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【書籍化】爆裂よだれチート!食いしん坊巫女と猫竜王  作者: 富士とまと


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すりおろしリンゴを使って蕨をおいしく食べましょう

「お、うまいな」

 へ?

 兵たちとは別に貴族とかが試食に来た時ようにと用意してあった皿を、果樹園であったトトの飼い主である少年が持っていた。

 ん?なぜここに?

 ああ、貴族の子供だから?不正防止審査要員?

「うん、うまい。これ、肉だよな。何か混ぜてあって、不思議な食感だが、そこがまた新しくていいな」

 もぎゅもぎゅと、笑顔で次々に料理を口に入れる少年を見て、兵たちも目の前の食事に手を付けた。

「本当だ、うまいぞ!」

 一番に声をあげたのは、中央付近に座っていた兵だ。

「だれだ、硬くて食えたもんじゃない肉を使っているといったやつは。十分柔らかくて、それに……、いろいろな味が混ざって普通に焼いた肉よりもよほどうまいぞ」

「おい、この長細い野菜、初めて見るがいける。ドレッシングに甘みがあってこれがまたあう」

「なぁ、じゃがいもも、いつも食べているやつよりうまい気がするんだが……気のせいかな?」

 えっへっへー。

 どうだ!

 ウイルの料理はおいしいでしょう!

「リーア、おかわり。これ、もっと食べたい」

 少年が空になった皿を差し出す。

「ちょっと待ってね、その前にこれも食べてみて」

「イモはいらない」

「そういわないでね?絶対においしいから」

 イチール領の藻塩をパラリ。

「リーアが絶対っていうなら、まぁ、食べてやらないこともない」

 少年はそういうと、じゃがいもをぱくりと食べた。

「!」

 うん、そうでしょう。少年のびっくり顔がおいしいって物語ってる。

「うれしいなぁ。料理ができない私だけど、このじゃがいもだけは、茹で上がりを見極めること以外は私が作ったんだよ。選んで茹でて皮をむいたの」

「リーアの手作り料理!」

 少年の顔がさらに驚きに満ちる。

「リーアの作った料理だからか……力が、すごい」

 まぁ、料理というほどのものではないのだが……。

 それでもうれしいなぁ。おいしいって食べてもらえるの。っていうか、力がすごいって何?

 私の薦め方の力の入れ具合がそんなにすごかった?食え食えって眼力がすごかったとか?

「そんなバカな……おいしいはずがない、あんな肉を使って……」

 少年の肉料理のお代わりを取りに行くと、男のうめくような声が聞こえた。

 ん?

 どうやら、いやがらせをした相手の様子を見に来たらしい。

 肉を踏んづけた男の姿があった。

 目が合うと、男が血走った目で睨みつけてきた。怖い。

「おい、どうやって肉を手に入れた!俺たちを油断させようと、わざとくず肉を見せたのか!」

 は?

 とんだ言いがかりをつけられる。無視だ。無視しよう。

「おや?兵たちの反応はいいようだね。勝負にならないと思っていたが……儂にも一口もらおうか」

 そこに、すでにいろいろな料理を食べた痕跡が残る皿を持ったゴマルク公爵様の姿があった。

 男はぎょっとして1歩下がり頭を下げる。

 えーっと、公爵様は偉い人だから、少年へのお代わりの前に料理をお出しした方がいいよね。少年には少し待っていてもらおう。

 ん?

 いない。いつの間にか少年の姿はなかった。他の領の料理を食べに行ったのかな?

「どうぞ」

 ゴマルク公爵様の皿の上に食べやすいサイズにカットした料理を乗せる。

 大きな口でもぐもぐ。

「ほほー。これは何という料理だ?」

「イチール領ではハンバーグと呼んでおります。肉を細かく刻み、玉ねぎなどほかの具材と混ぜ合わせて焼いたものでございます」

 すかさずウイルが料理の説明をする。

 そうなの。

 硬い肉も、細かくしてから使えば食べやすいのよ。

「この独特のきゅっとしたものはなんなのだ?アクセントになっていて、たくさん食べても食べ飽きないな」

 たくさん……うん。気が付いたらゴマルク公爵様は自分で皿にハンバーグを取って食べてる。

「きのこでございます」

 マイマインさんからもらった、ヨガマタクル領の特産品のきのこ。

 肉のボリュームアップもできるし、食感に変化も出せる。

 いくら細かく刻んでも肉の硬さは隠しきれないけれど、きのこを入れることで硬さに意識が行かなくなるのよね。

 それから、肉の臭みは、カシェットさんにもらった胡椒という香辛料ときのこの風味でまったく感じなくなった。

「ほう、きのこか。で、そっちの野菜はなんじゃ?」

「こちらは、蕨でございます。そのままではえぐみが強くて食べにくいのですが、灰をまぶしてあく抜きをするとえぐみが消えて食べやすくなります」

 ゴマルク公爵様は、食いしん坊の名に恥じぬ食いっぷりで、初めて見る料理にもすぐに手を出して口に入れることができるようだ。

「ほー、これはまた、他にない風味じゃな。ドレッシングとも相性がいいようだな」

「はい。油と塩と酢で通常作りますが、今回はすりおろしたリンゴを酢の代用といたしました。そのため、風味豊かなドレッシングに仕上がり、蕨の味を引き立てることができました」

 そうなの。

 酸っぱいリンゴならば、酸っぱさを利用すればいいじゃない!

 ってことで、すりおろしたリンゴに油と塩入れて混ぜ混ぜしたら、おいしいドレッシングができましたとさ!

 あれほど酸っぱい酸っぱいと思ってたのに、酸っぱいものの代わりに使うと、逆に甘みがあるって思うから不思議だよね。

「もしかして、あの果樹園のリンゴか?食べられたものじゃないと思っていたが、このような使い道が……」

 ゴマルク公爵様もどうやらすっぱいリンゴのことは知っていたようだ。

「うむ、うむ、なかなかのもんじゃ。人の食べ物とは思えようなものからこのように美味なものを作り出すとは」

 おーい、人の食べ物とは思えないって、言い過ぎですよっ!

 硬くて臭い肉だって、酸っぱくて顔をしかめるようなリンゴだって、普段から人が食べてますからね?

「この蕨というものも、見た目が悪い。汚い色だ。形も面白みがない。だが、きゅもきゅもするこの食感はいいな。鮮烈な特徴のある味ではない地味な風味もまた……」

 うーん、蕨は褒められてるのか、けなされてるのか……。


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