっともない」

 うぎゅ、だって、いつもなら夕飯食べ終わってる時間で、お腹すいてるし。

 そこに、おいしそうなものいっぱい見せられたら……仕方がないと思うの。

「ったく、しょうがねぇな。ほらねーちゃん」

 すいっと目の前にハンカチが差し出される。

 はうっ。いつもすまないねぇウイル。

「リーア、ハンカチくらい持ち歩きなさいよっ。弟の方がよっぽどしっかりしているじゃないですのっ!」

 うう、持ってるんだよ、持ってるの。ハンカチ。でもね、すでに今日はよだれまみれなのよ……ははは。ほら、昼間のトウモロコシだとかいろいろあってね……。

「ふふっ、思わずよだれが出てしまうくらいおいしそうだと思ってもらえたってことかな?」

 ダリさんの優しい声。

「はいっ!」

 おいしそうなんじゃなくて、おいしいってわかってしまったからこそのよだれだけどっ!

「ありがとう」

 にっこりと嬉しそうに笑ってダリさんがデザートたちをテーブルに置いた。

「ふっ。それならば仕方ありませんわね。お兄様のデザートは本当においしいんですから。ですがリーア、女性がむやみに人前でよだれをたらすものではありませんわよっ!ハンカチの1枚や2枚や3枚、いつも手に持っていなさいっ!」

 ふご、そうか。1枚で足りなければ2枚持てばいいじゃないのってことね。ありがとうナリナちゃん!

 ついウイルが頼りになるから思い浮かばなかったよ……!

「うちからは、これです。急だったから用意できなくて……」

 昨日、少年と猫にもあげた干物。極上品。だが、干からびたと言って顔をしかめられた干物。まぁ、うん、確かに生の魚よりずっと安く手に入るのです。

「あら、そもそもお肉はリーア提供でしょ?別に何も用意しなくてもよかったのに」

 ふお?そういえば、そうだった。ナリナちゃんに言われるまで忘れてた。

「今日の夕飯に出した食事は残ってないのかい?残っていたら食べさせてもらえないか」

 マイマインさんが、肉を鉄板に乗せながら口を開いた。

「えーっと、形を変えたものならあります。持ってきますね」

 キッチンに戻って葉っぱの包みを持ってくる。

「今日の残りのハンバーグをパンにはさんだもので、明日の昼ごはんで食べようかなと思っていたのだけれど、どうぞ」

「昼ごはんに?いいのかい?もらっても?」

 うん。

 こくこくといっぱい頷く。

「思ったより貴族様が来なかったのでいっぱい余ったの」

 マイマインさんはにこっと笑って葉っぱの包みを受け取り小さなテーブルの上に置いた。

「ありがとうね。気になってたんだよ。兵たちの噂を聞いて」

 噂?何?今度はどんな噂されてたの?


ご覧いただきありがとうございます。

今年一年ありがとうございました。

来年もよろしくお願いいたします。

ブクマ、評価、感想、とても励まされております。リーアがもし日本のお正月にいたら、色とりどりで色々な願い事が込められたお節料理に感激することでしょう。ハンカチ何枚必要かしら?

それでは、よいおとしを(#^.^#)

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