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Wonder World  作者: 回避
1/6

第一話

(あおい)。明日から土日だけど両方空いてる?」


 昼休み、飯を食い終えボーっとしてたら、友人である峯村(みねむら)悠里(ゆうり)が話し掛けてきた。


「空いてるが......旅行でも行くのか?」

「旅行じゃなくて、ゲームを買いに行こうと思ってるんだけど......」


 珍しい。悠里みたいな普段ゲームをやらない奴がゲームを買いに行こうと俺を誘うとは......


「それで、何のゲームを買うんだ?」

「『Wonder World』ってゲームな「ごめん。悠里一人で買ってきて」」


 悠里の言葉を最後まで聞かずに俺は拒否した。

 その理由は悠里が言った『Wonder World』にある。


「『Wonder World』ってVRMMOだとかで、今話題のゲームじゃねぇか。そんなの買えるわけないだろ」


 そう。『Wonder World』はとにかく人気。悠里が土日空いてる? と聞いたのは、本当に土日店に並ぶ気だからだ。


「そこをなんとかお願いします。姉ちゃんに、蒼を誘って一緒に買いに行って来てって言われてるんだよ」

「いや、まず金がない。この時点でどうしようもないだろ? 諦めろ」


 嘘とかじゃなくて、本当にない。『Wonder World』はそこまで高くないがVRギアっていう、専用の機械が高い。

 これで、諦めるだろうと思ったが悠里は予想外の言葉を返してきた。


「お金は問題ないと思う。蒼の両親が出してくれる」

「は? なんで?」

「この前、蒼の誕生日だったのに蒼が何も欲しがらないって、蒼の両親に相談されてた姉ちゃんが」


 俺の両親は何を考えてるんだよ。普通、家が隣だからってそんなこと相談するか?


「はぁ。用意周到なことで」

「そう言うなって、姉ちゃんも蒼を仲間外れにしたくないんだろ」

「そんなことはわかってるよ」

「じゃあ、今日の夜に店の前に集合」


 今日から!? と驚いたが、悠里が言うには店側が専用スペースを作っているから、もう人が並んでても可笑しくないそうだ。


 ◇◆◇◆◇◆◇


「まさか、本当に二日間並ばされるとはな......」


 金曜日の夜は、悠里の言った通り人が並んでいたのには焦った。

 そこから、お互いの母親の協力もあったりして、日曜日に無事に『Wonder World』を購入出来た。

 正式サービス開始は明日の月曜日かららしい。


「お疲れ様。でも、この後、姉ちゃんに『Wonder World』について聞くから一緒に来い」

「嫌だ。俺は帰って寝る!」

「いや、蒼はこの二日ずっと寝てただろ」


 それはそうだが、やっぱり家で寝るのとは違う。疲れが全くとれない。頼むから寝かせてほしい。


「おーい、悠里!」


 ......どうやら、俺の願いは神に届かないらしい。

 前の方からよく知った女性が走って来る。


「家で待ってるんじゃなかったのか姉ちゃん」

「蒼が逃げると思って捕まえに来た」

「......なぜわかったし」

「それじゃあ、家に帰ろう!」


 なにがそれじゃあ、なんだよ。俺を思いっきり無視しただろ。


「諦めろよ蒼」


 諦めろっていうか、もう彩月(さつき)さん歩き出してるから。




 結局、俺は悠里の家に来た。


「えーと、まずは種族の説明から始めます」

「種族って人間とかだろ? 説明いるの?」


 ゲーム初心者の悠里は、種族の違いがわからなくてもしょうがない。だが、彩月さんは悠里の発言を無視して話し始める。


「種族は、人間、エルフ、亜人、魔人、ランダムがあります」

「そもそもなんで、彩月さんは情報持ってるの?」

「それは私がβテストに当選してたからだよ。じゃあ、説明を続きます。私的には、ランダムがオススメ。ていうか皆、基本ランダムだね」


 ランダムでは、人間とエルフのハーフなんかがでるらしい。ハーフなにが良いかはよくわからんけど。


「ちなみに姉ちゃんの種族ってなんなの?」

「βテストでは雪女だったよ。肌が青白なのが少し嫌だったけど強かったね」

「本当に色んな種族があるんだな」


 彩月さんの話では、他に、鬼、天使なんかがあったそうだ。

 そりゃあ、皆ランダムにするわな。


「次は職業。これは、種族に合わせて選ぶのが基本だけど、自分のやりたい職業でいいと思うよ」


 その後、余り説明らしい説明もないまま説明会は終了した。


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