俺はラリってなんかない!
勇者、ラリります。
「さぁ、準備は整いましたよ。勇者さん!異世界にーレッツゴー!」
「おー!ってなるかくそぉぉ!!」
俺は華麗な乗りツッコミと共に叫ぶ。
「なんなんだよ異世界って!どんな所だよ!」
「勇者さん…まだそんなこと言ってるんですか?」
女神がなぜか憐れんだ目で見下ろしてくるのがむかつく。
「もう決めたじゃないですか。男なら一度を決めたことをそうやすやすと曲げないでくださいよ」
「さっきのはほぼ脅迫だっただろが!」
そんなことないですよー、とにこにこしながら言ってくる女神を睨みつけながら俺はあることに気づく。
「そういえば異世界って日本語通じるの?」
「あぁ!その説明忘れてましたーえへへ」
えへへ、ておまえ…。
「あなたにはこれを飲んでもらいます」
そう言って女神が、自分のポッケから取り出し渡してきたのは小さなビンだった。中にはアメ玉のようなカラフルな球体が入ってるが。
「え、なにこれ?」
「一言で言えばお薬です。これを飲むとあら不思議!異世界語が話せる聞き取れる字が読めるようになるんです!」
「それって大丈夫なんだろうな?」
「はい!安全安心なお薬ですよ。飲んで数秒後にはテンションがハイになりますが、すぐ元に戻ります」
それ、大丈夫って言えんの?
女神にこれ以外に異世界語を理解する方法がないと言われた俺は、若干びびりながらもその薬を飲む。
科学的な味で、ふつーの薬だな。
と、そこに天界に一度戻っていた天使が再び降臨した。
「おっすー。行く準備はできました?」
相変わらず軽い口調の天使に俺は。
「おういえあ!さくっといせかいすくってくらぁ!おれにまかすぇろ!あっはっはっはっは!」
薬の効果からか、気分が最高にハイの状態で答えていた。
だめだ!こんなの俺じゃない!早く元に戻れ俺!
頭ではそう思いつつも薬のせいか体がいうことを聞かない。
その時、
「『ローテンション』!!」
女神が俺の顔に手をかざして叫ぶ。
すると俺のハイなテンションは急激に下がり元のテンションに戻る。
「はっ!なんだいまの?何が起こった!?」
「このお薬、勇者さんにはかなり効き目が強かったようね」
女神は小瓶を睨みつけながらブツブツと呟く。
「おい!今お前何した!?」
「え?あぁ、今のは私のスキルよ」
「すきる?」
「えぇ、ゲームとかでもあるでしょ?あれと同じよ。あ、ちなみに異世界にもスキルや魔法が存在するから覚えるといいわ」
まじか、そんなもん実在するのか。
しかも、俺がこれから行こうとしてる異世界にも?
俺が驚きに固まっていると
「あのー、もういいですかー?私も他の仕事がありますし、そろそろ異世界行ってもらえます?」
天使が不満そうな顔で言ってくる。本当に忙しいのだろう。
「そうね。じゃ、行ってもらってもいいかしら?勇者さん」
「おう!さっさと異世界に送ってくれ!魔王は俺が倒してやんよ!」
さっきほどの行きたくない気持ちはどこかに飛んでいき、俺はわくわく気分で女神と天使にそう宣言した。
「まだ、お薬の効果抜けてなかったのかしら」
*****
「じゃ、頑張って異世界救ってきてくださいね。虹原正人さん」
天使が微笑みながら言葉をかけてくる。
「あぁ、任せろ!」
俺は女神がチョークのようなもので描いた魔法陣の真ん中に立っている。
「よし、準備は完璧にできました。」
そう言って女神は俺の方を向き、顔を見てくる。
「あなたは今まで、平凡な高校生『虹原正人』だった。でもこれからは違う。あなたは異世界を救う英雄となる男『勇者マサト』よ!どうかあなたが魔王を倒し、異世界を救うことを願っています。この第七女神と」
「大天使エリシアが」
第七女神と大天使エリシアはそう言うと神に祈りを捧げるかのように胸の前で手を組んだ。
それと同時に俺が立っている魔法陣は虹色の輝きを放ち始める。
それから眩い光が差し込み、俺を温かく包み込む。
俺は、これから、本当に異世界に行くんだ。
俺は女神と天使を真っ直ぐに見つめ、
「行ってきます」
そう言って、俺は光に全身を包まれ異世界に飛んだ。
1ヶ月ぶりの更新です。
主人公がやっと異世界に行きました。
この次話もいずれ投稿します




