第六話
......金がない。
......刀がない。
......こんな時の解決策は
①フレンドに借りる。
②ボスを倒す。
③ゲームをやめる。
駄目だ、録な案が出てこない。雑魚を倒すのがやっとなのにボスとか無理ゲーだし、ゲームをやめるなんて論外。そして、唯一希望があるフレンドは不遇職を選んだユーリのみ。
「やべぇ、完全に詰んだ」
こうなったら、ユーリが不遇を脱するまで待つか。不遇職が最強職にとかよくある話だし。
「あ、あの~」
「!?」
「お、驚かせてすいません。私、カエデっていいます」
「えっと、アオです」
なんか挨拶されたから挨拶仕返したけど、白の長髪に小さめの背、見た感じ高校生くらいだけど知り合いじゃないよな?
「急に声を掛けてごめんなさい。でも、アオさんならもしかしてって思って」
「もしかして?」
「はい。アオさんの種族って人間ですよね?」
「そうだね」
「そして、職業は侍ですね?」
なんで知ってるの......
もしかしてPK? 弱い奴から殺ろうみたいな。まぁ、俺倒しても何も手に入らないけどね!
「そうだね」
返事が同じになってしまったけど、声震えてなかっ......なんか、目の前の子震え出したんですけど!?
「......やったぁ! アオさん私とパーティー組んで下さい!」
「はい?」
「だから、私とパーティー組んで下さい!」
そうじゃない。その部分はちゃんと聞こえてる。俺が疑問なのは何でパーティー組むかだから。
「いや、何でパーティー?」
「そうでした。説明がまだでした。私の種族は人間、職業は召喚士です」
「............まじ?」
「はい」
女性プレイヤーはパーティー組むのが簡単って聞いていたけど、この子は凄い苦労したんだろうな。
「つまり調教士と間違えて召喚士を選んだの?」
「はい。種族もランダムにしたんですけどね......人間になりました」
不憫だ。まさか、俺と同じくらい可哀想な人がいたとわ予想してなかったな。
「それで、何で俺とパーティー? 俺残金0だし、侍だよ?」
「残金0は驚きですけど、もう残っているのはアオさんだけなんです! 他のプレイヤーは皆、異種族ばかりでパーティー組めないんですよ......」
「まぁ、パーティー組むよ」
「本当ですか!?」
「うん。俺も一人じゃ無理だと思ってたから」
本当は無理じゃなくて終了だけどね。でも、パーティー組めるなら可能性は0じゃない筈。
「ありがとうございます!」
「いや、俺は多分迷惑掛けまくると思うからお礼はいらないよ......それより、召喚士って召喚石作るのが大変って聞いたけど、どうやって作るの?」
ユーリからは大変としか聞いてないからなー、何が大変なのか全く知らない。こんなことなら、聞いとけば良かったな。
「えっとですね、モンスターからドロップする魔石を50個集めれば作れます」
「............え、50個? 5個とかじゃなくて?」
「50個です」
「ちなみに、今何個?」
「10個です」
「意外に多いね? 5個とかかと思ったけど」
「最初の召喚までは、魔石のドロップ率が2倍なんです」
一様の配慮はされてるのか。なら、侍も最初の刀までは耐久2倍とか......無理か。
「あの、私も質問していいですか?」
「いいよ」
「何でアオさんはお金無いんですか?」
まぁ、当然の疑問だよな。でも、これはしょうがないことだと思って過去を振り返りながら説明した。が、カエデは不思議そうな顔で聞いてきた。
「一つ疑問があるんですけど。すぐ壊れるって分かってるのに何で刀で戦ってるんですか?」
「何でって刀しかないからだろ?」
「? アオさんって刀買ったんですよね?」
「そうだね」
「じゃあ、その時に別の武器買えば良かったんじゃないですか?」
ん? 別の武器って、侍の武器は刀以外にあるのか?
「侍って刀以外の武器あった?」
「......成る程。アオさん勘違いしてますね。別に侍だから刀以外使えないとか無いですよ」
「え、職業事に使える武器決まってるんじゃないの?」
「決まってませんよ。だって、剣とか誰だって振れるじゃないですか」
確かにそうだけど、そうなると剣士とか職業の意味なくなるよな?
「ただ、侍が剣を使っても、剣士用のスキルがないので攻撃力は限られてますけど」
まじかよ。じゃあ、金貯まるで剣とか使って戦えば良かったじゃん。