第四話
俺は今、刀を作るために必要な鉄を採るため東にあった山に来ている。
「けど、ピッケルが300Gとか高すぎだろ......」
そのせいで、残金はとうとう100Gになってしまった。道中の敵も気配隠蔽と魔力隠蔽でやり過ごしてきたせいで売れる素材も無いし......
まぁ、この先にある洞窟で鉄採って売ればいいさ。
「......おっ。あれか、採掘ポイントって」
確か光って見える場所が採掘ポイントだったよな。洞窟の中だと分かりやすくて助かるけど天井にモンスターいるな。見た感じコウモリみたいだが俺には気配隠蔽とか魔力隠蔽あるから大丈夫だろ。
「......じゃねぇよ!」
確かコウモリって超音波で敵の居場所探知するんだから、気配や魔力消しても意味ないだろ。案の定、コウモリこっちに向かってきてるし。
「くそ。もうどうにでもなれ」
やけくそに、コウモリの突進に合わせ刀を降り下ろす。
《種族レベルが上がりました》
《職業レベルが上がりました》
《ボーナスポイントに2ポイント追加されます》
《スキルポイントに2ポイント追加されます》
見事に両断されたコウモリは死んだが、代わりに中央の刃がはこぼれしている。まぁ、今のは斬るというよりコウモリを叩き潰す感じだったからしょうがないともいえるけど............500Gしたんだよね。
いや、ここで鉄を採れば刀はいくらでも作れる。
そう思ってピッケルを振るったんだが、【鑑定】持ってないから何が採れたかわからない。ピッケルが壊れるまで採掘したが、本当に鉄なのだろうか?
◇◆◇◆◇◆◇
ステータス
名前:アオ
種族:人間 Lv.2
職業:侍 Lv.2
耐久:10
体力:15
魔力:10
筋力:20
知力:10
敏捷:15
器用:10
ボーナスポイント:2
職業スキル
【刀Lv.2】
種族スキル
【器用貧乏】
スキル
【気配隠蔽Lv.2】【魔力隠蔽Lv.2】【縮地Lv.1】【鍛冶Lv.1】【採掘Lv.1】
スキルポイント:2
これはもう、詰んだと考えるべきだろうか。残っていた100Gも宿屋の代金で消え残金は0。スキルも戦闘系は【刀】と【縮地】のみ。
「まさか、鑑定に金が必要とはな......しかも、よくよく考えたら刀作る場所も金がかかるよな」
《ユーリからチャットが着ています》
今度はなん用だ? 自慢話なら埋めるぞ。
『なんだ?』
『アオに良い話持ってきたぞ』
『良い話って言われても、今の俺の状況だと悪い話の方が少ないんだがな』
『いや、これはまじで良い話だから。まず、アオは透視スキルって知ってるか?』
透視スキル? 宝箱の中が覗けるスキルか?
『知らない』
『じゃあ、説明するぞ、透視スキルっていうのは簡単に言うと透けて見える』
『宝箱の中身とかか?』
『宝箱の中身とかだ。まあ他にも、建物の中、生物の骨とか色々見えるらしいけどな』
それの何が良い話なんだ? 全く使えないスキルだろ、誰が人の家の中覗くんだよ、そもそも宝箱にすら辿り着けねぇからな俺。
『それでだ。アオは透視スキル使えば刀の損傷を抑えられるんじゃないのか?
鱗とかは流石に無理だと思うけど、ウサギとかなら大丈夫じゃないか?』
『............ユーリ、お前天才だろ!』
『そうだろそうだろ。だから、召喚士に便利なスキルあったら俺にも教えてくれ。それじゃあな』
まさか、本当に透視スキルだけの用事でチャットしてくるとわ。急いでるようだったから、ユーリも召喚士選んで追い詰められてるって事か。