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僕達は北高生  作者: かっつん
第3章「僕達は北高生らしく生きる」
16/33

3-6.奥義・瞬紅血翔(ザ・アーツ・オブ・スラッシュ)

 森を歩くこと3分。俺達はあてもなく歩き続けていた。暗い昏い森を歩くと、やはり時間の感覚や肌で感じる温度が狂ってくる。崩壊しかけた世界、不完全に止まった時間、SSKが俺達を分断して襲い掛かった、SSKが掟に沿って仲間を殺した……どうしても俺は今起きた現象が理解し得なかった。


「なぁ、有希」

「……なに?」


 未だ手をつないだままの有希を見る。俺の頭半分下、有希の目を見ると、どこか落ち着いた気分になる。


「鐙って奴、仲間を殺すのに躊躇無かったな」

「ええ、そうね」

「俺達を傷付けるのも躊躇しないだろうな」

「それは桜庭さんの時もそうじゃなかった?」

「まぁ……そうだけど。でもアイツらがやるからって俺達が傷付けていい訳じゃないと思うんだよ」

「それが普通よ。でもそんなことを言ってたら殺されるわよ?」

「うぅ、それも嫌だな」


 そんな会話をしながら森を歩くと、だんだん空が白くなってきた。久しぶりに光を見たような気がする。有希の手を握ると、有希も無言で手を握り返した。

 明るい光が俺達を照らす。眩しすぎて俺は目を瞑った。



―――――――――――――――――――――――



「あ……あれ!?」


 気が付くとそこはガシ高のグラウンド、俺達が落ちた落とし穴の目の前だった。南京錠は既に無くなっている。互いに手を握っていたためか、有希も俺の隣に立っていた。周りの色は相変わらず反転して、俺達が穴に落ちる前と比べると減ってはいるが黒い隙間のようなものもあった。


「ということは……」


 振り向くと、そこには長谷と坂元が息を切らして寝転んでいた。少し制服に血がついているが、どうやら大きな怪我はしていないようだ。良かった。


「おぉ、秋葉!遅かったな……生きてるか?」


 息切れ切れに坂元が言う。お前が言うな。


「無事だったか。よかったよ」

「無事なもんか。あぁ、疲れた……」


 長谷も坂元も、鵤に相当苦戦したようだ。坂元はゆっくりと起き上がり、背中に付いた砂を払った。


「秋葉達はいいよな、おとなしい感じの奴だったからさ」

「いや、そうでもないぞ……」


 俺は不如帰との経緯を話そうとしたら、足元から急に衝撃が走り、俺は足がもつれ尻餅をついた。


「な、なんだなんだ!?」


 打った尻を擦りながらあたりを見渡すとゆっくりと黒い隙間が閉じようとしていた。それと同時に周りの色がゆっくりと元の色へ戻りつつあった。


「世界が戻りつつあるようだな……」

「ちょっと待て秋葉、止まった当初俺達は学校にいたぞ」


 長谷の言葉にはっとする。そうだ、俺達は……

 咄嗟に俺は指を鳴らす。変化が終わりつつある世界の彩度が落ちる。時間が止まった。


「急ぐぞ、学校に戻らなきゃ。話は学校が終わったらしよう」


 坂元たちはわかっていたのか、俺がそういう前に走り出していた。









―――――――――――――――――――――――――――――



 それから数時間後、世界が元に戻った学校に帰ってきた俺達は授業とスクールタイムを終え、教室で屯していた。俺達の制服や怪我は長谷と有希が直し治してくれた。やっぱり便利だよな、その能力……


「そんなこと言うなよ、お前の時間を止める能力だって羨ましいんだぜ?……さ、皆帰ったことだし、状況を聞かせてくれよな」


 坂元が辺りを見渡して誰もいないことを確認し、言う。長谷がドアを閉めながら続けた。


「そうだな。じゃあまず、あのヘンな世界……あれを作ったのが疑似STPと言うプログラムなんだ。STPを模したプログラムなんだけど……」

「待て待て。自慢じゃないが俺はそういう情報系の学問には疎いからわかりやすく簡潔に頼む」


 坂元は腕を組み首をかしげた。俺もそれには賛成だ。詳しいことは分からん。


「簡単に言うなら……やつらはそれで世界を変えようとしていた、ってことさ。んで、あの空間で動ける俺達を忍者2人が始末しようとしてたんだね」

「確かそん時に動けたのは俺達と黒木、加藤だったな」


 そうだ、忘れていた。黒木と加藤もあの空間で動けていた。なぜだ……?


「まぁ、二人ももう帰っちゃったし、なんでそうなったのか聞けないね。聞くのはまた今度にしよう」

「……で?秋葉達の戦いはどうだったんだい?教えてくれよ」


 坂元が椅子を反対に腰かけ、俺を見る。


「うーん……どうやって説明すればいいかな」

「記憶の映像化をしてみたらどうかな?」


 長谷が俺に言う。記憶の映像化?なんだよそれ。


「そうだね……未来の秋葉からタブレットをもらっただろう?それを作るのさ」


 春に未来の俺が寄越したタブレット。黑の力を目覚めさせるタブレットと過去の自分が殺される記憶。あれを創り出せというのか。


「暗黒物質を持つ人はみんな作れるんだってさ。やり方はこう。まずその時の出来事を強く頭で思って……」


 長谷がコネコネと手を動かし、手を強く握った。すると長谷の手に小さなタブレットが2つ、転がっていた。


「未来の秋葉に教えてもらったんだ。こうすることで客観的な記憶をありのまま伝えられる。ちなみにこれは俺達と鵤の戦いだよ」


 俺はそのタブレットを隣にいる有希に1つ渡し、もう1つを自分の口に放り込んだ。噛んだタブレットが溶け出すとともに、俺と有希はゆっくりと記憶の海に意識を沈めていった。





――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 森。色彩が反転し、コントラストを落とした森に俺は立っていた。すこし先には俺、有希、長谷、坂元と、あの忌々しい双子の忍者がいた。


「へぇ、一緒に見てると共有しながら見えるのね」


 記憶の存在以外誰もいないはずの空間から声が聞こえる。振り向くとそこには有希が立っていた。


「……そうみたいだな」


 向こうでは不如帰が印を結び、閃光を発していた。その閃光を受け、俺と有希は倒れこみ、不如帰が俺達2人を担いで運んで行った。


「意外とアナログな運搬方法だったんだな。てっきり忍術でドロンってやってるのかと」

「忍術なんて所詮まやかしよ。あの光で目がくらまなければあんなことには……」


 気絶した後悔なのか、避けられなかった己への怒りなのか。運ばれる俺達を冷めた目で見る有希。俺は坂元たちに視線を戻した。


『坂元ォ!貴様を殺す!殺す!殺す!!』


 離れた位置にいる鵤がそう叫ぶと、坂元は叫び返した。


『殺すだって!?面白い!やってみろや!』

『お、おい坂元!落ち着けって!』


 長谷がなだめているが、坂元は聞かず、竹刀を手に飛びかかった。鵤も手に持つ双剣を構え坂元とほぼ同時に駆け出し、坂元と鍔競り合った。


『ぶっ殺す!いくぞ月日星ィ!』

『殺すしか言えないのかおめぇは!』


 一旦離れた二人は再度飛びかかり、お互いの袖を掻っ捌いた。


『坂元っ!』

『大丈夫、掠っただけd……うっ!』


 坂元が小さく呻き、片膝をついた。鵤は低く笑いながら坂元に近づき、坂元の首元に双剣を突きつけた。


『てめぇ、それに毒塗ってやがるな……』

『どうだ?SSKの神経毒の味は……貴様には簡単に死なれちゃ困るからな……』


 剣を少し持ち上げ、坂元の顎を上げる。首筋には細い血の線が描かれていた。もう片方の剣を坂元に向けて振り下ろそうと腕を上げたその時……


『……今だ!長谷!』

『おう!』


 坂元が叫ぶと、遠くにいた長谷の足元が蒼く光り輝き、どこからか取り出していた物理の参考書が激しく光る。


『ハッ!』


 長谷が叫んだと同時に長谷の両手から見たことのある炎が現れた。炎は地を這うように低く、しかし確実に鵤の方向へと向かっていく。


「あれは人工生命体を倒したのと同じ炎ね」


 さらに遠くで見ているはずの俺達にまで炎の光に照らされている。というか熱い。長谷が放った炎が鵤の装束に燃え移る。瞬く間に炎が鵤の全身を駆け回り、火だるまになっていた。


『灼熱の焔……ペタフレアとでも言っておこうか』

『相変わらずだっせーネーミングだな』


 坂元がそういいながら長谷の元へ歩み寄る。その時だった。炎の中から苦無が飛び、坂元の背に突き刺さった。


『さ、坂元っ!?』

『ってー……不意討ちとは卑怯だ……ぞ』


 その言葉を最後に坂元が倒れた。が、すぐに起き上がり、背の苦無を引き抜いた。


『……、……』

『さ、坂元?大丈夫なのか?』


 長谷の顔が心配と驚愕ところころ変わる。坂元はその質問を聞いているのか聞いていないのか、血のにじむ背中を一発、己の平手で叩いた。


『坂元流止血術……初めて使用したのも忍との戦だった……』

『坂元っ!おい?坂元!』

『長谷、と言ったな……良い術を持っておる』


 そういうと坂元は火だるまに向き直った。その坂元の顔はいつもの厳つい顔をさらに厳つくしたような顔つきになっていた。細く、いつも閉じているかと錯覚するような瞳が開かれている。中学から一緒に居たはずだが坂元の目があんなに見開かれたのは見たことが無い。


『しかしまだ甘い……忍には通用せぬ』


 炎が飛び散り、鵤が姿を現した。


『けけけ……甘い、甘いぜ長谷。お前の術は甘い』

『甘いのは貴様とて同じこと。あの程度の苦無で殺せると思うたか』


「坂元……言葉づかいまで変わってやがる。まるで不如帰か」

「不如帰?不如帰の人が変わったって言うの?」

「ま、まぁな。後で話すよ。今はこれを見よう」


 俺は坂元の言動が変わったことに驚きを隠せず、自分の戦いの事は今はどうでもよかった。


『坂元?どうしたんだお前本当におかしいよ』

『我は貴様の知る坂元ではない。坂元流剣道術始祖、坂元世継だ』

『さかもとの……よつぎ?』

『左様。坂元家13代目悠介の曽々……祖父と言えばよかろう』


 坂元世継と名乗る坂元は手に持つ竹刀を大きく振り抜くと、竹が取れ、中から日本刀が生えてきたかのように現れた。


『竹刀から日本刀!?』

『けっ、やっと対象が出てきやがったぜ……』


 鵤が腰に携えた忍者刀を構え、坂元へ飛びかかった。坂元はその日本刀で受け止め、後ろへ下がった。


『成程……この技。貴様は保長の子息か』


「やすなが?」

「伝記で読んだことがあるわ。服部保長。初代服部半蔵ね。徳川家に仕えた忍者として有名よ」

「そ、そうなのか」


『だからなんだってんだ!俺の先祖は貴様に殺された!恨み晴らさでおくべきか!』

『……よかろう、かかってこい』


 坂元が刀を斜めに構え、迎え撃つ姿勢をとった。鵤はそれを見て分銅の付いた鎖鎌を飛ばす。坂元はひらりとそれをかわし、後ろの木に突き刺した。そのまま斬りかかろうとしたが、鵤が素早く動き、刀が空を切った。


――――――――――――――――――――――――――――――


 それから数分間、お互いの武器が空を切り続け、あたりの木はなぎ倒され、既に平地のようになっていた。俺と有希は彼らから距離をとるのも忘れ、突っ立っていた。


『へっ!先祖が恐れた貴様の刀も当たらなきゃ意味がねぇってんだ!』

『長谷、奴の動きを止めろ。刹那で構わん』

『あ、ああ。そのつもりだったさ』


 後ろで戦いを見ていた長谷の魔法陣と参考書が強く光り輝き、鵤の足元に氷の柱が突き立てられた。鵤はそれをかわすが、氷の柱が次々と突き立てられるため、ゆっくりと追い詰められていく。ついに鵤の足に氷の塊が憑りつき、鵤は地面に叩きつけられた。


『沈黙なる冷凍、サイレントフリーズ。これで動きは止められただろ』

『……命名の感性は如何ともしがたいが、技としては上出来だ』


 坂元の動きが一瞬止まり、刀が赤く光りはじめた。


『坂元流奥義……一閃っ!』


 坂元が大きく踏み込み、氷の柱ごと切り裂いた。そこから先は砕け散った氷と土煙で見えない。


「やったか!?」

「秋葉……それフラグってやつよ」


 有希が咎める。俺も言ってから後悔した。これは言ったらいけないセリフだった。


『け、けけけ……け』


 土煙の中から低く唸るような笑い声が聞こえる。ダメだったか……視界が良好になるにつれ、長谷、そして坂元の表情が変わっていく。鵤は生きていた。しかし、両足が無く、装束もズタズタだ。満身創痍であることには間違いなかった。


『止められた足さえ捨てちまえばそんなもの避けられるんだよ!』


 坂元が切り裂いた箇所を見ると、鵤の膝から下が血を噴き出すことなく凍りついたままそこにあった。鵤本体の足も出血は無く、凍り付いていた。


『貴様を殺すなら手だけで十分だ!オラかかってこいよ!』


 膝立ちで煽る鵤をよそに、なぜか坂元はその挑発に乗らなかった。刀を竹の中にしまい、束ねはじめた。


『どうした?止めを刺せよ。怖気づいたのか?』

『我は忍を殺す刀を握っている。しかし貴様を殺す刀は握っておらぬ。貴様の負けだ、去れ』


 坂元は背を向け、長谷の元へ歩み寄った。


「なっ……!」

「確かに鵤は坂元君の一撃を避けた。なのにどうして……!?」


『さ、坂元……いいのか?鵤をそのままにして』

『そうだ、俺はいつでも貴様の背中を刺すことが出来るんだぜ……』

『鵤……と言ったな。一つ、昔話をしてやろう』

『なんだと?』


 坂元は鵤に背を向けたままゆっくりと口を開いた。


『その昔、我が殿に仕えていた時代だ。我が殿は地位も権力もあった。それ故数々の刺客が殿の命を狙っていた。我はそれを迎え撃つ。それが我の宿命だった。しかし、坂元流剣術は殺人の為の剣術ではない。己を高め、己だけでなく誰かを守るために極める剣術だ。それ故我は刺客を殺しはしない。殿もそれを承知の上で我を雇っていた。ある日、事件が起こった。新月の夜、殿がお休みになられた後、我が城内を警備していた時だ。保長とその部下が城内へ入り込み、殿の暗殺を謀った。我は当然の如く彼らを迎え撃ち、二度と忍が出来ぬ様、坂元流最終奥義「瞬紅血翔」で忍としての命を屠った。部下は皆逃げ出したが、保長は死んだ』

『それがどうした、その保長の子孫が俺達なんだよ。貴様が殺したんだろう!』

『否。確かに保長は死んだ。しかし我の刀ではなく己の刀でだ。保長は捕えられた部下を自らの命と引き換えに解放を望んだ。しかし部下には私の死を伝えるな、と遺してな。自らの身を挺してまで部下を守ったのだ』


 足を失くし、膝で立っていた鵤の表情が崩れていく。


『我は保長の意思を重く受け止め、改めて殿への忠誠を誓った……以上だ。故に我は貴様らの命は斬らぬ。貴様の負けだ、去るがよい』

『けっ!保長が自決しただと……?口ではなんとでも言えらぁ』

『その通り、口ではなんとでも言えます』


 第三者の声に驚き顔を上げると、長身の黒スーツがいつの間にか鵤の背後に立っていた。長谷も坂元も気づいていなかったようで、驚いた顔で声のした方を向いていた。それは鵤も同様で、鐙を驚きと恐怖の表情で見上げていた。


『あ、鐙……』

『ボスに何と伝えるのですか?疑似STPを「勝手に」起動させ、対象の命を「勝手に」奪おうとし、そして「勝手に」負けた……』

『お、俺はだな……』

『組織への償いが必要ですね』


 鐙は腰に取り付けてある短刀で鵤の首筋を斬った。ごろんと転がる鵤の頭、首から飛び出る鮮血。俺はとっさに有希の前に立ち、目の前で繰り出される惨劇から遠ざけた。


『……ま、これだけの罪は命に換えても拭いきれませんがね』

『お、お前……コイツの仲間じゃないのか?』


 長谷が青ざめた顔で鐙に問う。


『いや、既に仲間では無い。組織で予定していない「勝手な行動」をした時点で仲間ではない』

『黒子……』

『おや、坂元……今はそんな器に収まっているのか』


 鐙の声に反応するように坂元の肩が震え、髪がわずかに逆立つ。手に持つ竹刀の竹は触ってもいないのに取れ、日本刀が露わになっていた。


『仲間の命を奪うとはなんたることかっ!』


 坂元の一閃をひょいと避け、鐙は返り血を浴びたスーツを正した。


『わからない奴だ。その体に頼らなくては戦うことすらままならないとは……』


 鐙と鵤の亡骸の姿がゆっくりと消えていく。坂元が横に斬り裂こうとしても、空ぶるだけだった。どうやら既に実体は無いようだ。そこにあるのは、鵤の血と多少の出血を伴った坂元と長谷だった。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「……くあっ!」


 意識が急にはっきりしてきた。明るく、眩しい。あたりを見るとそこは夕日差し込む放課後の教室。


「ジャスト1秒。だいたい1時間で1秒程度の気絶状態になるんだね」


 長谷が時計を手に時間を測っていた。坂元は俺の顔を見てケラケラ笑っている。


「なんだよ、この戦いがそんなに面白かったのか?」

「いやいや、お前の顔がおもしれーんだよ!」


 失敬な奴だ、指をさすな、指を。


「だけんどよー長谷、同じ場所にいて同じように戦ったはずの俺がなんで覚えてないんだ?」

「理由は分からないよ。PTSDかなにかかなって思ったけどそんな事じゃあなさそうだし。原因不明だね……で、秋葉、俺達の戦いはどうだった?」


 長谷が改まって聞く。俺が率直に思ったことを口に出そうとしたら……


「おおーい!いつまで教室に残ってんだ!はよ帰れお前ら!」


 いきなり教室中に轟く怒号。脇田担任先生様がドアを突き破らんとするような勢いで教室に飛び込み、手に持っていた箒で俺達を追い出した。


「……どうやら、続きは秋葉の家でやることになりそうね」


 有希がぼやいた。

 外に出る。空は黄金色に輝いていて、謎の黒い隙間はひとつも無かった。



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