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旅立ち

「誰だ!?」

 ケロちゃんに触れた途端、目が眩むほどの眩い光が一瞬発されて、その直後にびっくりするほどの陽気な声が聞こえてきた。驚いた俺は慌てて周囲を見渡したが、俺の周りにいるのはケロちゃんのみ。

(いったい誰の声だ?近くにはケロちゃんしかいないし...。まさかケロちゃん?いやいやまさかね。)

「そのまさかっすよ!」

(うおおぉぉぉい!また声がしたびっくりしたよホントに。)

 驚いた俺はおそるおそる尋ねてみた。

「今しゃべってるのって、もしかしてケロちゃん?」

「そうっすよ。」

「ホントに?」

「ホントっす。」

 どうやらほんとらしいよ。しっかり返事が返ってくるよ。いやぁまさかケロちゃんと会話できるとは思わなかった。ペットのように可愛がっていたのだ。お話しできてうれしくないはずがない。


 その後、ケロちゃんとの会話を楽しみ、一段落したところで、ふと疑問がわいてきた。

「なんで俺ケロちゃんが見えてるの?」

 そう、見えてるのだ、はっきりと。目覚めたときは、目を開けてるのか閉じてるのかわからないほど真っ暗だったのに、いつの間にかケロちゃんだけでなく、周囲の状況もはっきりと認識できているのだ。

「それはっすね、魔力感知っていうスキルのおかげっすね。」

 当然のように答えるケロちゃん。

「マリョクカンチ?」

 おっと、聞きなれない単語につい片言になってしまった。

「周りにある魔力を利用して、周囲の状況を把握することができるんすよ。これが使えれば真っ暗でも困らないっすね。他にも、意識を向ければ視界の外の状況も把握することができるっすよ。」

 何それ、つまり自分の後ろも意識するだけで見えるようになるってこと?そんな馬鹿な、と思いつつ、意識を集中させてみた。

「っ!?すげぇー。ばっちり見えるじゃん。」

 これは便利だ。これで後ろからの不意打ちを余裕でかわし、どや顔できるようになったわけだ。

「あれ、でもなんで急にこんなことができるようになったんだ?」

 最初は確かに何にも見えなかったのだ。それが急にこうなったのはやっぱり不思議だ。この疑問に答えてくれたのも、やはりケロちゃんだった。

「あぁ、そのことっすか。さっき来た奴が使ってたんで、それを解析して使えるようにしたんすよ。」

 さらっと爆弾発言を投下したケロちゃん。

「え...ケロちゃん他人のスキル盗んだの?ってか盗めるの?」

「人聞きが悪いっすね。しかっりと解析して使えるようにして渡したんすよ。」

「渡すって俺に?」

「そうっすよ」

 なるほどなるほど。つまりこういうことか。ケロちゃんいれば何でもできるようになるってことだね、うん。それってすごいことなんじゃないの?

(いや、もしかしたらこの世界ではみんなできること、いわゆる常識ってやつかもしれないな。)

「その可能性は低いっすねー」

(おっと、今心読まれたんじゃないの?)

「読んでないっすよ。」

(読んでますね!)

 恐ろしい、どうやらケロちゃんは読心術も習得してるようだ。

「みんな使えるならさっきの二人両方とも使えないとおかしくないっすか?見たところ二人ともかなりの手練れでしたが、使えてたのは男の方だけだったので、この世界で他人のスキ盗めr...解析して自分のものにできるのは常識ではないと思うっすよ。」

 今さらっと盗むって言いかけてよね?まぁいいや。要するにケロちゃんすごいってことがわかったね。ということは、魔力感知はカッツのスキルか。確かにあの暗闇で、遠くから俺を発見してたし、ケロちゃんのことも真っ暗な中気づいていたしな。便利なスキルをありがとう、カッツ。悪いようにはしないよ。

「なるほどね。というかあの二人は手練れだったのか。なんか俺を危険と思ってたらしいけど、この見るからに弱そうな俺のどこにそんな危険を感じたのやら。」

 そう不満げに呟いて、あることを思い出した。

「あぁ!そういえば俺女の子になってるかもしれないんだ。ケロちゃん、俺の姿見えるようなものなんかないの?」

 一連の会話から、とりあえずケロちゃんに頼れば何とかしてくれると確信したので、とりあえず頼ってみた。

「魔力感知で自分に意識を向ければ見えるっすよ。」

 グッジョブさすがです。さっそくやってみる。そして、初めて自分の姿を見たのだ。


 真っ赤な髪は肩の上で切りそろえられていて、大きな瞳も燃えるような赤。鼻と口は小さくてかわいらしい。身体は小柄で、中学生になるかならないかくらいだ。

「これが、俺か...」

 カワイイ!え、ナニコレちょーかわいいじゃん。先ほど見たキールも美人だと思ったが、それに劣らないほどかわいい。強いて言うならちょっと幼すぎるが、それも気にならないほど美しいのだ。そして一つの重大な事もとも判明した。この容姿で素っ裸の破壊力はすさまじい。

(なるほど、カッツの言った意味が分かったぞ。確かにこれは危険だ。危険すぎる!早く何とかしないと。)

 これで冒険の最初の目標が決まった。

「ケロちゃん、服を探しに行くぞ」



「しかし、お前が撤退してくるとは珍しいな。てっきり討伐完了の報告が来るものだと思っていたぞ。」

「そのつもりだったんだが、ヤバい感じの奴がいてな。久しぶりにブルっちまったよ。」

 奥の壁一面には本がぎっしり詰まっており、立派な机に革製の椅子が一つずつ。窓は一切なく、部屋を照らすのは左右の壁に並ぶロウソクの灯りのみ。そんな小さな部屋から聞こえる声は二つ。一つは先ほど洞窟から帰還したカッツのもの。もう一つは女性のものだ。

 入口のすぐ横の壁ににもたれながら、カッツはめんどくさそうにそう言った。

「お前ともあろう者が、怖気ついて逃げてきたというわけか。」

 女性は片方の眉を吊り上げ、口元を緩めて尋ねてくる。彼女が挑発するように話すのはいつものことのようで、カッツには気にした様子もない。

「まぁそういうこった。」

「それで、どんな感じの奴だったの?」

「本体はかわいらしい少女の見た目をしてたよ。魔力量はA相当だが、おそらく漏れた分だけだ。まぁ、俺らなら問題ねえだろうがな。」

「本体?変な言い方をするものね?」

 彼女は相変わらず口元を緩めてそう尋ねる。

「あぁ、奴よりも、そいつが持っていた物が気になったんだよ。なんとなくだが、その物を前にした時、巨大な壁が迫ってくるような恐怖に襲われてな。逃げろ、って警報が頭ん中で鳴りまくってたよ。」

 そう言ってカッツは苦い顔をした。

「へぇ、それは興味深いね。他には何かなかったの?」

「そういえば、その少女は冒険するとか言ってたな。」

 それを聞いて彼女は満面の笑みを浮かべた。

「それは楽しくなりそうね。」






今回戦闘シーンに行く予定でしたが、なかなか進まないものです。次回は入れるのでお楽しみに。わかりやすくできるように頑張ります。

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