第三話
「刀一本500Gとか......とりあえず、一本買ったから残金500Gか」
ヒスイさんから貰った一本を合わせ二本、でも、敵は二体しか倒せない。
《ユーリからチャットが着ています》
『なんだ、悠里?』
『一緒に狩りに行こうぜ。あと、悠里じゃなくてユーリな』
『行きたいが俺はどうやら、不遇職選んだらしいから狩り無理』
『なんだアオもか。俺も不遇職選んだぞ』
人の事言えないが、何故選んだ? ユーリには彩月さんがいただろ。
『甘い甘い。俺はこのゲーム一番の不遇職だから』
『......姉ちゃんが話があるから来いだって。街の広場にいるからすぐに来いよ』
なんかすごい行きたくないない。
行きたくないが、行かないと行かないで怖いので重い脚を引きずりながら広場に着くと、黒髪のイケメンと青髪の美女がいた。
「......カップルみたいだな」
「俺はシスコンじゃねぇ」
聞こえないくらいの声で呟いたんだが、聞こえたようだ。
「来たようだね。それで、一つ聞きたいんだけど、アオは私の話しを聞いてなかったの?」
笑顔だが見えるぞ、彩月さんの後ろにいる鬼が。ってふざけてる場合じゃない、まじで街の外ならPKしそうな顔してる。
「聞いてたよ。職業は自分のやりたいのを選べばいいだろ?」
「......その後に、不遇職はよく調べて選ばないようにって言ったんだけどね」
「すいませんした!」
「もしかして、スキル選びも終わってる?」
「え、スキルって何?」
今度こそ彩月さんの目から光が消えた。
「アオは何を考えてるの? 言ったはずだよね? スキルはキャラ作成の後に選ぶって? 聞いてなかったの?――――」
「はい。そこまで。これ以上はゲームの時間が勿体ないから現実でやってくれ」
流石にまずいと思ったのか、ユーリが彩月さんを止めてくれた。ユーリまじで、ありがとう。
「......アオ、スキルってのは最初、五個まで選べてスキルの枠は十個。種族レベルが十上がる事にスキル枠が一増える仕組みだ」
「へー、そんなのあったんだな。ところで、ユーリとアヤさんの種族は?」
「俺は、悪魔で姉ちゃんは雪女だな」
皆、実は人間が嫌いなんだな。俺も昔は異種族とか憧れたけどさ人間だって強いと思うよ。
「そう言うアオの種族は?」
「......人間。笑いたければ笑え。俺はランダム選んで人間になったんだ」
俺の種族が人間って聞いた、アヤさんが泣きそうな顔でこっちを見てくる。
「別に笑いどころないぞ?」
「そうかユーリは知らないのか。人間って不遇種族なんだとさ」
「......不憫だな」
「うるせぇよ。それより、不遇って言ってたけど職業なんだ?」
「召喚士だよ」
ユーリによると、召喚士は召喚石を作るのが大変だから不遇だとか。遥かに俺よりましだと思う。
「そんな事で不遇とか本当に甘い。俺の選んだ侍は一戦事に刀無くなるからな」
「............本当に不憫だな」
「まぁ、そういう訳だから狩りは無理だ。何か策が見つかったら一緒にやろうぜ」
そう言い残して、俺は休憩のため宿屋に向かう。
最後までアヤさんが泣きそうな顔だったのには触れないでおこう。
適当に見つけた宿屋に入り値段を聞くと、宿屋は一泊100G。とうとう、俺の残金は400G。
金欠に悩んでいると鍵を渡されたので、渡された鍵の番号の部屋に入る。部屋の中は、部屋の隅にベットが一つ置かれているだけの寂しい部屋だった。
「まぁ、とりあえずスキルを取得しよう!」
気合いを入れてメニューからスキルを選び取得画面にいくと、既に取得されている二つのスキルが表示される。
【器用貧乏】【刀】
器用貧乏は人間の種族スキルで、刀は侍の職業スキルだろう。
【器用貧乏】すべてのスキルの効果が1.2倍になる。
【刀】刀の攻撃時ダメージアップ。
スキルの効果1.2倍は普通に強いと思うんだが......弱いのか?
さて、最初は五個まで選べるんだよな。
今、俺の目の前に表示さらる半透明のウィンドウには沢山のスキルか表示されている。さて、何を選んだものか......
結局、俺の選んだスキルは
【気配隠蔽】【魔力隠蔽】【縮地】【鍛冶】【採掘】
魔法は魔法用のステータスに補助スキルが必要だから、付け焼き刃になるので選ばなかった。でもせっかくのゲーム、魔法使ってみたかった。