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【書籍化】爆裂よだれチート!食いしん坊巫女と猫竜王  作者: 富士とまと


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かわいいっ!

 なんだかんだと、みんなでワイワイと楽しい朝食でした。

「さぁ、ねーちゃん、今日の夕飯から大飯ぐらいの30人前作らなくちゃいけないんだ。食材の調達頼んだぞ。俺は下ごしらえの続きをするからな」

「ラジャー!」

 まずは、デザートの確保してこようかな。

 食糧庫を通り過ぎて、そのまま果樹園へ。食糧庫のカシェットさんは果樹園の果物は好きに使っていいって言っていたし。

 昨日はすべての木を見て回れたわけじゃないから、おいしい実もどこかにあるかもしれない。

 きょろきょろ。

 あっ、そうだ。昨日は上を見上げて歩いていて壁にぶつかったんだ。学習能力ある私ですから、今日はちゃんとぶつからないように気を付けますよ。

 と、ぶつからないように壁の位置を確認しようとしたら、壁……高い塀の上を白い何かが動いた。

「ふわぁっ!猫ちゃんだ!かわいいっ!」

 猫がたっとスピードを上げて塀の上を駆けた。

「ま、待って!」

 急いで追いかけようと走ったら……。

 ドッシーン。

 あうっ。

 壁は見てたけど、足元未確認で、木の根っこにけっつまづいて転びました。

 ……そのまま、壁に激突かと思いきや、ちょうど扉があって、そこに突っ込んだみたいで、扉が勢いよく開いた。

「リ、リーア?……大丈夫か?」

 え?

 地面にキスしそうになったところを、昨日の少年が体で受け止めてくれました。

 っていうか、私の下敷きになっている……。

「ご、ごめんなさいっ!怪我はなかった?昨日も今日も本当、ごめんね」

「い、いや。リーアなら許すし。心配しなくとも、人より頑丈にできているから大丈夫だ」

 立ち上がって、服についた土を払う。

 少年のズボンについた土も払おうと手を伸ばしてパンパンと軽く叩くと、さっと身をかわされた。

「じ、自分でできるっ!子ども扱いするなっ!」

 真っ赤になって怒った。

 うにゃー。つい、ウイルにするように……って、ウイルにも怒られてるんだけど……。ううっ、おねえちゃんにお世話されるのダメですか……。ぐすし。

「まさかと思うが、鍵のかかっている扉に体当たりして開けたのか?」

「違うよ、転んで扉にぶつかったら開いただけで……あ、いた!猫ちゃんを追いかけて転んじゃったんだよ」

 少年の後ろにさっき見た猫ちゃんを見つけて駆け寄る。

「うわっ、リーアよせ、トトに手を出すな、ひどい目にあうぞ!」

 え?

 ひどいめにあうって、引っかかれたり、?みつかれたり?

 もっと早くに言ってよ。手を出しちゃったよ。

 ぺろり。

「うわーん、かっわいーっ!」

 かわいく出した舌で手を舐められた。

 なんだぁ。大丈夫じゃない。

 怒らせないように、そっと猫を抱き上げる。

「は?そんな、馬鹿な……トトが触らせるなんて……」

 少年がものすっごくびっくりした顔をしている。

「猫ちゃん、あなたトトっていう名前なの?」

「リーア、トトは猫じゃなくて」

 少年が何か言おうとするのを、

「にゃーご」

 猫ちゃんがさえぎる。

「ふふっ、くすぐったいよ」

 トトちゃんが、ほっぺたを舐めた。

「トトっ!リーアは俺が先に見つけたんだ!」

 少年がトトちゃんの尻尾を引っ張って私の腕から引き離した。

 そういえば、一番おいしいリンゴを少年はトトに食べさせてあげると言って持って帰ったよね?

 この猫ちゃんは、少年の猫なのかな。

 でも、猫ってリンゴを食べるの?猫と言えば……。

「そうだ!ちょっと待ってて!」

 急いでイチール領のキッチンへ行き、昨日買ったものを持って戻ってくる。

「はい、どうぞ」

 トトの目の前に差し出したのを見て、少年が顔をゆがませた。

「なんだ、この干からびた魚は……」

 干からびたって……。

「おいしい干物だよ」

 もしかして、今まで干物を見たことがないのかな?

「リーア、トトはいつもちゃんとした魚を食べてる。こんな変な色の魚じゃなくて……」

 ちゃんとした?

 もしかして、干物を、人間が食べられない残飯みたいな魚だと勘違いさせちゃった?

「違うよ、これはね、干物。こっちが塩で、こっちはみりん干し。味をつけて干してあるの。水分が抜けるから、まぁ、干からびたっていっても間違いではないけど……干からびたんじゃなくて、干からびさせた……ん?あれ?とにかく、おいしいから、君も食べてごらん」

 持ってきた干物はウイルが焼いて冷ましていたものだ。身をほぐして何かと混ぜて料理に使うつもりだったみたい……。ごめん、ウイル。また焼いといて。

 トトちゃんも少年も、動かない。

 おいしいのに。

 干物屋に並んでいるものの中で、一番おいしいの選んだんだよ。旬の時期の魚を、とれたてで加工し、味付けも絶妙で、干し加減も最適。

 さらにそれをウイルが上手に焼いてくれたという……。

 おっと、味を想像しすぎて、よだれが。

 ぱくり。

 もぐもぐ。

 おっと、二人が食べようとしないものだから、思わず自分で食べちゃった。

「ふおうっ。ふっくらした身、脂ものってる。そして、みりんの甘みと塩加減がちょうどよくって……おいしい」

 ぱくんと、私の手元のみりん干しの魚に、トトちゃんが食いついた。

「にゃんっ」

「えへ、そうでしょ、おいしいでしょ」

 なんとなく、おいしいと言っているような気がして返事をする。

 ぱくん。

「にゃぁーん」

 うううっ、か、か、か、かわいい!


いつもありがとうございます。

来週より週2回の更新に変更する予定です。水土の予定です。


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