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バトルロワイヤル

またまた、私大虎が書く碧葉ユウ視点です。

ユウ君の奮闘(?)を暖かい目で読んでやってください。

 第3訓練場は、実戦を意識したものになっていて人が住まなくなった地域を丸々訓練場として使っている。

 その廃墟もとい第3訓練場の真ん中に僕を含めた1年生全員が集まった。その前には、仰山おおやま教官が立ち僕たちをジッと見ている。

 仰山教官は、息を大きくすった。


 「よし、諸君らにはこの第3訓練場で全員敵のバトルロワイヤルをしてもらう! もちろん、魔法は使用有りだ。しかし、出力は抑えろ殺したら即失格の上に退学もありえる。殺さなければ、何をしようが構わん」


 な、何言ってるんだ!? 殺さなきゃ何でも有りって……そんなこと言ったら骨の折り合い、内臓の潰し合いになるぞ!?


 「骨などが折れても、現役で最前線で戦っている魔法衛生兵を何名かこちらに呼んだ。腕は一流だから、大丈夫」


 全然大丈夫ない!? 骨折れることは確定ですか!?

 いや……まあ、いい。任務を受けていれば、骨の1本や2本折れることもあるだろう。その予行練習と思えば……。

 仰山教官は、腕時計を見た。

 カチカチカチカチカチカチカチカチカチ

 腕時計の針が6に進んだ。

 

 「バトルロワイヤル始めぇぇぇぇ!!」


 その場にいた全員が、一斉に散るせ全員考えていることは同じだ。

 生身のままだと、魔力は限られている。だから、みんなある程度数が減るまで待つつもりなんだろう。隠れながら、自分が1番戦いやすい地形を見つけようとすれば当然人と出会う。出会えば戦うしかない。

 最初に犠牲になるのは、誰か。その最初の戦闘によって初めてバトルロワイヤルの幕は上がる。

 ボンッ!!

 背中の方で爆発を感じた。

 もう最初の戦闘が始まったのか! いくらなんでも早すぎる。こんなことをやらかしたのは誰だ?

 僕は、足は止めずに首だけを動かして後ろを見る。戦闘を開始してたのは、ルイだ。

 ルイは、手のひらからピンポン玉ほどの火の玉を出し、飛び上がりそれを投げつけた。火の玉は一直線に驚きのあまりほうけてしまっている男子生徒に向かっていき、爆発した。

 幸い威力をだいぶ落としていたらしく、気絶しただけみたいだ。


 「よし!」


 当の本人はガッツポーズをしている。

 ルイは、何故か僕のことを見てニヤっとした。

 嫌な予感がする。いや、嫌な予感しかしない。

 

 「ユウ、勝負だ!」


 また、火の玉を出し僕に向かって走ってくる。ルイが、こうなったら戦うしかない。返り討ちにしてやる!

 

 「そっちが火なら、僕はこれだ!」


 僕は、右の手のひらにハンドボールぐらいの大きさの水の玉を作った。それと同じものを左にも作る。


 「喰らえ!」


 水の玉を狙いをつけて投げつけるそのみ水の玉は、ルイの1メートル前で爆散する。爆散した水の粒は、弾丸となってルイに突き刺さる……。

 ───はずだった。

 ルイはまたもやニヤっと笑うと、同じ手のひらにもう一つの火の玉を作り出し水の玉にぶつける。すると、蒸気を発しながら火の玉と水の玉は両方消えていく。

 な、相殺したのか。

 

 「ほら、まだ終わってないぞ!」


 ルイは火の槍を作り、僕に向かって投擲する。僕はそれを転がって辛うじて避けた。

 やっぱり、こうなった。これが、ルイと僕の違いだ。

 《魔法》の力を持つものは、人類の中でひと握りと言われている。《魔法》の力を持っていれば、一般人と同じ場所で競えば絶対に勝てるほどに変わる。だから、《魔法》の力を持っていれば一般的な優劣では優の方に入る。しかし、この世界はどこに行っても優劣は付きまとう。《魔法》の力にも、優劣があるのだ。

 そして、僕は残念ながら劣の方だ。ルイを優等生というなら、僕は劣等生なのだ。付きまとう優劣によって、中等訓練部で嫌というほど味わった。ここにいるだけで、奇跡に等しいほどだ。

 クソクソ!

 ルイは、右手にも左手にも炎の剣を握り走ってくる。さらに、走力に魔法でアシストをつけているようだ。

 早い! 追いつかれる、僕もアシストを……もう間に合わない!

 ルイの持つ炎の剣が僕の首を落とそうと降りてくる。

 思わず、僕はギュッと目を瞑ってしまった。

 いつまでたっても、僕に向けられていた炎の剣の斬撃がこない。

 恐る恐る目を開けると、ルイが僕の頭に剣を向けていた。

 なるほど、降参しろということだろう。

 僕は静かに、手を頭の後ろで組んだ。要するに、降参のポーズだ。

 

 「スマン、本当にスマン。けど、俺にやられなかったらもっとヒドイことになってたと思う……」


 「分かったから、もう行けよ……」


 余計に惨めになる。その気遣いが、友達思いなその心が残酷なほどに現実を見せてくる。

 ルイは、何か言おうと口を開いたがすぐに閉じ、走り去っていった。1度も僕の方に振り返らず。

 呆気あっけなく僕の契約の儀をかけたバトルロワイヤルは、幕を閉じた。

 



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




 僕は歩いて、第3訓練場を出た。外にテントが張っていて、中で仰山おおやま教官がモニターでバトルロワイヤルの様子を見ている。

 僕は黙って、仰山教官の後ろにある椅子に座った。

 

 「碧葉あおば、お前は災難だったな」


 「何がですか?」


 「青深、あいつには《魔法》に関しては飛び抜けた力がある。それは、努力でどうにかなるもんじゃない」


 そんなことは、僕が1番分かってる。


 「落ち込むことはないぞ。あれは、しょうがない。15、6歳で、ファイヤースピアーにファイヤーブレードを出せるなんて、元々の魔力の差がある。技術も何もかも天才的だ」


 しょうがない、その言葉は何回も聞いた。初等訓練部、中等訓練部でも、イヤというほど教官に聞かされ続けたんだ。

 仰山教官はまだマシだろう。同じ場所で育ったのに何でお前はできないんだい言わないし。

 モニターから、爆発音が聞こえた。またルイかと思ったが、また違う生徒同士の戦いだった。

 炎の玉を出した少年は、肩で息をしている。もう1人の少女は、爆風に飛ばされその身体を飛ばされ廃墟はいきょの窓にぶち当たり、そのまま中に入っていった。

 少年は、勝ったと確信してかニヤついている。すると、割れた窓から土の玉が1つ飛んでいき、ニヤついている少年の腹に当たった。ゴスっという音がなり、少年が膝をつく。中から服を少しボロボロにし髪にほこりを被った少女が出てきた。少女も肩で息をしている。

 少女はさっきより小さい土の玉を、少年は小さい水の玉を手のひらに出す。まるで、タイミングを合わせていたように2人とも投げつけた。

 強烈な閃光が発生し、モニターで2人の姿が見えなくなる。

 徐々に閃光が収まり、見えたのは少年が仰向けに倒れ少女が立っている光景だった。

 この勝負は、少女が勝ったようだ。少年はピクリとも動かない。

 仰山教官は、ふところから無線機を取り出した。


 「モニターからメディック、モニターからメディック。負傷者が出た、番号は1321だ。回収を願う」


 『メディックからモニター、メディックからモニター。了解した、すぐに回収に向かう』


 《魔法》には、いろんな種類があるが無線機のような通信的な《魔法》はないとされている。通信系の魔法が使えれば、無線機などは使わない。

 

 「これは……もうこのバトルロワイヤルは終わったな」


 え、なんでだ?そのもモニターに何かあるということか。

 身体をずらし、モニターを見るとルイが数十人を相手に大立ち回りしているところだった。地面にも何人か倒れている。

 よく生身で魔力がもつな。本当にイレギュラーだよ、お前は。

 ルイは、僕に使った炎の剣で次々と斬りつけていく。しかし、ちゃんと狙っているようでかすらせて熱気で喉を焼き、腫れさせているみたいだ。地面に倒れている生徒は全員喉を押さえている。

 残った生徒も、必死の抵抗している。ルイの周りには炎の玉や水、土、雷など多種多様な属性の《魔法》が飛び交っている。もはや、小さな戦争だ。

 しかし、ルイはその攻撃をまるで曲芸のように避けていく。飛んだりバク宙をしたり、転がったりとせわしなく動きまわっている。やはり、《魔法》の力を宿した者だ、動きが人間技じゃない。

 さらに、動き回っている中で手の剣を槍に変化させて、隙をみて投擲している。残った生徒も、槍が喉を掠め倒れていった。

 結果、ルイの華々しい優勝で幕を閉じた。

 仰山教官は、全員を整列させてマイク持ち話しだす。

 

 『これでバトルロワイヤルを終了する。上位20名は怪我が治りしだい、仰山のところまで来なさい。そして、青深ルイはこの後に7大柱の《悪魔》と契約の儀をおこなう。すぐに来るように。では、今から寮に帰れるものは解散ッ!』


 全員がマイクを持ち話していた仰山教官に敬礼をして、それぞれ愚痴ったりしながら解散していく。

 僕はというと、その場に立ちながらなんとなくルイの背中を目で追っていた。何を喋っているかは、分からないがたぶん褒められたり《悪魔》との契約の儀についてなど話しているのだろう。

 ルイは僕の視線に気づいたのか手を振って答えた。僕もそれに手を振って答え、第3訓練場を後にする。

 

 「ねぇ、あんたが7大柱の《悪魔》と契約するやつ?」


 僕が寮に向かって歩き出して、すぐにクリーム色をした絹糸のような髪を揺らして少女が話しかけてきた。その勝ち気そうな目が僕をジッと見つめている。

 はっきり言って僕は、こんな感じの人は苦手だ。

 よく見ると、腕の腕章わんしょうは星が2つある。ということは、この少女は僕より1年年上の2年生だ。

 この訓練高にいる生徒には全員腕章をつけている。星1つなら1年生、星2つなら2年生、星3つなら3年生という具合になっている。訓練高を卒業すれば、正式な階級を与えられる。

 僕は、形式に習い敬礼をすると少女はウザっと表情をし手を振って敬礼を解かせる。


 「敬礼なんていいから、あんたが7大柱の《悪魔》と契約するの? イエス、オア、ノー!」


 ズビシッと効果音が聞こえるほどの勢いで少女は指を僕に指してくる。


 「いえ、自分は違います。先輩がお探しになっている者は、青深ルイだと。現在、青深は仰山教官の所へ行っております」


 「ふーん、あ、そう。じゃあ、しょうがないっか。悪かったわね、あんた名前は?」


 「碧葉ユウ1年生です」


 「青深に碧葉ね……。ありがとう、あたしの名前は蒼神セイラ。またの名を────」

 

 ───嫉妬エンヴィーのセイラ。


 蒼神と名乗った少女は、女豹を思わせるような笑みで僕を見つめた。

はい、ユウ君は奮闘という奮闘はしてません。

まあ、細かいことは気にせずに。

次は謎の少女、嫉妬のセイラさんです。

次は神影さんにパスしますね。

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